WINGS OF ANTICHRISTが再発されるって本当でしょうか? ボーナスでライブテイクやEPの曲も入るとか聞いたんですけど… 試しにAmazonで検索してみたら、「WINGS OF ANTICHRIST 近日発売」 となっていたので、信憑性はかなり高そうです。 本当だったらかなり嬉しいです。ずっと聴きたかったんですよね。
2004年発表の3rd。 DISK UNIONの小冊子でもブラックの名盤として紹介されていた作品です。
DARK FUNERALやTHE LEGION辺りのファストブラックの爆発力と、CARPATHIAN FORESTなどのオールドスクールなブラックのダーティさを組み合わせたような、ブラックの良いとこ取りな作風で、正にTRUE NORWEIGIAN BLACK METALの鑑といった音。雪崩のように炸裂する豪速ブラストと、スラッシーでノリのいいパートを上手く合わせた、メリハリのある展開と、DARK FUNERALにも通じる「悪魔的」な雰囲気を感じさせつつも、寒々しさより禍々しさや毒性の強いメロディのセンスによって、常に緊張感が保たれている感じ。
TUBEのロック色が色濃く顕れた一曲。 キャッチーなメロディのシンセ音とヘヴィなリフが良くマッチしています。TUBEはシングルではポップ系/ラテン系が多いですが、アルバム曲でこういうHR好きに受けそうな曲がある所が見逃せないですね。「ぶつけろ!!You've got to make your motion」の所はデーモン小暮閣下やB'zの稲葉さん、ムックの達瑯さんにも勝るとも劣らない倍音で前田さんが優れたヴォーカリストである事を改めて認めさせられます。
「シーズン・イン・ザ・サン」や「BOYS ON THE BEACH」のような爽やかな曲も良いですが、こういう湿度高そうな熱気のある曲は年季が出てきたことでさらに深みを増してきているように思います。特に「♪ベッタリ甘い…」からはイヤらしく絡みつくようなメロディで一発で印象に残りますね。ピアノやブラスのアレンジもお洒落で最高。
…と、無理矢理理屈を付けてこの作品の魅力を語るとこんな感じ(笑)。 一聴で「何か凄い」事は伝わるけど、その凄さを言葉にするのが難しいアルバムなんですよね。KHOLD、SATYRICON、CODE、SECRETS OF THE MOON辺りを愛好する方にお勧めですが…これらのどのバンドとも異なる個性を持った作品だと思う。ノルウェー産ブラックの奥深さをまたしても良く伝えてくれる好盤です。
基本的にはオーソドックスなプリミティブブラックという感じなんですが、スローパートにちょっとFreezing Moonを髣髴とさせる部分があったり、Funeral FogやBuried by Time and Dustを意識しているのでは…と思わせるリフが出てきたり、全体を通してEuronymousの時代のMAYHEMの息吹が感じられるのが大きな特徴ですね。時折見せるオールドスクールな部分も、Dead在籍時のMAYHEMに近い雰囲気がありますし。
ピアノやストリングス、クワイア風空間系など様々な音色のキーボードが、重層的に絡まりあい耽美さを演出するシンフォニックブラックで、個人的には「Dusk~」「Cruelty~」期のCRADLE OF FILTHにも通じる、ゴシックホラー的な景色の見える音だと思う。メロディが明らかに洋ものゴシック系で、一聴しただけでは日本人とは気付かないような出音なんですが、そのメロの耽美さがCOFよりもかなりあからさま(MIRRORTHRONEクラス?)で分かりやすいものになっている辺り、やはり異文化を咀嚼するのが上手い日本人らしいと思う。