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Infectious Hazard / UNITED
失恋船長 ★★★ (2025-03-27 07:44:08)
2001年という新時代の幕開けに彼らは逆の選択をした。モダンヘヴィネス路線への傾倒は、あの時代のシーンを考えれば当然だったろう、彼らにとって日本での活動のみが重要ではなかった。世界に打って出るという意味でも、当然の流れだったのだが、今作はレコーディングをしましたのに稲津が脱退と、何かと問題があったという印象が強い。
やはりミュージックビジネスによる強烈な縦社会でもあるのか、稲津の脱退には驚いたが、過去にも疾走した件があるので本当の事はわからない。憶測はネットニュースと同じなので割愛するが、その代役を勤め上げたのがデスファイルの湯浅正俊だった。

正統性を取り戻したバンドサウンド、そこに2000年という新しい感性を無理なく取り込み、ごく自然にスラッシュメタルと向き合い、成すべき事をなしたという印象が強い。そのキレのあるサウンドはある意味、爽快である。蒼天の拳である。

あの漫画も時代に合わせ、経絡秘孔を突き、ひでぶーと言いながら人体破壊描写がNGになったように、今作にも80年代とは違うアプローチが存在している。その現代的な感覚と人間力溢れるパワープレイ、彼らが進むべき道が見えたと言える快作となった。

今作において現代的な音像を持ち込んだのは間違いなく、アンディ・スニープの仕事も起因しているだろう。スクリーム系のシンガーとしては同一系統だが、以外と柔軟さがある湯浅の歌声は、曲調に合わせアプローチしている点も評価したい。

新制リズム隊の強固なる意志、その鉄鞭がしなやかに打ち鳴らされる、あの恐怖と痛みを想起させるようなしなやかで鋭いリズムは規則正しく恐れさせる。阿吽の呼吸から繰り出されるツインギター、スラッシュメタル本来のキレとスピード感、そして柔軟さを存分にアピールしてくれた。

まぁ個人的には1stや2nd、そしてビクターから出た初期のベストなんかを愛聴しているので、あれなんだが、新機軸を打ち出しつつも、往年のファンを満足させたという点では再始動という印象を強く与えた。⑥の遊び心も大好きですね。

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