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Hate Über Alles / KREATOR
火薬バカ一代 ★★★ (2025-03-12 01:19:34)
前世紀からKREATORの屋台骨を支え続けてきたクリスチャン・ギーラーの脱退(解雇に近かった模様)、元DRAGONFORCEのフレデリク・ルクレール(B)の加入というメンバー・チェンジを経たKREATORが、'22年に発表した15thアルバム。
イタリア映画界のアルチザン、セルジオ・コルブッチにリスペクトを捧げた(同じセルジオでも有名なレオーネの方ではなくコルブッチというチョイスがKREATORらしい?)ドラマティックなマカロニ・ウェスタン風序曲①の存在や、より一層メロディを豊かに紡ぐサミ・ウリ=シルニヨ(G)のリード・プレイ、一部楽曲におけるオーケストレーションやクリーンVoの導入、ヴァースで疾走した後、テンポを落として壮大で合唱を誘うサビメロへと雪崩れ込んでいく曲構成等々が物語る通り、近年の彼らの作品に顕著なエピック・メタル志向は今回も更なる拡充が図られた仕上がり。とりわけ、これまたマカロニ・ウェスタンの劇伴風イントロから攻撃的かつドラマティックに盛り上がっていく⑩は、本作の方向性を象徴するような名曲と言えるんじゃないかと。
無論、こうした諸要素は飽くまでKREATORのスラッシュ・メタル・バンドとしての本分を侵さぬレベルに留められており(その辺りのバランス感覚はやはりベテランならでは)、ミレ・ペトロッツァ(Vo)の怨嗟と狂気に塗れたシャウト、立ち塞がるモノ全てを切り裂くようなGリフ、ヴェンター(Ds)のドラムが生み出す爆発的疾走感により推進される、②③⑦⑨といったスピード・ナンバーのカッコ良さは揺るぎなく健在ですのでご安心を。
こりゃあ確かに、KREATORは「曲作りの極意」を掴んだと思わされる力作ですよ。

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