声がヤバイヴォーカリストというと、「Wolf's Lair Abyss」のMAYHEMや、1stのMUTIILATIONなんかが思い浮かびますが、彼らはまだ声をかっこよく聴かそうという努力が感じられるのに対し、この人はほんとに感情のみで叫んでる感じです。サンクスリストに精神病院らしき名前や「Psychiatric Emergencyのスタッフ」とかがのっているんですが、演技じゃなくてマジだったりして…見た目もDEATH NOTEの死神みたいで凄い事になってるし。
ただ、歌入りの曲は6曲で、しかもそのうち3曲が「The Taste Of Victory」と被るのがネックになっているかもしれません。それと、歌詞を読むと「ヴァルハラ」「ラグナロク」の概念が取り入れてあったり、リスナーへのメッセージ(?)のような所に「ヴァルハラで会おう」みたいな事が書いてありましたが、NSから北欧神話に傾倒したんでしょうか…?詳しい方解説をお願いします(笑)
「シーズン・イン・ザ・サン」や「BOYS ON THE BEACH」のような爽やかな曲も良いですが、こういう湿度高そうな熱気のある曲は年季が出てきたことでさらに深みを増してきているように思います。特に「♪ベッタリ甘い…」からはイヤらしく絡みつくようなメロディで一発で印象に残りますね。ピアノやブラスのアレンジもお洒落で最高。
音楽性の方は、「BLACK THRASH SUPREME」を標榜しているだけあって、白塗りのブラックメタラーが演奏しているというよりも、楽器屋にたむろしてる刺青、長髪のちょっと危ない感じの兄ちゃん達がやっていそうなイメージがあるメタルです。「カモン!!」とか煽る所も結構あって、メタルの熱さが良く伝わってきます。
「SOLA FIDE Ⅰ」よりも更に長く、よりドラマティック。 1分30秒くらいの所など、度々登場するタームの長めなメロディの荘厳リフが素晴らしく良いです。ラスト近くの「SOLA FIDE...」からの呪殺声がかなり怖い。ちなみに、「Sola Fide Sola Deo Infernani Gloria」は、「信仰のみに、地獄の神のみに栄光あれ」という意味みたいです。
そして、この作品を超がつく程の名盤たらしめていると思うのが名曲⑪の存在。もしかしたら、ブラック黎明期の名作とされるMAYHEMの「Freezing Moon」やEMPERORの「I Am The Black Wizards」にすらも匹敵するくらいの名曲かもしれません。全体的にクオリティが高いアルバムですが、この曲によって作品が更なる高みへと引き上げられているように感じました。ただ、SE的な曲はもう少し短くして欲しかったかもしれません。雰囲気は凄く出ているんですけど、多いし5分もいらない気がします。