「TRUE NORWEGIAN BLACK METAL」を自ら標榜している事からも分かる通り、音楽性はトゥルースタイルのブラックメタルなんですが、この作品はメロディックブラックを標榜するバンド以上にメロディアスです。もちろんブラックらしい邪悪さもありつつ、ヴァイキングっぽい勇壮さ、そして時には華麗ささえ感じられるメロディが、「アクセント」どころではなく曲の全体を覆い尽くしている作風。良いメロディが多すぎて、どの部分がアルバムのハイライトかを挙げるのが困難なほど(笑)。トレモロリフでグッとくるメロディをかき鳴らすのは勿論の事、刻むタイプのリフを弾く時でさえ美しいメロディを織り込んでくるセンスが素晴らしいです。
名盤「Under The Sign Of Hell」を生み出したGORGOROTHが、その音楽性を変える事無くそのまま進化していったならこんな音を出すんじゃないかと思います。 音質も各パートがくっきり聴こえるクリアなものでありながら、少しだけノイジーで、どこかブラック特有の未加工の無骨さみたいなものがあって、ブラック的には最高クラスです。ウォークマンに録って、雑踏の中で聴いてもリフがしっかり聴こえるであろうコシのある音。
しかし京さんのハイトーンはマジでかっこいいですね。 ミックスヴォイスなど小手先の技術に頼らず、力ずくで出しているような発声が素晴らしい。メタルのハイトーンもこんなんだったらいいのにな。音もWTDより重くなってて良い感じです。 歌詞は…ぶっちゃけ微妙かな。「I will fuck your parents」には思わず失笑…日本語の部分を際立たせる為に全英語詞にしたようですが…そういう事や、ライブ音源に「等身大の自分達を見せる」とわざと歌えてないテイクを入れたりといった妙なこだわりは捨てて、もう一段上のバンドになって欲しいです。今も充分良いバンドと思うけど、もっと上行けると思うので。
収録曲は4曲。 #1は「STEEL INFERNO」の別ヴァージョン。曲の展開や概要はそれほど変わっていませんが、ヴォーカルのエフェクトの掛け方などが変わっていて(やっぱりこれってMortuusのセンスかな?)、こっちもかっこいいです。#2はインスト。まぁ普通かな。シングルのB面やボートラに入ってそう。#3、4は「THE HANGMAN OF PLAGUE」「THRONE OF RATS」のリハーサル音源。これはめっちゃかっこいいです!!ILDJARNを連想させる、ノイズバリバリできったないけど、フレーズは聴き取れるという音質なんですが、MARDUKの曲でこんなのが聴けるとは思わなかった…特に「THRONE OF RATS」なんてヴォーカルは音が割れんばかりの迫力で最高!!
個人的には「BABYLON」までのSADSのヘヴィ・チューンに対するリスペクトが感じられる曲なんですが…どうでしょう?勿論借り物でなく、彼等流に昇華された曲ですが。ヴォーカルの掛け合いが非常に爽快です。 しかし…「Shambara」で「♪Go to heaven」と歌った後にこんなタイトルの曲を持ってくるとは…「社会の窓から顔出し/親に代わってお仕置きだよ」の歌詞は笑ってしまった(笑)こんな歌詞なのに(だからこそ?)、歌い回しがやけにかっこよくて印象に残ります。
この曲の咳き込みはなんか喀血しているみたいですね。 個人的に好きな箇所は「Are they forlorn? Yes! They are forlorn」の部分。MAYHEMのManiacに比肩するほど邪悪に潰れたうめきと、車に轢かれた猫みたいな独特な裏声悲鳴を交互にやっててめっちゃかっこいいです。案外器用だったりして…。