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QUICK & DEAD / SNIPER
火薬バカ一代 ★★★ (2025-04-16 23:35:31)
名古屋の至宝、日下部正則(G)率いる正統派HMバンドSNIPERが、同地のライブ・ハウス「エレクトリック・レディ・ランド」によって興された自主レーベルE.L.L. RECORDSを通じて’85年に発表した2ndアルバム。
前作はデビュー・アルバムにしてライブ盤も兼ねる多少変則的な内容でしたが、今回はしっかりとスタジオ録音(ほぼ自主制作という懐事情ゆえ音質的に五十歩百歩なのはご愛敬)。その影響もあるのか、前作に比べると前のめりな疾走感が抑制された分、アレンジからボーカル・ハーモニーまでかっちりと作り込まれ、疾走ナンバーあり、バラードあり、LAメタル風のミッド・チューンあり…といった具合に、収録曲のバラエティにも更なる広がりが感じられる仕上がりとなっています。まぁ、初めて聴いた時はその辺りの変化がパワーダウンのように思え物足りなさを覚えたりもしましたが、聴き込むに従ってメロディの充実ぶりが浮かび上がってきて、いつしか不満は雲散霧消。というか、躍動するリズム隊の上手さが際立つOPナンバー①、エモーションを湛えて歌う日下部のGプレイが光る②、抜群に上手いわけではないものの、北尾茂久の熱い歌いっぷりに昭和ロボット・アニメのEDテーマ的な日本語詞がハマる⑦等々、第一期坂本英三時代のANTHEMにも匹敵する強力なHMナンバーが次々繰り出される本編に不満を覚えていたらバチが当たるってもんですよ。とりわけ、濃厚な泣きに満ちた名バラード②と哀愁を振りまきながら駆け抜けていく⑥は、本作の魅力が分かりやすく凝縮された個人的アルバムのハイライト・ナンバー。
欧州でのリリースが実現したというのも納得の力作だけに、これが最終作となってしまったのが残念でなりませんね。とりあえず願・リイシュー。

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