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Terminal Earth / SCANNER
失恋船長 ★★★ (2025-04-07 08:37:05)
ドイツのスピードメタル番長。今作からAngel DustのS.L.コーをシンガーに迎えスピードメタルサウンドに磨きを掛ける。前作から1年だが音楽性の根幹となるスタイルが太くなり、方向性を絞り込んだ。
駆け抜けるツインギター、両者が激しくぶつかりあるスリルもねじ込み、好戦的な面をも強調。親しやすいコーラスと疾走感は初期HELLOWEENやRUNNING WILDに通ずるモノがあり、その大衆性を生かしたメロディとメタル特有の疾走感が共存。もう少しでアニソンメタルになる手前で泊っているのも好印象。有名なバンドではないだろが、彼らが後続に与えた影響は少なくないだろう。
少なくともIRON SAVIORやPRIMAL FEARなどは同士と呼んでも差し支えないがない。このキャッチさーとコーラスワークのおかげで下品に聞こえないのもポイント。上品な正統派メタルと当時のメタル仲間が言っていたことを最近になって思い出した。
たしかに汚れメタルではない。多様性のある音楽シーン。このアルバムにも多様性がある。そしてサウンドメイクは違うがアティテュードは次作にも見事に引き継がれている。小技を聴かせた大作ナンバーのFrom the Dust of Agesを聴かせる力量の評価を上げるポイントだ。
広島東洋カープに在籍した左の強打者長内孝と、ヒゲのパンチョでお馴染み、野手として捕手以外は全て護れるユーティリティープレイヤーの木下富雄が二人で居酒屋経営していた姿をTVで見て、なんだかとても悲しくなった。二人とも10年以上プロに在籍、1000試合以上出ているのに、安酒場の焼き鳥居酒屋で厨房に立つ姿に、なんだか虚しさを覚えた。今作には、そんな二人の勇姿が重なる。彼らは、ともにカープの全盛時代を知っている。そして名シーンを作り出した名脇役だ。高橋慶彦や山本浩二、衣笠、山崎隆造、長嶋清幸らと切磋琢磨してきた。
毎日TV中継された巨人が肥大するアメリカンマーケットなら、ドイツの狭いマーケットなんて市民球団さながらだろう。それでも、応援する熱心なファンは多い。今作には懐かしき時代の匂いがする。
上品な正統派メタル、子供だった当時、全く意味が分からなかったが今なら良く理解出来る。はちきれんばかりのスピードナンバーのカッコ良さは勿論だが、合間に挟まれる曲も、クオリティを下げていないのでアルバム単位で維持できるクオリティがある。全力で80点満点だがクライマックスシリーズには出場できる。そして下克上を期待させるマイナーメタルの星だ。
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