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Knock Out / BONFIRE
失恋船長 ★★ (2025-02-05 00:22:29)
前作ではボブ・ハリガンJr、ジャック・ポンティ、デスモンド・チャイルド等の外部ソングライターも招き入れメジャーシーンに切り込んできた。プロデューサーにマイケル・ワグナーという気合いの入りよう。その甲斐あって実にワールドワイドな感性に彩られた作風に仕上がった。

しかし、今作には、Cacumen時代からバンドを支えてきたリーダーのハンス・ツィラーがいない。前作の途中で解雇されたというのもあるのだが、まぁ外部ソングライターを初めとする、バンドの変革に異論があったのだろうか?ハンス抜きでアルバムが制作される形になる。
それだけに、メンバー的にはやりたい放題と言うことなのだろうが、前半からビリー・スクワイアのカヴァーまで飛び出し、完全にアメリカン仕様のジャーマンメジャーロックバンドになってしまった。

ここが賛否を別けるのだろうが、④曲目のバラードなど、けして駄作ではないのだが、余りにも狙いすぎて鼻につき、欧州風味もあるのだが優等生アメリカンナイズドサウンドが大量に溢れ出ており、そのナイズド加減は全編を覆い尽す。
それを許せるかが最大のポイントなのだろう。当時、キャプテン和田さんから凡ファイアと揶揄された一枚。それだけに世間の評価は低い。実際に寄せに行きすぎた感はある。ドイツのBON JOVIなど言われた時代もあるだ、ここまで開き直られるとチョイと厳しい。

やはりハンス抜きが、こういう作風に傾いたのだろう。リリースは1991年、時代的にはラジオフレンドリーな作風が支持されるづらい時期でもありセールス的にも厳しい結果になる。レスマンの哀愁のある歌声も、どこか余所行きに感じる。曲単位で聴けば悪くないのだが、アルバム単位で聴くと、甘口な印象が強まるのが難点。十分、及第点は超えているのだが、やはりアメリカンナイズドしすぎで個性が薄まったのが最大のポイントなのだろう。

今回久しぶりに聴いたのだが、やはり順調にレベルを上げてきただけに、個人的にはやや一回休み感強いアルバムではあるのだが、健康優良児アメリカンナイズドロックが好きな人には大いに支持されるでしょう。今回久しぶりに頭から聴きましたが、やっぱり⑥が始まった瞬間に一時停止を押しましたね。個性が死んだ、レスマン不在でも成立する作風になったのは否めないだろう。

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