ディスク一枚目が94年発表の1st「As the Wolves Gather」、二枚目が95年発表のEP「Sjel av Natten」、三枚目が96年発表の2nd「The Curse of Mankind」という内容。二枚目にはEPの音源の他にも、メンバーの別バンドのJOYLESSの音源が3曲と、2ndのLP盤にのみ収録されていた曲がボーナスとして収録されています。
このバンドは、DISK UNIONの小冊子や国内外のレビューでも、BURZUMと並んで鬱系のブラックの始祖的存在として後続へも強い影響を与えているという事ですが…。確かに、BURZUMと似ている音楽性ですね。それもアンビエント志向になってからのBURZUMではなく、「Key to the Gate」や「Lost Wisdom」辺りのロック/メタル寄りの路線を継承している感じだと思います。パートによっては、近年のENSLAVEDをチープにしたような雰囲気も感じられるかも。
興味深いのは、後の作品になるに従って、何故か音質が悪くなっていく事。時期的に最も初期の「Darkness EP」はまだギターの歪みに厚みが感じられるし、リズムも打ち込みっぽさがそれほど感じられないのに、続く「Blood and Fire EP」ではギターの音が薄めになり、更に「Ritual EP」の曲ではドラムがあからさまに打ち込みっぽい音になってます。これはこのバンドが、一般的な音質の良さという価値観を曲げても、自分達の表現したい世界観を追及している証拠ではないでしょうか。
正直言って、最初聴いた時は色々な要素を取り入れているけど、あまり上手く消化できていないという印象だったんですが、スタジオ盤を聴いてバンドの魅力に気付いてから聴いてみたらかなり楽しめました。音質はクリアながらスタジオ盤よりもバランスが良くないし、ヴォーカルが無理矢理声を出して叫んでたり上手くマイクが声を拾ってなかったりする所とか、おそらくそういう部分が散漫に聴こえる原因だったんでしょうけど、バンドの音楽性に予め共感した上で聴くと…そういった要素でさえ生々しくて魅力的に聴こえてくるから不思議。よりRAWなTHE MEADS OF ASHODELサウンドが楽しめます。
リハーサル音源的な「The Mill Hill Sessions」を聴いた時は、正直言って的が絞れていないような印象を受けたんですが、こうしてスタジオアルバムで聴いてみると散漫さを感じさせない完成度があって、かなり気に入ってしまいました。ただ、中世的な世界観を打ち出している割に中世っぽいメロディは希薄(それどころかハードコアテイストすらある気が…)だし、トレモロリフもほぼないのでブラックメタルが好きな人には逆に取っ付きにくく感じるかもしれません。
鬱ブラック曲をダークアンビエントで挟み込むという構成の作風。 鬱ブラックと言うとBURZUMを初めとして、XASTHURやBLUT AUS NORDなどが挙げられますが、このバンドも上記のバンド同様、陰鬱さを突き詰めるようなブラック。上記のバンドと比べると物理的に(笑)一番聴きづらい音楽性かと思います。