この曲を聴け! 

Creatures of the Night / KISS
失恋船長 ★★★ (2025-02-13 00:58:20)
昔からプロデューサーが関係者のスタジオミュージシャンを呼んで、技術に達していない本人のテイクと差し替えるなんて話は沢山あるのですが、今作はジャケットにデカデカとエースの顔を移しているのに、本人は不在という作品。新ギタリストとして活躍するヴィニー・ヴィンセントを始め、NWOBHM巻き起こるシーンの変革にKISSもいち早く反応、常に時代の流れを読みディスコサウンドまでやったのだから当然なんだが、ソリッドかつ歯切れの良いサウンドは、これぞKISSな魅力に溢れており、素顔での活動時代にバトンを繋ぐ作風に落ち着いてる。

まぁ前作での大失速を挽回したという視点からも今作の盛り返しは大きな意味があった。個人的に直接KISSから影響を受けたというタイプではないので、あのバンドの元ネタはKISSだったなんてことを逆説的に知ったりするほど、アメリカは勿論だが世界中に影響を与えたモンスターバンド。彼らの低迷期らしいのですが、オリンピックの閉会式でステージを行うようなロックバンドなので、まぁ色々ありますよ。

ポップ過ぎた時代、そして映画とコラボ予定ながら頓挫したエルダー、だからあの作品はプログレ風味があるのだと妙に納得する。そして過去イチハードに迫った今作、個人的には⑥のような曲よりも⑤のような曲が好みである。だからKISS及びアメリカンロックにドハマりしないのだろう、ヴィーンという唸りを上げるギターから始まりジーンのベースが刻むヘヴィで哀愁のメロディが映える④とかインパク大な①の方が好みである。⑥の良さが染みないワタクシはKISSを語るなど、資格無しなのだろうが、バラード⑦なんかもラジオフレンドリーな曲調ではなくシリアスな空気に包まれ、今作の充実ぶりを如実に物語っている。

KISSとしてのメタル度と大衆性、失墜した信頼を取り戻すのに十分なアルバムであろう。部外者だからこその視点でファンの方には多めに見て欲しい。ポールやジーンがヘヴィな曲を作るのが得意じゃないとか大嘘はつかないので、ご安心ください。

→同意