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On the Edge of No Tomorrow

2017年にこの世を去ったジェフ・ニコルズ。生前のインタビューでは、彼がいかにブラックサバスに貢献していたかを知ることが出来る。多くのライブをでプレイ、演出面もさることながらメンバー間の緩衝材になっていたという逸話は興味深い。またキャリアの浅いトニー・マーティンに寄り添ったり、アイオミ不在、ギーザー不在(ジーザーじゃないよ)時のレコーディングなどではジェフが繋ぎをしていたとか、あらゆる場面で貢献したのだが最後まで正式メンバーとして認められなかった男、歌メロは勿論だが作詞に作曲でクレジットされても、おかしくないという話があるのだが、まぁ、本当の事はわかりません。ビジネスの世界なんで、やはりキーボードプレイヤーが正式にいるというのはサバスでは難しかったのかもしれません。

今作には、そのサバスで培った世界観を存分に味わえるでしょう。生前に残したジェフのテイクを、ミック・ホプキンスが丁寧に紡ぎ完成させたと言われる力作。そのサバスティカルな感性はジェフを始め、デビッド・ガーナー、ジェフ・ベイトという歴代シンガーが集結、そしてトニー・マーティンまで歌入れを行い、このジェフ・テイトをあの世から呼び出し作り上げたレクイエムアルバムに献花するかの如く、渾身パフォーマンスを披露してくれた。

70年代の前半から活動していた彼ら、大半のメンバーが70代中盤だろう。凄い話である。ヘヴィでハードなサウンドを、これほどの高齢者が本気で鳴らしていると思うと、ワタクシなんて小僧である。あっち痛いコッチが痺れるなんて言ってられないね。

今作は正に70年代に刻んだバンドサウンドが見事に継承されている。混じりっ気無しの混沌としたサバススタイル。ただのモノマネではない。あの時代の空気を吸い込み、自らのルーツとして刻まれたグルーブ。マルコム・コープとデレク・アーノルのコンビはえげつないくらい絶妙なコンビネーションで幻惑する暗黒リズムを浴びせてくる。アイオミよろしくなギターワーク。これぞQUARTZと呼びたくなる。

⑨なんて歌声も含めオジー・オズボーン時代のサバスを思い出さずにはいられないだろう。それはアルバム全体に漂っている話なのだが、この手の盤で14曲は少々多いと思うマニアもいるだろうが、1時間チョイの魔空間は消して退屈な時計を刻みはしない。このバンドのルーツたるスタイル。根暗な地獄のバーミンガムロックが好きなマニアにはたまらんでしょう。

それに11曲目に出てくるWhat Love Isはアルバムの中ではトップクラスの聴きやすい曲であり、絶妙なタイミングで出てきて中和する。旨いことやったなぁと思う。デビュー作にジェフ・ニコルズはいたが、NWOBHM期にリリースされたアルバムにジェフはクレジットされていない。

またNWOBHM期のデビューは最初期のNWOBHMバンドと捉えられた向きもあるので、このバンドの評価は、どの時代にフォーカスするかで大きく分かれるであろう。熟成された初期の音楽性。時代に左右されず、いや今だからこそ、やりたい事をやれるのでしょう。

失恋船長 ★★★ (2025-04-23 18:09:46)