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A Crystal Vision / SACRED OATH
失恋船長 ★★★ (2025-06-14 05:29:29)
伝説のカルトメタルバンドの記念すべき1st。アメリカ産ではあるが、欧州風味満載のメロディ、そしてメイデンから薫陶を受けた音楽性。そしてシンガーのシアトリカルな歌声とダークな魔術的な響きは完全にMercyful Fateだろう。そのドラマティックな展開と、王道を行くヘヴィメタルサウンド、アメリカでは完全にマイナーなスタイルだが、彼等は自らの信じる道を真っ当に歩き、前人未踏の未開の地へと向かっている。

濃厚なアングラ臭はMANILLA ROADやCIRITH UNGOLといったバンドを真っ先に思い浮かべるでしょう。このバンドツインギターは上手く機能。音質は良くないが、それが逆に生々しいサウンドに変換、低予算をモノともしない青白い炎を滾らせている。

純度の高いメタルサウンドは、ヘヴィメタルを愛するモノにとっては最も相性の悪い、売り上げ&ランキング至上主義者とは一線を画す崇高な世界観を踏襲と実に頼もしいスタンスで1988年というメタルバブル全盛の時代に、彼等は逆張りで勝負を挑んだ。

リリース当時は知らんかったが、マニア筋からの強烈なプッシュがあり、出会えたホンモノのカルトメタルバンド。NWOBHMからの流れを受け継ぐ伝統的なスタイルに魅了されました。あの歌声も、この世界観にフィット。まぁ耐性のない方には耳障りでしょう。回転するリフワーク、分離の悪いチープさも気になるでしょう。ましてはAmazonからオススメされるメジャーどころの作品に慣れ親しんでいる方には、とてもではないが勧められないが、ヒットチャートとは無縁なヘヴィメタルの世界にハマっているマニアならば必ずや、刺さる場面があるでしょう。

これだからヘヴィメタルはやめられない。Bandcampで見つけた時に喜び、初見で聴いた時につくづく思いましたね。

もっと上手い唄の方がイイし、もっと音質に深みがあれば更に説得力も増しただろう、しかし、このカルト臭は、その環境では出ない。日本のインディーズが抱える欠点にもにた、バックはイイがフロントがペケみたいな空気も個人的には懐かしい。そして惹かれるクサレマニアポイントである。
上手い下手では言い表せないバンドとしての音。その一体感が最大の魅力。忘れ去られた元祖アメリカンメタルのマインドを復活させた、その偉業に賛辞を送りたい。売れないよ。しかし、素晴らしい。

内野聖陽演じる宇佐美主任教官のように、アッパレだ。といいたいですね。内野聖陽さんも飲酒運転疑惑&不倫がなければ、名作ドラマ臨場、今でも続いていたと思うんだよなぁ。

このバンドの、シケシケのマイナーメタルにならなかったのは、演奏レベルがしっかりしていること。そして曲の構成も練り上げられている。ポッと出の新人でない自肩の強さを感じさせる存在感があったからこそである。

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