これはSAXONにも通ずるやり方で、ややおとなしめのオープニングナンバーの次にくる②などを聴けば顕著だろう。Set The Stage AlightというNWOBHM史に残る楽曲があり、素晴らしいアルバムのアイデアを持っていながら、その宝箱は開かれることなくゴミの山でと埋もれた過去、その悲劇的な運命を自ら切り開くように再結成したのだが、順風満帆ではなかったろう。しかし、今作のタイトルに込められた思い、スマートな音像だ、メロディアスだがギターソロは熱い、昔気質の黄金比を堅守するメジャーメタル式方法論。
4曲目に登場するIn For The Killあたりでノックアウトです。新しい武器を手に入れたバンド。多くのアーティストが原点回帰を行い終焉に向かう。このバンドの同様にキャリア的には最終コーナーを回ったろう。こういう外連味のない作風を叩きつけることは間違いではない。ソングライターチームの助力もあるのだろう。バラードの入り方も計算されている。 なくても良かったが大衆性を感がると必要だ。
ラストはSAMSONがやった曲でラス・バラードのRiding with the Angelsで幕が閉じるという構成にいろんな思いと含んでいるように感じるのだが、そういう深読みはやめて音そのものを楽しみたい。
伝説のNWOBHMバンドが往年のメンバーが結集して2014年に復活作をリリース。ビックになり損ねた名手ジェフ・サマーズはどんな曲を披露するのかと思ったら鋭利なリフワークが切れ込んでくるスピードメタルは封印。よりオーセンティックで古めかしいスタイルのバンドサウンドを披露。予想とは違う、地味目の曲の多さに肩透かしを喰らいますが、聴き込む程の味の出る、英国トラディショナルHM/HRサウンドに舵を切り、メロディアスさも大幅に増量した展開を試みています。 このバンドと言えば多くのマニアがNWOBHM史に名を残した『Set the stage alight』当たりの路線を期待する人も多いだけに、その辺りの期待値の大きさで評価も分けそうですが、落ち着いた印象を与えるもクオリティが下がる事は無いので、その手のマニアなら安心して聴けるでしょう。でもこのバンドには、昔の顔が揃っただけに、もう少し荒々しい激しさを期待しますけどねぇ。