SE的な曲を多用した、シアトリカルなスラッシュメタル/ハードロックという感じの作風で、アンダーグラウンドの熱気をそのままコンパイルしたような、名盤だった1stとは全く別物。表題曲や「Iron Country」辺りはまだ暗黒臭が仄香るものの、「Little Match Girl」なんかほとんど(Vo以外)普通のハードロックだし、全体的なファニーでユーモラスと言うか、ジョークめいた雰囲気が漂ってる。
4thは未聴なんですが、5th「Legacy of Evil」と3rd「Ad Noctum」を比較すると、ドラムパートの過剰な音量が調整され、スピード感がより感じられるようになったり、キーだけでなく、よりリフを曲の根幹に据えた曲作りになっていたり、メタルとして完成度の高い方向を目指して進化してる印象がありましたが、今作もその延長線上にある作風ですね。
ただ、意外だったのは音質で、特にギターの音が前作よりも明らかにノイジーな質感になってます。このギターの音質が、キーの神秘的な音色と上手く噛み合い、何か超常的で、人知を超えたものが降臨するような、オカルトでカルトなムードが色濃く出ているように思います。 特に「Dark Winds」のようなスローな曲は、最近のLUNAR AURORAや、「Drawing down the Moon」期のBEHERITに匹敵する神秘性・魔性が感じられます。
これ、改めて聴くと神アレンジですよね… 上品に夏の海を描写するようなストリングスに、その光景を前にした 感情の昂ぶりを表現するかのようなパーカッション…間奏のピアノソロも 素晴らしいし、アレンジ力、情景描写能力で行ったら織田哲郎クラスかも。 GO MY WAY!!やキラメキラリとかはメロディセンスだけで感動できるんだけど、 じっくり聴いて深い感銘があるのはこっちかも。マーティとかに聞かせてみたい。