個人的には「抱いてHOLD ON ME!」の第二章ってイメージの曲。 「愛想笑い」と「ねぇ笑って」からして被る(笑)。ただ、焼きなおしと言うわけではなく、むしろ歌謡曲らしいメロディのベタさは強化されてます。Aメロの時点でクサメロ始まってます(笑)。アレンジが自然で普通に聴けちゃいますが、何気にサビや間奏などで聴けるストリングスのフレーズが超が付くほどドラマティック。聴いてて、これがプロの技だな…と思わされました。
このバンドって、DISSECTIONの名盤「Storm of the Light’s Bane」からバンド名を取っているんでしょうか。刻みとトレモロを巧みに使い分け、ドラマティックな展開を作り出す作風なんかはモロに影響受けてそうですし、サンクスリストの影響元にDARK FUNERALやSATURNUSに加え、真っ先にDISSECTIONの名前を挙げてますし。ただ、ほぼDISSECTIONのトリビュートバンドのようだったTHULCANDRAと比べると、暗さ・邪悪さが強い分WATAINや同郷のMAY RESULTに近い気がします。
いくらブラック界の大御所が関わっていたって、EMPERORの「Wrath of the Tyrant」、LIMBONIC ARTの「1995-1996」のように、後に大成するバンドでも音質が純粋にショボい作品を出してたりするので、今作を購入するにあたっても身構えてしまったんですが…あれ?普通に聴けちゃうんですけど。むしろ、アングラなデスメタルでは全然良質な部類に入る音なのでは…。
この前に二枚のEPも出してるんですが、ジャケ買いならぬ「ジャケ買い控え(笑)」していたものの、試聴して良かったのでEPと纏めて購入。どうも最近のDRAGON GUARDIANって(1st、3rdに比べて)実力を出し切れてない印象があったんですけど、ようやく「クサ度」で1stに匹敵するアルバムをリリースしてくれたって感じです。まあ、この「クサ度」はKNIGHTS OF ROUNDのYazin氏の貢献も大きそうですが。
ただ、アイドルカバーやるならつんく関連が良かったですね、個人的には。 モーニング娘の「恋のダンスサイト」(中近東風)とか、「気まぐれプリンセス」(ロシア風)、美勇伝「紫陽花アイアイ物語」(オリエンタルな哀愁に特化)、メロン記念日「This is 運命」(パンキッシュでアレンジが奇抜)とか、メタルアレンジしたら面白そうな曲が目白押しですし。
最近のDARKTHRONEは、パンク/ハードコアとブラックメタルの融合というスタイルを見つけた感じですが、そこに至るまでのDARKTHRONEが好きな方にお勧め。DARKTHRONEの真の名盤は路線を完全に変えた後や、プリブラの基礎を作った三部作ではなく、「Sardnic Wrath」「The Cult is Alive」だという方にはツボでしょう。
このバンドも、WOLVES IN THE THRONE ROOMの系譜に当る、自然崇拝系のブラックを演ってますね。ザラついたリフに勇壮だったり、悲しみに満ちていたりなペイガン要素も含むメロディを含蓄させ、それを纏って疾走する作風はかなり共通した世界観を持ってると思う。ヴォーカルのハイピッチながなりも情景にフィットしてます。
という訳で、OPETH辺りから入って、後期EMPEROR、Ihsahnソロ、PERSEFONE辺りのプログレメタル漁ってる人なら必聴。泣きのメロディも強いので、BARREN EARTHやBEFORE THE DAWN辺りの、ゴシック要素強めなドラマティックな音出してるバンドが好きな方もハマれると思います。
よく比較されている通り、轟音で鳴らされるギターリフの中に繊細なメロディを施し、カタルシスを感じさせるような作風は、WOLVES IN THE THRONE ROOMやFARSOTなどのシューゲイザー/ネイチャー系のブラックと似た路線ですね。但し、WOLVES~が自然崇拝、ALCESTがノスタルジー、LIFELOVERがアーバニズムなど、シューゲイザー/ポストブラックが一般的なブラックとは一線を画す情景を描こうとするのに対し、このバンドの描く世界観はしっかりと暗黒メタルしてます。
「Luciferian Call」もイントロの叙情暗黒トレモロ疾走から意外なメカニカルリフに繋げる展開は良いのに、後が続かないし、せっかくリードがメロく暴れ、雰囲気を作っておいてコーラスで何故かテンションを下げる「Slaves to Anguish」といい、DISSECTIONやNECROPHOBICと差別化した展開を入れようとすればするほど、無難な感じになってしまってるように思えるんですよね…。
KEEP OF KALESSINの元メンバー、BELPHEGORのライブメンバーが在籍と、優れたメロディック・ブラックを演っているバンドと人脈的繋がりがあることからも予想されるとおり、非常に高品質なメロブラを演ってます。テクニカルに刻み込むリフワークを中心とした曲作り、スラッシュの延長線上にありそうなスタイルのがなりデス声、非常にクリアな音質など、デスラッシュ・メロデスに近い、メジャー志向の音だと思う。