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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6201-6300

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6201-6300
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THRONEUM - Deathmass of the Gravedancer ★★ (2011-09-20 19:00:16)

2007年発表の4th。

これ、結構好きかもしれません(笑)。
音としては、「ズモモモモ…」とか「ボボボボボボ…」とかの効果音で表せそうな、ローファイな音質でオールドスクールなデスメタルに近い、ドロドロしたリフを奏でつつ、そこにトタン板を叩くかのごときドタドタしたドラミングが重なる、非常にカルトな路線。プリミティブブラックの低音質と、オールドスクールデスのおどろおどろしさを掛け合わせたような作風。

ヴォーカルは低音質なバンドサウンドとは打って変わり、まるで別のスタジオで録ったような抜けの良い音で録られているのも、B級感に拍車を掛けてますね。プリブラによくあるウギャウギャした声ではなく、スラッシュ/ハードコアのテイストが強い雄叫びっぽい叫びでかなり熱い。…しかし慣れてくると、これらが妙に噛み合ってかっこよくなってるように思えるんですよね。特にトタンドラムの連打が何気に気持ちいいです。

しかしこのバンド、調べてみたらこの時点で10年選手だというから、筋金入りであることが伺えますね…。裏ジャケでもギターにバンドのステッカー張りまくって決めポーズしてるし、凄く楽しんで音楽作ってそうでなによりです(笑)。


THRONUM VRONDOR ★★ (2011-10-01 19:33:12)

ベルギー産ブラック。
今までに二枚のアルバムをリリースしてますが、二枚目はかのTotal Holocaust Recordsから出している模様。


THRONUM VRONDOR - VRONDOR Ⅰ : EPITAPH OF MASS DESTRUCTION ★★ (2011-10-01 19:35:11)

2007年発表の1st。

粗くネクロな音質の中で、強烈ながなり声とトレモロリフを乗せて疾走する、タイプ的にはオーソドックスなプリミティブブラックという感じの音ですね。トレモロ含有率は比較的高めで、平均よりもややメロディアスな音。ただこのバンドの場合、音質の「粗さ」が結構特徴的で、それが魅力に繋がってますね。

他のプリミティブ系が高音強調型のシャーシャーした音を選ぶことが多いのに対し、この作品は高音域やや弱め、低音域やや強めの「ズモモモ…」という感触の音。これがリフのノイジーさを軽減して聴きやすくし、更に海底から響くような、独特の質感を生んでると思う。トレモロなど、メロディックな部分はしっかり前に出して聴かせてくれる辺りも、カルトになりすぎず良い感じ。

なかなか良い按配の、聴いていて心地よいプリミティブブラック。
個人的には刺々しい音質よりこういう音の方が好みだったりします。


THROUGH THE PAIN - Time Heals Nothing ★★ (2010-03-26 02:37:00)

2009年発表の1st。

チェコの自傷ブラックTRISTとスプリットを出していたり、LIFELOVERと人脈的な繋がりがある事からも推定される通り、スローで鬱々とした、いわゆる「鬱ブラック」に分類されるブラックメタルを演ってますね。ただ、鬱の表現方法が、この手ではポピュラーなトレモロリフでの絶望的メロディや、キーによる湿り気を帯びた雰囲気作りではなく、儚く、どこか安らぎを感じさせるような、メランコリックなメロディを掻き鳴らす事なのが大きな特徴。

メロディの性質からは、シューゲイザーブラック好きにもお勧めできそうですが…やっぱり、鬱ブラック特有の、「死」を感じさせる雰囲気もかなり強いと思う。メロとは対照的に、ヴォーカルはSILENCERの裏返り部分のみを参考にしたような、疲弊しきった感じの悲鳴ですし(笑)。TRISTが自傷、CIRCLE OF OUROBOROUSが衰弱死ならこのバンドは安楽死という感じ。朦朧とした中、必死で生存を叫ぼうとする意識…しかし、最早肉体にはそれを表現する術は無かった…みたいなストーリーが浮かびます(笑)。

しかし、ブラック、特に鬱ブラック聴いてると色々な死に様が思い浮かんで興味深いです(笑)。ペイガン系なら「戦死」があってもおかしくないし…このジャンル、どこまで表現が広がるんだろう。


THRUDVANGAR - Durch Blut und Eis ★★ (2011-11-12 11:04:10)

2010年発表の4th。

かなりメロデスや正統派の影響の濃い、メタリックなヴァイキングメタル。
正統派的なリフでダイナミックに攻め立てつつ、ここぞという時でメロブラ的な広がりのある、メロウなメロディを聴かせる路線で、キーボードもリフの良さを減衰させない味付け程度に用いられてますね。民族メロの濃度はそれ程高くなく、民謡系というよりは映画のヴァイキング出航のシーンが浮かぶような感じ。

ただこのバンド、曲展開やメロディセンス自体は日本盤出してるヴァイキングメタルと比較しても引けを取らないんですが、プロダクションはブラック特有の粗さが少し残っている感じですね。そのノイジーさが、メタリックな重さと両立されているのでかなり迫力のある音になってます。ただ、このプロダクションのせいで少々エンターテイメント性は減ってしまってる感じで、普段からメタルを愛聴していない人には少し厳しい音になっているかもしれません。この手が元々好みな方には問題なく推薦です。


THULCANDRA - Fallen Angel's Dominion ★★★ (2010-09-12 18:34:00)

2010年発表の1st。
DISSECTIONの「The Somberlain」のカヴァー入り。

リフで寒々しさを演出する、いわゆる「DISSECTION系」のメロブラですが…ここまでDISSECTIONへの憧憬と敬意が感じられる音楽性のバンドは、他に無いのではないでしょうか。温度だけでなく辺りの景色の明度までも下げるようなブリザードリフ、暗黒美の中にも気品の感じられるメロディ、中音域でのシャープながなり声など、基本的な部分も似てますが、クリアながら氷の礫を思わせる歪みの掛かった音質や死神ジャケのアートワークまで、徹底して意識してる感じ。パートによっては「Unhallowed」「Thorns of Crimson Death」の変奏にすら聞こえるフレーズも。

個人的に、こういう芯までDISSECTION系なメロブラって貴重だと思うんですよね…。リフで寒々しさを描くメロブラでも、DARK FUNERALはブルータルだし、KEEP OF KALESSINはテクニカル、NAGLFARやOLD MAN'S CHILDはメタリックなど、意外と純粋に「DISSECTION系」って少ないんですよね。それっぽい音楽性のバンドでも、トラッドやプログレ風のフレーズを挟んだりすることが多いし、このバンド程徹底してるのは非常に稀。DISSECTIONが3rdでメロデス方向に行き、リーダーの自殺で解散した事に嘆いた方の中には、このバンドのデビューに快哉を叫んだ人も多いのでは。

一部では「Storm of the Light's Bane」を継ぐアルバムとしても名高い作品。個人的には、「Unhallowed」「Black Horizons」など、ブラックのクラシックと言える名曲を遺したDISSECTIONと比べると、まだ楽曲そのものは少し弱く思ってしまいますが、この路線を変えずに頑張って頂きたいバンドです。


THUNDERBOLT - Apocalyptic Doom ★★★ (2016-06-19 10:31:59)

2007年発表の4th。
この後バンドは解散しているようなので再結成が無い限り目下最終作ですね。

なんとなくパワーメタルバンドっぽいバンド名な気がしますが、中身はブラックメタルのど真ん中直球を行くような音。不気味さやメロウさを感じさせるトレモロやブラストでの畳み掛けによるメリハリの付いた音で、時折MAYHEMの1st辺りのブラックメタル原典へのリスペクトも伺える展開もあるのが熱い。

基本北欧ブラックに通じる邪悪さをストレートに体現してる音ですが、ブラストで畳み掛けるパートでの暴虐性であったり、デスメタル的な切り返しなどはデスメタル大国ポーランドのお国柄を感じる部分かもしれません。プロダクションのノイジーな質感も相俟って、WATAINやMAYHEMなんかと比べるとどこか乾いた印象もありますね。

取り合えずブラックが好きであればなにかしら感じるものはあるであろう音。INFERNAL WARなどのメンバーが関与してますが、流石のクオリティです。


THUNDRA - Worshipped by Chaos ★★★ (2010-06-05 23:16:00)

2006年発表の2nd。

中古屋にて500円くらいで投げ売られていたのを、ENSLAVEDやTHRONE OF KATHERSISのメンバーが関わっていると知りサルベージしてみたんですが…クックック、たまに自分のヒキの強さが怖くなるぜ(笑)。めっちゃクオリティの高い、ヴァイキング寄りのKEY入りメロブラなんですが。

色々なバンドの良い所を取り入れたかのように、各要素が極めてレベルが高いのが特徴ですね。例えば、リフにしても時にTAAKEを思わせる、凍てついたブラック的な物を弾いていたり、時にGOD DETHRONEDクラスのキレのある、デスラッシュ寄りの物を弾いていたりするし、ヴォーカルにしても典型的なヴァイキングの朗唱ではなく、初期BORKNAGARや中期ARCTURUSのGarm風の、気難しげでミステリアスな歌いまわしが魅力的だし、デス声もIhsahn風絶叫とデス的なグロウルをどちらも高いレベルで使いこなすしで、本当に隙が無い感じ。

個人的には、特にヴォーカルの歌いまわしが気に入りましたね…Garmファンなので(笑)。
これらの要素を、過不足無く纏め上げて、ドラマティックな展開美を見せる編曲スキルも、かなり高いレベルにあるのではないでしょうか。メジャーどころと比べると、少し「引き」のパートに弱さを感じもしなくもないし、このバンドならではという物に欠ける気はしますが…それは敢えて粗を探しての話で、普通にCARPATHIAN FORESTとかTAAKEと並び賞されて然るべき質だと思う。少なくとも、投げ売りされていい音じゃないですよ、これ。

でも、一番ダメなのはバンドに商売っ気が全く無さそうな事かも(笑)。
ブックレットとか、アートワークとか、なんか「売れる気」が余り感じられないというか…。もっと注目を浴びて然るべき音を出してると思うし、もう少しアピールしていってもいいのでは。


THUNDRA - Worshipped by Chaos - On Thorns ★★★ (2010-06-05 23:23:57)

この曲はギターの音作りが、他の曲よりジャリジャリした感触が強めな感じがします。この曲が頭にあったからこそ、TAAKE辺りを引き合いに出して語りたくなるんですよね。実際は割と聴きやすく、質の高い音なんですが、この曲があることで実際よりも邪悪なイメージを与える事に成功してると思う。


THUNDRA - Worshipped by Chaos - Symphony of Anguish ★★★ (2010-06-05 23:25:45)

DISSECTIONにキーボードを被せたような、メロディックな疾走から入る展開でもう惹き付けられますが、その後も爆走に華やかなオブリを交えたリフとノーマル声を乗せたり、キーによる印象的なメロディが出てきたり、ツインリードの叙情的なハモりがあったりで攻撃の手が休まりません。メロブラの良い所を、全部乗せしたかのような豪華さ。


THUNDRA - Worshipped by Chaos - The Existing Darkness ★★★ (2010-06-05 23:24:53)

アルバムでもGarm風普通声のフィーチャー度高い一曲。
エピックな展開とも相まって、聴いてるだけできゅーっと来ます(笑)。ホントいい声だなぁ…。


THUNDRA - Worshipped by Chaos - Worshipped by Chaos ★★★ (2010-06-05 23:23:07)

アルバムのラストを飾るのは、一流のデスラッシュと比較しても何ら劣らない、キレのあるリフ捌きを聴かせてくれるこの曲。ギターソロによる叙情的なメロディも、まるで勝利の凱歌のような味わいがありますね。…単に音楽を聴いていただけだというのに、なにかやり切った感みたいなものがあるんですが(笑)。かなり満足感の高いアルバムでした。


THURISAZ - Circadian Rhythm ★★ (2011-12-05 20:39:43)

2007年発表の2nd。

どうもカラオケに配信されるくらい人気の、名前の似たヴァイキングメタルバンドがいるせいで微妙に割を喰ってる感じがするんですが(笑)、このバンドもなかなか高品質なシンフォニックブラックを演ってますね。刻みを多用したメタリックな感触のリフに、荘厳なキーボードを丁寧に絡めてドラマティックに展開する作風。

キーだけでなくリードギターにも結構メロディ振ってるんですが、この音色がアトモスフェリックなキーの音との相性バッチリでかなりかっこいい。メロディそのものも単にクラシカルなだけでなく、古代の遺跡を思わせる神秘性や妖しさがあって、どことなくゴシックな風味も。まろやかなクリーンヴォーカルを入れてるのも、ドラマ性や妖しさを更に強調する結果となってますね。

物凄く個性的、と言う訳ではないですが、クオリティ自体はかなり高いシンフォニック・ブラック。あと少しで抜きん出られそうな気はするんですが、現状でもそれなりに聴き応えのある作品だと思います。


THY CATAFALQUE - Rengeteg ★★ (2012-09-23 11:03:28)

2011年発表の5th。

ARCTURUSファンにお勧めという事でブラック関連の棚に陳列されていたのを発見、興味を持って購入した次第なんですが…確かにこれはARCTURUS、それも2nd以降のブラックをある程度離れ、プログレ/アヴァンギャルドメタル化してからのARCTURUSに近い路線で期待通りの音。…というかこれ、ARCTURUSの文脈がなかったら、多分ブラックの棚に陳列されてない作品だと思う。

音的には男女クリーンヴォーカルや、インダストリアル風味から派手めなオーケストラ、妖艶なプログレメタル風など多岐に渡る音色を使い、浮遊感を演出するキーボードを交えた、妖しく幻想的な作風。個人的には高音はSimen似、中音域はGarm似のクリーンヴォーカルの声質にはかなり惹かれるものがあります。正直SimenやGarm程歌唱力高いとは思わないけど、歌い方や声は凄く好み。

アヴァンギャルドメタルにありがちな即興めいたウネウネ感は少なく、むしろリフ捌きなんかはARCTURUSよりもメタルの泥臭さが強いと思う。ARCTURUSの4thがスペースオペラならこっちは惑星探査って感じ。アルバム構成も聴き手を飽きさせないようドラマ性を持たせてある感じで、中盤の古代文明を発見したかのようなエスニックな雰囲気や、ラスト付近のそのまま宇宙に消失しそうな勢いの疾走などは個人的に聴き所だと思う。

ヴォーカルやチェロなどにゲストを招いているものの、基本的にTamas氏一人のプロジェクトだそうですが、一人バンドにありがちな薄っぺらさはなく、しっかりクオリティの高いプログレメタルを聴かせてくれます。音は大分違いますが、CYNICの世界観が好きな人なんかにもアピールできる作品なのでは。


THY DARKENED SHADE - ETERNUS MOS, NEX RITUS ★★★ (2013-04-04 06:09:10)

2012年発表の1st。

このバンドはギリシャ産のブラックメタルバンドで、メンバーのSemijaza氏はACRIMONIOUSを始め、KAWIRやRAVENCULTなどギリシャ産でも割と知名度の高いバンドに在籍している/していた…というプロフィールを持ってますが…ザリザリした質感を持つ、土着性や呪術性を練り込んだリフが、スラッシーなノリの良さも見せるリズムと連動する作風は、TAAKE辺りを代表とするノルウェー産ブラック、それもTrue Norwegian Black Metalを標榜するグループを思わせますね。

ACRIMONIOUSなんか正にそうですが、ギリシャのバンドってオカルティックな雰囲気を持ったバンドが多い印象なんですよね。このバンドもノルウェー産のバンドよりどこか陰湿な空気感を持っている気がします。それがノルウェー風の土着性とスラッシーな攻撃性の入り混じったリフと噛み合い、更なる邪悪さを生み出せている感じ。疾走だけに頼らない、ある意味グルーブ感のあるリズム構成とも相俟って、妙に温度感のある闇を感じられる作品。寝る時に聴いてて、半覚醒の無防備な状態で聴いたらかなり怖くなってしまいました…。

楽曲構成、演奏、プロダクションなど1stにしてはかなりハイレベルな作品で、流石名門World Terror Committeeからのリリースだと感じさせます。特に妙なリアルさのある邪悪なムード作りは非常に巧み。ノルウェー産ブラックが好きでも、ギリシャ産が好きでも自信を持ってお勧め。


THY HASTUR - The Ancients ★★ (2012-01-03 09:22:45)

2010年発表の3rd。

ブルータル路線やペイガン/NS系が多い印象のポーランドですが、このバンドはキーボードを多用し、荘厳な空間を演出するシンフォニックなスタイル。少し音圧控えめな感じのバンドサウンドを、どこか宇宙的で、非日常の世界へアクセスするようなキーボードが包む、神秘的なイメージが浮かぶ音。個人的にはバンドの音が抑え目で、メタルとしては中音域に少し物足りなさを覚えるくらいなのが、逆に良い味だと思ったり。キーの音色やメロディとも相俟って、より日常から乖離した音に聴こえるんですよね。

但し、ミステリアスでアトモスフェリックさを感じさせる作風ながら、意外にもギターにメロデスにも通じるようなメタリックさがあるのも特徴ですね。キーボードに主役張らせてる時でも結構印象的なフレーズを弾いてたりするし、トレモロやリードに込められた泣きメロもグッド。6曲目ではキーボードを敢えて入れず、メロディックブラック的なスタイルで聴かせますが、こういう作風でもなかなか魅力的に聴かせられてると思います。

現時点ではキーボードの音色の選択とギターのメタリックさの合わせ方に、個性を感じはしますが、まだスペシャルな音…というところまでは行ってない感じがします。とは言え、このジャンルが好きな人ならばほぼ確実に楽しめるクオリティはあると思いますので、シンフォブラック好きには推薦。


THY LIGHT - No Morrow Shall Dawn ★★★ (2014-10-04 00:54:44)

2013年発表の1st。

Pest Productions発、ブラジル産の鬱ブラックというプロフィール、そして一曲目のピアノメインのインスト「Suici.De.Spair」の、まるで自分の人生が勝手に美しい物語に置き換えられて完結させられるかの如き、致命的なまでにメロウな雰囲気から本編にも期待したんですが…期待以上なんですが、この作品。この手って掴みのインストが一番ムードがあったりする残念なことが少なくないですが、この作品は最初にここまで期待値を上げておいて、それ以上のものを提供してくれるという真逆のことをやっていて素晴らしいです。

鬱ブラックやシューゲイザーブラックって、全体の雰囲気や溢れ出る感情を聴かせるものも多いですが、このバンドは楽曲やフレーズで聴かそうという志向が非常に強いのが特徴ですね。例えば、2曲目「Wanderer of Solitude」は2本のアコギが可憐に絡むイントロから、ドゥーミーに引き摺るリフに、人々が黄昏の海に還っていく情景を思わせる、人類自体のエンディングテーマのような終末的メロウさを感じさせるメロディが乗る、儚く物悲しくもどこか破滅めいた雰囲気の本編へと展開する楽曲。

続く3曲目「No Morrow Shall Dawn」は特徴的なリズムと、連動する厚みのあるギターリフで聴き手を催眠状態に陥らせた上で、アンビエントなパートを経て魂を引き込むかのようなトレモロが渦巻く後半部で止めを刺す構成が非常にドラマティック。ラストの「The Bridge」は、アトモスフェリックな中にギターノイズが異物感を醸し出す導入部から何かを予感させますが、本編も精神が現世を少しずつ離れていくような雰囲気の中でメロウなメロディが応酬される、締めに相応しい雰囲気の曲。

…とこんな風に、どの曲を聴いても何かしら情景が浮かんできて、それに引き込まれてしまうんですよね。キーボードやギターの音色選び、儚く繊細で聴き手の印象に残るようなメロディなど、この手としても非常にセンスの高い作品だと思うんですよね。繊細なのに全体を通じて厭世的というか、現世を離れたがっているような浮世離れしたムードがあったり、ヴォーカルの叫びのロングトーンがかなり悲痛な響きだったりして、決して甘い作品とは言えないのも良いです。これは鬱系の中でもお勧めの逸品ですね。


THY MESMERIZED - Thy Mesmerized ★★ (2009-09-27 22:30:00)

2006年発表の1st。

イスラエルのブラックという触れ込みからしてなにか期待を煽るものがありますが、それに応えられるだけの強烈な音ですね。タイプ的には、おそらく殆どバンドサウンドを元にしてないであろう、本格的にノイズの世界に足を突っ込んだ路線で、DEADWOOD辺りに近い音楽性。

ほぼメロディを排した作風ですが、空間が弛むような持続音が視界を真っ黒く塗りつぶし、ノイズによる血のせせらぎが足を洗い、風のSEが聴き手の体温を下げる…といった風に、音の組み合わせによる演出はかなり巧み。ヴォーカルもほぼ効果音として聴けるくらいノイズ塗れで、音像にぴったりフィットしてます。

エグい音ですが、「邪悪」とか「宗教的」というよりは、ひたすら暗く、臨場感がある感じ。死んだ後、生前の業罪が裁かれる場所というのがあるとしたら、こういう感じなのではないでしょうか。ジャケには人が有機的な紐のようなもので繋がれた絵が描かれてますが、こういう世界を音で味わいたいならば買って損はないと思います。


THY NADIR - J.B.M (BLASPHEMOUS LEGION / THY NADIR) - ENTER INTO DEEP FOREST ★★★ (2009-10-12 04:19:38)

このキーとバンドサウンドが交じり合って出来る魔的異空間っぷり、プリミティブ化したLUNAR AURORAというと言いすぎでしょうか。…音が大きくなる演出が少しうっといのが惜しいですが、初めて聴く曲がこんな曲だったら、そりゃバンドに興味持ちますよね。


THY NADIR - J.B.M (BLASPHEMOUS LEGION / THY NADIR) - TREES ADDRESS TO THEE ★★★ (2009-10-12 04:21:11)

この曲も強烈ですね…いわゆる「ハレとケ」でいう「ハレ」に当たるような、地域のお祭りっぽいメロディなのに、しっかりブラックの邪悪さを感じられます。盆踊りに参加して気持ち良く酔っていて、気が付いたら濃い霧に囲まれて周りでは死体が踊ってた…みたいな(笑)。


THY PRIMORDIAL - Pestilence Upon Mankind ★★ (2011-05-09 00:03:19)

2004年発表の6th。
バンドはこの作品をリリースした翌年、解散してしまった模様。

スウェーデンのファストさとメロディックさを兼ね備えたブラックとしては、DARK FUNERALやSETHERIALに次ぐ存在として語られていたバンドらしいですが、確かに風格のある音だと思います。DARK FUNERALがファストパート重視、リフ押しの曲構成を取る事が多いのに対し、こっちはリードフレーズやミドルパートもそれなりに入れてくる、なかなかに劇的な曲展開。

ただし、だからと言ってDARK FUNERALより聴きやすいかと言えばそうでもない感じ。ノイジーなギターと轟音のドラムが織り成す、土石流のようなプロダクション(低音質ではない)はメタル聴いてる人でも好みが分かれそう。ただ、この音質のお陰で、ファストパートは圧倒的な迫力を、ミドルパートでは鋸を引くような強烈さを、それぞれ演出できていると思う。

ヴォーカルの切れっぷりも素晴らしいし、要所で出てくるメロいリフは、悪魔学的という言葉が浮かぶような邪悪さも兼ね備えているし、クオリティ的にはなんら問題ない作品だと思う。ただ、個人的にはプロダクションがドラム強調型よりもリフ強調型の方が好みなんですよね…好みの問題で、星は二つとしました。


THY SERPENT - Christcrusher ★★ (2008-10-26 21:55:00)

98年発表の3rd。

中心人物であるS. TenetzがSpinefarmの傘下レーベル「Spikefarm」を立ち上げていたり、COBやMOONSORROW、FINTROLLなど有名なバンドとも関連があり(COBのAlexiも加入していた時期がある)、箔が付きすぎるくらい付いているバンドなのに、何故か某メタルショップでファミレスのデザート並の値段で投げ売られていたので取りあえずサルベージしてみました(笑)。

…関連バンドなどの情報自体はある程度得ていたものの、音に関しての先入観はない状態で取りあえずプレイボタンを押すと…うっすら被さるキーと、泣きのギターメロが聞こえてきて「アトモスフェリックなメロブラタイプのバンドかな」と思っていると、BARATHRUMにも通じるロックンロールっぽいノリの良いアンサンブルやゴシック的な朗唱も飛び出してくる意外な展開も。

数曲聴いてゴシック寄りのミディアム中心のメロブラと認識しかけた所で突然ブラストを解禁したりして、付き合っていて面白いアルバムになってると思います。色々取り入れすぎててこれといったウリが見えづらい気もしますが、世界観は統一されてると思います。

ただ、ヴォーカルのデス声がいまいち迫力に欠けたり、音質がVoの歯擦音やドラムがうるさく、せっかくのアトモスフェリックな雰囲気を壊しがちなものであったり、確かにB級っぽく感じる所も。また、このバンドはアンチキリスト教ではあるけど悪魔崇拝者ではないらしく、「アンチクリスチャン・ダーク・メタル」を名乗ってますが…その信条のせいなのか、トレモロは少なめ。個人的にはちょっと物足りないです。

…少し不満もありましたが、まあ投げ売りされるほど酷い作品では全くないかと。
これなら充分良い買い物したと思います。


THY SERPENT - Christcrusher - Chambers of the Starwatcher ★★ (2008-10-26 22:00:30)

一番インパクトがあったのは1曲目のこの曲かな…。
アトモスフェリックブラック+泣きギターの組み合わせも結構珍しいと思いますが、そこにロックンロールっぽいノリを足してくるのは他に無いのでは。今でこそNorthern Heritage系とかプリブラ全盛ですが、フィンランドのこの時期のブラックって独特な雰囲気がある気がする。


THY SERPENT - Christcrusher - Crystalmoors (2008-10-26 21:58:38)

イントロの雰囲気は完璧。
でもその後がちょっと続かないかな…。


THY SERPENT - Christcrusher - So Free Are the Wolves (2008-10-26 21:59:29)

こういう曲はダークな普通声とキーボードで風景描写に徹して欲しかったなぁ…。そういう要素が入ってるパートは良いのに、中途半端にメタリックにしてる感があるかも…。


THY SERPENT - Death ★★★ (2009-03-20 09:34:00)

2000年発表の4曲入りEP。

前作「Christcrusher」では、アトモスフェリックメタルやスラッシュなど、様々な所から影響を受けたような、大分拡散した音楽性の暗黒メタルを聴かせてくれた彼らですが…今作は、その中でも特にリードギターによる「ゴシック的な妖気を放つ泣きメロ」に焦点を当てた事で、一本の筋が通り、格段に魅力を増したような感じがします。

ブラック的なブラストビートやトレモロリフではなく、刻みリフや泣きのリードギター、力強いミッドテンポで押す作風は、ブラックというよりもむしろ正統派やメロデスに近い手法だと思う。でもブラックの妖気はしっかりあるところが素晴らしいです。…今作を以って、彼らの言う「アンチクリスチャン・ダーク・メタル」は完成を見たと思う。

しかし、バンドはこれ以降、活動を休止してしまったようですね…。
ムードある泣きメロのセンスもかなりのものだと思うし、せっかく良くなってきたのに惜しいです…。


THY WORSHIPER ★★ (2008-08-13 23:27:00)

ポーランドのペイガンメタルバンド。
GRAVELANDとも繋がりがあるみたいです。


THY WORSHIPER - Signum ★★ (2008-08-13 23:22:00)

おそらく2005年発表のデモのCD化再発盤。
デモと言っても、ちゃんとフルレンスと同じ長さがあるのでご安心を。

メロブラ風のトレモロリフやブラストビート、メロデス風のザクザク刻むリフやメロウなリードなどのメタル要素をベースに、祈祷師風(志方あきこ似?)のしゃくりあげる女性ヴォーカルやヴァイオリン、笛などによるエスニックなメロディを織り込んだペイガン・メタル。
最近ではTURISAS、ELUVIETIE、EQUILIBRIUMなどのメタルにペイガン・トラッド的なメロディを取り込んだバンドが人気を博してますが、この作品もそうしたバンドが好きな人にアピールしそうな叙情トラッドメロがかなりフィーチャーされてますね。

ただ、上記のバンドはエンターテイメント性やメタルとしての革新性など、聴き手をかなり意識して民族メロとメタルを融合させているように思えるのに対し、このバンドは呪術とか、エスノセントリズムなどの危険なものにリアルに傾倒していそうな、シリアスなヤバさが漂ってるのが決定的な違いかもしれません。取りあえず笛で楽しく踊ったり、RPGや映画などの創作的世界観を楽しむような感じで聴くのはまあ無理ですね(笑)。PERUNWITをメロデス化した感じというと近いと思います。

GRAVELANDを始めとして、PERUNWITやVELESなどポーランドのマジなペイガンメタルバンドって、一般的なメタルとしての価値観を半ば無視してまでペイガニズムを体現する傾向にあるような気がしますが、このバンドはこれを聴く限り根幹にしっかりとメタルとしての価値観が根付いてる感じですね。曲によっては激メロウなツインリードまで完備してたりしますし(笑)。

クサメロの流れでペイガンにはまった人に、今度は歴史や思想など文化的な部分にも興味を持ってもらうにも最適なアルバムなんじゃないかと思います。


THY WORSHIPER - Signum - Crucem ★★★ (2008-08-13 23:27:02)

疾走パートのギターワークも華麗で素晴らしいですが、3分辺りからのいかにもな妖しい雰囲気がたまりません。異教の儀式の最中、焚かれたスモークの中に日常では決して出会うことのない、何か神秘的な存在が垣間見えそうになっているかのような感覚。


THY WORSHIPER - Signum - Diabolus ★★★ (2008-08-13 23:25:12)

後半の多重ヴォーカルパートが個人的に凄くお気に入り。
まるで村人全員に呪い殺されるかのような感じだわ…。ペイガンのこういう雰囲気って聴いてると何故か妙に落ち着くんですよね…日本人なのに(笑)。


THY WORSHIPER - Signum - Ignis ★★★ (2008-08-13 23:24:10)

1曲目からの切り返しが実にかっこよく、掴みとして申し分無し。
1曲目と繋がってるので、実質的に11分あるようなもんですが、結構ダレずに聴けますね。民族音楽もメタルも、両方とも高揚をもたらすものだから意外と相性がいいのかも。


THY WORSHIPER - Signum - Ritus ★★ (2008-08-13 23:26:05)

LORD WINDの世界観を生楽器も使って表現したかのような壮大な曲。
神話の世界の、戦の舞台となった渓谷が目に浮かぶよう。このバンドのメンバーも、Rob Darkenと近い感性を持っているのかもしれません。


THYRANE ★★ (2013-05-05 10:09:06)

フィンランド産シンフォニック・ブラック。
後期はインダストリアルな方向に音楽性を変化させていったバンド。


THYRANE - Hypnotic ★★ (2013-05-05 10:15:55)

2003年発表の3rd。
このバンドは初期作がクオリティの高いシンフォニック・ブラックでその手を好むリスナーから高い評価を受けていますけど、この作品は既に脱ブラック化がかなり進んでますね…。

刻みを多用した、メロデスに近いリフワークとミッドテンポ中心のグルーヴィでキャッチーなバンドサウンドに、元シンフォブラックバンドらしい妖しくクラシカルなフレーズや、メカニカルな音色を取り入れたキーボードを乗せた音で、THE KOVENANTや近年のSATYRICON、SAMAEL辺りに近い作風に仕上がってます。流石にシンフォ系で高い評価を得ていただけあって、キーボードのメロディは印象深いものがあって良い感じ。

ただ、正直ブラックメタルらしさが殆どないリフワークは、聴いていてちょっと淡白さを覚えてしまうのも確かなんですよね…。この辺り、作風は変化してもSATYRICONのように邪悪なメロディは残しておくとか、SAMAELのようにどキャッチーでメジャー志向になってしまうか、大胆に耳を惹く部分が欲しかった所。音質もかなり整ってると思うし、質が低いという事は全くありませんが…まあ単純に好みの問題でしょうね。

上記のバンドを始め、DISMAL EUPHONYやDIMENSION F3H、MORTIISなどインダストリアルな方向に活路を見出すバンドは少なくないですが、その辺りのブラック的感性を残したインダストリアル作品を蒐集している方なら聴いて損はないと思います。


THYRFING - Farsotstider ★★ (2011-08-03 23:00:36)

2005年発表の5th。

フォークメタルよりもエピック・メロディックブラックに近いスタイルのヴァイキングメタルを演る彼らですが、流石に日本盤リリースも経験した古参だけあって貫禄のある音を出してますね。空間系のキーボードやピアノによって深遠な雰囲気を演出しつつも、トラッドテイストを少し含むリフを中心に、エピックに展開する作風。ヴァイキングの勇壮さだけでなく、ルーンを用いて呪術を行っているような、神秘的なムードも時折垣間見せるのが素晴らしい。

専任のメンバーがいる割にはキーボードは要所で使われるに留まっているんですが、それが濫用するよりも断然曲をドラマティックにしてるんですよね。ピアノが入るパートではメロウ極まりない雰囲気が演出されているし、空間系のキーが入るパートではヴァイキング文化の神秘性がより強調されている感じ。メリハリの効いた使われ方。また、野太くダーティながなり声と、いかにもヴァイキングな朗唱を使い分けるヴォーカルも、出音をより「ヴァイキングらしい」音にしてますね。

リフの響きは日本盤をコンスタントに出してるようなメジャーなバンドと比べると、多少ノイジーですが、曲の方はドラマティックで高品質なので、ヴァイキングメタルに興味のあるメタラーなら買って損はないかと。派手ではないものの、トラッドの影響下にあるメロウなメロディと、ヴァイキングの精神的な神秘性が堪能できる一枚です。


TIDFALL - Nucleus ★★ (2011-05-02 23:42:44)

2003年発表の3rd。

スペイシーなキーボードが宇宙的な空間を演出し、そこに電子的なサンプリングやループを取り入れ無機的な怖さを演出する、シンフォニックとインダストリアルを上手く融和させたようなブラックメタル。インダストリアル系にしては珍しく、ドラムも生だし、意外にもリフにはスラッシュやメロデスにも通じるテクニカルさがあるのも特徴。
また、ヴォーカルは普通のブラックメタルの絶叫よりも、かなりドスの効いた威圧感のある声で、「Future Doom」みたいな上から目線の極みみたいな世界観にはかなり合ってますね。

ただ…キーボードがアトモスフェリックに曲を彩っていたり、リフがテクニカルで耳を惹いたり、暴虐性を剥き出しファストに攻めたりしている時はいいんですが、時々ヘヴィネスを重視したようなパートがあって、そこが微妙にダレるのが気になりますね…ドラムの音がインダストリアルを意識してか、固めの音なんですが、そういうパートでは悪い方に作用して聴き辛くなってる感も。

と言っても、SamothのNocturnal Artや大手のNuclear Blastを渡り歩いてきただけあって、基本的な質のほうは問題なく高いと思います。音質も演奏もメジャークラスなのに、どこかアンダーグラウンドの雰囲気を残した、ブラックメタルらしい世界観を持ったアルバムです。このメジャーになりすぎない感じがツボな方も多いはず。


TIIL SUM - In Articulo Mortis ★★ (2014-05-17 10:08:01)

2013年発表の1st。

ジリジリした質感のリフ、割れ気味のノイジーなプロダクションなど、ややプリミティブ志向に寄ったブラックメタルを聴かせる作風ですが、特にスローパートにおいて顕著ですが、寒々しさや鬱な感覚だけでなく、どこか「侘しさ」みたいなものを感じさせるメロディセンスが特徴的な音ですね。

ヴォーカルが地声の混じったがなり声で、狂気よりもやりきれなさを感じるような、ダウナーなパフォーマンスを聴かせていること、楽曲の展開がミッドテンポも重視したものであることも相俟って、Rawでプリミティブな質感を感じさせつつも、鬱っ気もかなり強い音に仕上がっているように思います。音は粗めですが、メロディや展開のメリハリは十分で、楽曲自体のクオリティは低くないかと。

粗くノイジーなリフと共に、メロディに込められた寂寥感がじわじわと沁みてくる一枚。鬱系とプリミティブ系どっちも行ける方にお勧め。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass ★★ (2009-02-18 20:42:00)

2006年発表の2nd。

色々な所で、「NUIT NOIREに匹敵する脱力アヴァンギャルド・ブラック」的な感じで話題になっていたり、某大手レビューサイトでも50点以下のレビューが多く投稿されていたりなどから、興味を持って購入。確かに、インスト明けの2曲目を聴く限りでは、ミョーにRAWなドラムの音、紙というよりも「線」と表現したくなるようなギターノイズ、擬音で表すと「み゛ゅー、み゛ゅー」という感じの、搾り出しきれない微妙なブラック声…と、確かにこれは脱力ブラックだ、と納得し、そのまま暫く置いておいてしまったんですが…。

改めて聴いてみると、とんでもない作品ですよ、これ…。
2曲目は確かにそんな感じなんですが、聴き進めるうちにジャズ調のムーディーなパート、スパニッシュな雰囲気で音質もクリアなインスト、普通声で歌い上げるフュージョン風の曲、ILDJARN風RAWブラック、ノリノリなブラックンロールなど様々な音が出てきて、「一体なんだこれは…」と呆然となってしまう。しかも平均1曲3分という短いスパンで、次々にそれらを繰り出してくるので、最初聴いた時はまず間違いなく置き去りにされます。

曲によっては最初のヘタレ振りが嘘のような邪悪声やブラストまで聴けるし…実は凄いバンドなのでは。NUIT NOIREの脱力感やファニーな雰囲気と、SIGHやUNEXPECTばりの拡散した音楽性を組み合わせたら、物凄く異質な物が出来てしまったという感じ。もしかしたら、ブラックの歴史に残る、とんでもないバンドなのかもしれません。或いはトンデモさん過ぎて、誰も付いていけないバンドなのかもしれません(笑)。取り敢えず、ブラックファン以外にも「カルト」なものを求めている人ならば、聴いておくことをお勧めします。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass - Acts of Communion ★★ (2009-02-18 20:50:01)

雰囲気がスパニッシュというか、西部の荒野が浮かぶというか…どっちにしろ「今ブラックメタルバンドのアルバム聴いているんだよね?」と確認したくなるような曲調。曲の雰囲気と、タイトルのズレっぷりも凄い。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass - The Black Arts of Vruguun ★★★ (2009-02-18 20:48:16)

前半は思わず「夜露死苦!!」とか口走りたくなるような、ノリノリなブラックンロール…でもヴォーカルはマジに邪悪。後半は鬼ブラストに邪悪リフで普通にかっこいい。一体何がしたいんだか…素晴らしいですね(笑)。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass - The Ceremony of Tjolgtjar (2009-02-18 20:45:35)

これだけでは、えらく微妙なRAWブラックという感じなんですが…アルバム全体を聴いた後で聴くと、後の拡散した音楽性への衝撃を高めるための布石にも聴こえますね…。


TODESKULT - APATHY ★★ (2012-11-03 22:40:46)

2009年発表の2nd。

ドイツ産の鬱ブラック…という事ですが、SILNCERの悲痛さと、フューネラルブラックの陰鬱さを掛け合わせたような、正にこのサブジャンルの真ん中…といった感じの音を出してますね。闇が這い出してくるようなスローテンポに、時折暗いにも程があるトレモロを絡めて進行する作風で、妙にマニアックで自己満足的な部分もなく、しっかり聴き手に陰鬱さを伝えてくれる音。

特徴的なのがヴォーカルで、この手には珍しくないSILENCER系の裏声絶叫なんですが…ここまでSILENCERっぽいのは逆にレアかも。咳き込んだりはしませんが、直立不動では出せなそうなキチ絶叫っぷりがそっくり。この手のバンドって感情表現をやりすぎてて逆に滑稽だったり情けなく聴こえたりする事もありますが、このヴォーカルは丁度良く悲痛さを伝える事ができてるように思います。

ただまあ、ジャンルから逸脱するような特別さがある訳ではないので、アピール出来るのは鬱ブラック好き限定でしょうね。HYPOTHERMIAやチェコのTRIST辺りのバンドを一通り聴いて、もっとこのジャンルに踏み込みたいと思った人にはお勧め。


TODESSTOSS - Wurmer Zu Weinen (2011-12-11 20:22:54)

2008年発表の2nd。

AURVANDIL等を輩出したレーベル、EISENWALD発のアヴァンギャルドブラックということで興味を持ち、買ってきたんですが…これは正直人を選ぶアルバムですね。かなりカルト度高いので覚悟を決めた方にのみ勧められる感じの作品。

作風は、時にプリミティブっぽかったり、ノイズめいた音色のリフで空間を埋めたり、前衛的なキーやサンプリングを取り入れたりなどの展開を見せるブラックメタルを「バックで垂れ流しつつ」、ヴォーカルが狂気の一人芝居を行う…みたいな音。音量のバランス的にもヴォーカルの気色悪過ぎるパフォーマンスを後押しするために、ブラックメタル要素のある演奏がある…という感じ。

曲自体だけでも奇妙なんですが、このヴォーカルのパフォーマンスはかなりヤバイ…というかもうグロイです(笑)。曲によってパフォーマンスの種類は変えてきますが、人生に絶望した男が泣き笑いしながら叫んでいるようだったり、肝試しのお化け役と驚かされ役と効果音役を一人でやっているようだったり、どれもマジに何か精神に病巣を抱えてるんじゃないかと心配になる声。

例えばSILENCER、MALVERY、SORTSINDなどイカレたヴォーカルで半ば伝説と化しているバンドがありますが、そういうバンドを好む人が聴いてもこれは厳しいんじゃ…と思います。まずヴォーカルのパフォーマンス最重視みたいな曲作りもマニアックですし、そのヴォーカルも狂気が「かっこよさ」に向かわない、気持ち悪さ重視のタイプですし…。私的にも正直辛い(笑)。「お勧めしません」と書いて逆に惹かれる方は自己責任でどうぞ。


TODTGELICHTER - Schemen ★★★ (2011-08-06 10:51:23)

2007年発表の2nd。
これは本当に素晴らしい作品だと思う。

ファストなパートではファスト系並のブルータリティで攻め、メロディックなパートではメロブラ以上に美しいメロディを強調する、非常にメリハリの効いたスタイルのブラックメタルで、何故かヴォーカルは鬱系に近い高音でのマジな絶叫。神性が流出するかのような、神秘的なメロディを掻き鳴らすトレモロリフが非常に耳に残る、メロディセンスの高い作品。

サンプリングをバンドのバックにさりげなく仕込んできたり、神秘的なトレモロリフに、あたかもアトモスフェリックブラックのキーボードのようにバンドの音を包ませたり、曲の盛り上がりに合わせ、俄かにギターの音圧を増したり、何気に空間演出の巧みさが光る作風で、それが曲のカルト性・神秘性をかなり高めているんですよね。

2曲目の、ブラストとリフの轟音の中に、キリキリとした神秘的トレモロが光が差すように差し込むパートなどでは、LUNAR AURORAの「Andacht」アルバムを聴いたときのような、魔性に取り込まれるような感覚も覚えます。ドイツらしい、格調が高くてどこか気難しい、人を寄せ付けないような表現力のある音だと思います。

そんなカルト性がありながらも、曲自体はメロディックだし、音質も良好だしで決して聴きにくいアルバムではないのが素晴らしい。Disc Unionのガイドブックでもこのアルバムが取り上げられてて、「見る目あるなぁ…」と感心してしまいました(上から目線・笑)。基本的なツボは押さえつつ、捻りも効いてる名盤だと思います。


TOME OF THE UNREPLENISHED - Innerstanding ★★★ (2016-02-26 23:53:43)

2015年発表の1st。

キプロス産のアトモスフェリックブラック…ということで、興味をそそられた一品ですが…これはかなり好みの路線です!! トレモロリフを敷き詰めて叙情性や神秘性を表現するスタイルは、今となってはそう珍しいものという訳ではありませんが…キーボードに溶け込ませて音像を演出するパートもありますが、トレモロリフ特有のあの細やかな音色をかなり目立たせてくれているのが素晴らしい。KRALLICEが若干方向転換したことに不満を持つ人も溜飲を下げそうです。

トレモロリフで表現される、メロディそれ自体もフォーキーな叙情と、ミステリアスな雰囲気がバランス良く合わさっている感じでとても魅力的。特に、ゆったりしたテンポとキーボードの浮遊感の中で、延々とそのセンスが凝縮されたメロディを堪能させられるラス曲は出色の出来かと。ホント溶けそうになります(笑)。ただ、イントロを含むキーボードインスト部分が淡白な割に、若干長めなのが珠に瑕でしょうか。それを差し引いても星3つは確定です。

同レーベルからアルバムを出したMARE COGNITUMも相当に魅力的だったんですが、こちらも引けを取らないですね。I, Voidhangerはかなり注目なレーベルかも…。


TOMORROWWILLBEWORSE - Down the Road of Nothing ★★★ (2014-11-27 09:58:05)

2013年発表の1st。
翌年に現在所属するレーベルAvantgarde Musicより再発されてますね。

イギリス産のポスト/シューゲイザーブラックとの事ですが…このサブジャンルの中ではこれ、かなり好みの音ですよ…!ALCESTやそのフォロワーのようなカタルシスではなく、ひたすらにグレイな閉塞感を感じるメロディ、そしてその閉塞感を殊更に強調するような、曇りのある音色のディストーション…いやあ、これ聴いてると気が滅入ってきますね(嬉)!!重いベースが纏わり付くような音作りも更に抑鬱的なムードを助長。

直接的な攻撃性を志向せず、あくまで陰鬱な情景を描くことに徹しているような作風や、時折神秘性を感じさせる音使いがあるのはポストメタル的なんですが、ブラックメタルから離れ過ぎないバランスも良いですよね。基本的に陰鬱なバンドサウンドが続き、ヴォーカルも変に線の細さのないがなり声なのである意味聴きやすく耳馴染みのいい音なんですよね。個人的には、「White Tomb」「Mammal」期のALTAR OF PLAGUESや、ASH BORER辺りと近い雰囲気を持ってるような印象があります。

ブラック好きが心地良く浸れるポストメタルとブラックメタルのバランス、陰鬱なメロディと音作りのセンスで酔わせてくれる、良いアルバムだと思います。ぶっちゃけ某所で半額セールだったのと、バンド名に惹かれて購入しましたがこれは相当に良い作品ですよ。お勧めです。


TOR LUNDVALL ★★ (2009-05-03 09:57:00)

アメリカ産ゴースト・アンビエント。
Tor Lundvall氏は画家としての顔も持っているとか。


TOR LUNDVALL - Empty City ★★ (2009-05-03 09:55:00)

2006年発表の7th。955枚限定。
最近、主にブラックメタルやドゥームメタルにアンビエント志向のバンドが多く出てきているせいか、
メタル専門店でも意外とアンビエント作品が売ってたりしますが…そんな中でジャケとタイトルに
「ビビッ」と来て購入してしまった作品。買ってから調べてみたら、このアーティストの作品は
「ゴースト・アンビエント」と定義されてるみたいですね。そんなジャンルあるの、初めて知ったし(笑)。
幽玄で奥行きのあるシンセやサンプリングと思しき音やノイズ、打ち込みビートなどを用いて
静謐に情景を描き出していくような作風で、メタル関係の作品では音の質感はULVERの
「Lyckantropen Themes」に、音から見える情景は同バンドの「Perdition City」に近いと
思います。ただ、ULVERの「Perdition City」が夜景を見下ろしているような、ある程度
具体的な情景が浮かんでくる音だったのに対し、こっちは空虚な都市をテーマに描いた抽象画の
世界の中を漂っているような、浮遊感の強い抽象性の強い音になっているという印象があります。
Tor Lundvall氏は画家でもあり、アートワークも自前だそうですが、だからこそこんなに
イマジネーションを刺激する音を作れるのかもしれませんね。
ULVERやブラック系ダークアンビエントとは違い、メタル系の人脈による作品ではありませんが、
それらに通じるようなダークでアーティスティックな雰囲気はあるので、その手が好きならば
楽しめるかと思います。昔、みんなのうたで「メトロポリタン美術館」という曲が、主人公が
絵の中に閉じ込められるオチの歌詞が多くの子供に恐怖を与えたという話がありましたが、
これを聴けばリアルにそんな気分が味わえるかもしれません(笑)。


TOR LUNDVALL - Empty City - 2 : 00 Am ★★ (2009-05-03 09:58:31)

アメリカでも「丑三つ時」みたいな概念ってあるんでしょうか…
アルバムでも一番幽霊が出そうなセクションになってると思うし。


TOR LUNDVALL - Empty City - Open Window ★★★ (2009-05-03 10:00:47)

アルバムの中でも、最もULVERの「Perdition City」との共通点を感じる曲。向こうに混じってても何の違和感も無さそうです。ULVERファンには是非聴いてみてもらいたいですね。


TOR LUNDVALL - Empty City - Running Late ★★ (2009-05-03 10:03:49)

夜道を歩いていたら、妄想と現実の境界線が崩れ始め、意識が空を漂い始めた…そんな感じの音。どうでもいいけど、今「よみち」を変換したら「黄泉地」って出てきた(笑)。ゴースト・アンビエントのレビューだからPCが気を利かせてくれたんでしょうか(笑)。ぶっちゃけ二度手間ですけど。


TORGEIST ★★ (2010-03-17 18:41:00)

フランス産ブラックメタルバンド。
MUTIILATIONやVLAD TEPES、BELKETRE等のバンドと共にブラックメタルサークル
Les Legion Noirを結成していたので、マニアの間では結構知名度の高いバンドです。


TORGEIST - Time of Sabbath (2010-03-17 18:39:00)

95年発表の6曲入りデモ。
2008年にDrakkar ProductionsよりCD化されました。
音の方は…「これぞフレンチ・カルト」としか言い様のない音です(笑)。

ノイジー過ぎて何だかよく分からないリフに、ヤケクソすぎる絶叫を乗せてオールドスクールに突き進む、プリミティブブラックの芯の部分を煮詰めすぎてマニア以外には理解不能になったような作風で、これ以上音質が壊れるとノイズ音楽になるというギリギリの所を行ってると思う。

逆に言えば、ILDJARNやWOLDのようにノイズ音楽として評価される事も望んでないようなストイックさ。当然、デスメタル的なまともなブルータリティも、テクニックに裏打ちされた豪速ブラストも、他のプリブラのようなメロウさもガン無視で(笑)、ひたすらサタニックでカルトな空気感を出すことに専念した作風。時折メロディらしきものもあるといえばありますが…テープの絡まり音のようなノイズが、偶然メロディに聴こえるレベルというか、そういう世界です(笑)。一応トレモロ弾いたり、ベースとユニゾンするパートでは微かに聞こえる程度。

個人的には、ここまでぶっ壊れられると正直厳しいんですが…MUTIILATIONや初期DARKTHRONEが大丈夫でもこれはキツいと思う。EMPERORの最高傑作は「Wrath of the Tyrant」と迷い無く断ぜる方や、MUTIILATIONはまとも過ぎて温いと感じるマニアックな方以外にはお勧めは出来ません(笑)。
16分しかないのにここまで聴き手に消耗を強いる音源も珍しいです。


TORGEIST - Time of Sabbath - Time of Sabbath (2010-03-17 18:40:37)

…いや、どの曲が好きか訊かれても困る…(笑)
強いて言うなら、他の曲よりもメロディアスな「気がする」この曲。…しかしこれ、音源を聴いてリフをコピーできる人とかいるんでしょうか。


TORMENTAL - Il Perpetuo Sconcerto Per La Realtà in Cui Mi Sveglio Ogni Giorno ★★ (2014-10-26 21:55:09)

2013年発表の1st。

リリースは割と最近、しかも知名度の高いレーベル(Pest Productions)からのリリースだというのに、何故だか新品が値下げされてたので、青田買いも兼ねてゲット。…確かにこれ、ディプレッシブブラックの中でも好みが分かれてしまいそうな作品かもしれませんね。この手の音楽性のバンドには音響志向の強いものが多いですが、この作品はそれが頭抜けて強く、良くも悪くもメタルとしての体裁を保っていないような感じ。

ドゥーミーなスローテンポに、浮遊感のあるアルペジオや、キーボードを重層的に重ねて閉鎖的な空間を演出する、アトモスフェリックでアンビエントな音作りですが、キーボードの音色が多彩かつセンスが良く、演出力はかなり高いと思う。ノイズやサンプリングをさりげなく使用してくるなど、前衛的な要素の扱い方も非常に巧み。ヴォーカルは悔恨や悲嘆の感情を込めて、裏返り気味に絶叫するタイプですが…個人的にヴォーカルに関しては、このタイプは若干食傷なので微妙かも…。真に迫ってるのは分かるけど…。

直接的に物悲しさを演出するというよりは、アンビエントな浮遊感のある音空間の中で、儚さだったりメランコリックさだったり、色々な感情が流れ込んでくるような作風。COLORLESS FOREST辺りよりも更に音像主義な鬱ブラック。結構尖った音だと思いますが、それだけに気に入る人は本当に気に入りそう。


TORMENTOR - Anno Domini ★★★ (2009-04-25 20:40:00)

1988年発表の1st。

Attilaのレーベル、「Saturnus Productions」からの再発盤に付いている、Attilaのライナーによると、90年代前半のエクストリームメタルバンドの多くに影響を与え、Attila自身もMAYHEMに見出されるきっかけとなった作品とのことですが…確かにそうした「ハク」に負けない魅力のあるアルバムですよね。アルバムを構成する各要素が上手く噛み合って、得体の知れないパワーが生まれている感じ。

まず作風ですが…この時期ってまだ(サタニックな)スラッシュとブラックが別れきっていない頃で、ちょっと敬遠してたんですが…これは既にスラッシュ寄りのブラックと言っても良さそうなスタイルですね。トレモロリフもあるし、攻撃性やスピードよりも「ムード」を重視する、ブラックメタル特有の感性がしっかり息づいていて、それをスラッシーなスタイルのもたらすアングラ感で表現している感じです。

ヴォーカルは、彼のトレードマークと言える呪詛ヴォーカルとは少し違う、ドスの効いた潰れ声でテンション高く喚き散らすスタイル(Buried by Time and Dustに近いと思う)ですが、この歌い方でも呪わしさみたいなものが滲み出ていて、Euronymousが「呪詛系ヴォーカルをやらせるなら彼しかいない」と白羽の矢を立てたのも凄く良く分かる。

音質は…11曲目で少し録音が乱れているものの、フレーズはしっかり聴き取れ、丁度良い汚さ/アングラ感でかなり良い方だと思う。録音レベルが少し小さいものの、私的には十分許容範囲内。…この「スラッシーでムードのある作風」「テンションの高い潰れヴォーカル」「ダーティな音質」が、全て噛み合ってプラスの方向に作用して、アンダーグラウンドの名盤と謳われるのも頷ける出来になっていると思うんですが…多分、これ計算してやってる訳じゃないんだろうなあ…そこが凄いんですけど。

聴いてると、黎明期のブラックメタルバンドがいかに影響を受けてるか分かって面白いです。特に「Elizabeth Bathory」をカヴァーしたDISSECTIONの1stなんて、リフやリズムのフレーズ、ヴォーカルエフェクトに至るまで結構意識してると思わされるところがありますもん。ブラックメタルをより興味深く聴くためにも、聴いてみると良いかもしれません…と、実はVENOMすらまだ聴いてない私が言ってみます(笑)。


TORMENTOR - Recipe Ferrum! 777 ★★ (2010-12-03 18:48:34)

2000年発表の2nd。
ネット上の流行語を使うなら「どうしてこうなった…」です(笑)。良くも悪くも。

SE的な曲を多用した、シアトリカルなスラッシュメタル/ハードロックという感じの作風で、アンダーグラウンドの熱気をそのままコンパイルしたような、名盤だった1stとは全く別物。表題曲や「Iron Country」辺りはまだ暗黒臭が仄香るものの、「Little Match Girl」なんかほとんど(Vo以外)普通のハードロックだし、全体的なファニーでユーモラスと言うか、ジョークめいた雰囲気が漂ってる。

とりわけそれが顕著なのが後半の「The Hungarian Trilogy」で、MachatとAttilaの狂気の…というか、酔っ払ったようなデュエットでしょう。にゃんにゃん掛け合いをしてみたり、「♪カシャ、カシャ、かーーーーしゃーーー」「♪もにょ」など強烈な電波を放つフレーズを連呼したりして、嫌でも印象に残ってしまう。一緒になって歌いたくなるか、うんざりしてCD止めるかは聞き手しだい。好き嫌い分かれるにも程がある!まあ、面白いと言えば面白いですけど。

そういう訳で、Attilaのドス声や悪魔笑いはあるにしろ、ブラックメタラーやAttilaの名前に惹かれた人は、後回しにして1stを買ったほうがいいかも。逆に変わったもの好き、アヴァンギャルド好きはこっちからでもいいと思う。グロい感性と、高いミュージシャンシップを持ったアーティストが全力でふざけて出来た作品という感じのアルバムです。

…でも正直、伝説的バンドの2ndの割りに今ひとつ話題にならないのも分かるなぁ…(苦笑)。変化っぷり、期待への(故意の)背きっぷりはMAYHEMのGDoWなど目じゃないレベルです。


TORN - Another Torn Vol. 1 - 葵 (tron of Flood Version) ★★ (2008-10-03 21:20:21)

別名「メロトロン洪水バージョン」。
正直「洪水」はちょっと言いすぎかな…という部分はあるんですが、メロトロンの魅力に焦点が当てられたアレンジで、狙いが明確な分こっちの方が好きかもしれません。


TORN - 葵 -cerulean- - Somebody Like Me ★★ (2008-10-03 21:17:32)

インパクトという点ではこっちの方が表題曲より上だと思います。
ギターソロも完備したメタリックな演奏がベースにありながら、メロトロンがプログレッシブな雰囲気を放ってたり、いきなりラップが入ったりでごった煮感のある曲。


TORN - 葵 -cerulean- - 葵 -cerulean- ★★ (2008-10-03 21:14:31)

帯のキャッチコピーにて、「儚く耽美な退廃美学を貫く…」と銘打たれているシングル盤の表題曲にしては、随分と取っ付きやすいポップな曲ですね。歌詞も力強くてポジティブで。演奏はプログレの香りもしてヘヴィだし、サビのソウルフルなハスキーヴォイスもかっこいいしで求心力のある曲なんですが、コピーから想起するようなケレン味が足りない気も。


TORRENT ★★ (2012-01-01 01:48:46)

NARGAROTHのKanwulfとJUDAS ISCARIOTのAkhenatenのサイド・プロジェクト。
2004年にNo Coloursより一枚のEPを残して活動を停止した模様。


TORRENT - Between the Stones ★★ (2012-01-01 01:49:32)

2004年発表のEP。

…ブラックの中でも割とマニアック(かつマニア内で高い評価を得ている)なバンドのメンバーがサイドプロジェクトでブラックメタルやったら、まあこうなるよね…って感じの音ですね。最早ブラック好き以外に聴かせる気ゼロな、まるで嵐の音をそのままサンプリングしたようなザーザーしたかなりRAWなブラックメタル。ヴォーカルもノイズ一歩手前な絶叫で、音質に溶け込んでますね。

但し、縛りが多く、リフやメロディのセンスがないと高評価は期待できないプリブラのシーンで活躍する面子が演ってるだけあって、2曲目のラストや4曲目などで聴けるトレモロの悲壮なメロディはかなり上質。他のパートでも、ザーザーした歪みの中にうっすら聴こえるメロディが結構良かったりして、メロ過ぎず辛口過ぎずのバランスは良い感じだと思う。勿論、普段プリブラ聴く人基準ですが…。

正直KanwulfとAkhenatenのサイドプロジェクトという予備知識を持って聴くと、何の意外性もない作品だと思う…けどテンション高いドラムもかっこいいですし、あんまりそれぞれの作風からかけ離れた作品出すのもどうかと思うので、これはこれで良いEPだと思います。


TORTORUM - Katabasis ★★★ (2014-09-28 20:21:11)

2014年発表の2nd。
バンド名の響きがGORGOROTHっぽいと思ったら、メンバーは実際にGORGOROTHのライブメンバーも務めているらしいですね。多分関係ないですけど(笑)。

路線としては、不協的に響く不気味なギターワークや、重苦しいミッドテンポも重視したダイナミックなリズム構成を交え、ドラマ性豊かに展開していく、典型的ながらハイクオリティなブラックメタルという感じですが…フレーズの端々から強烈で深遠な宗教性・オカルトめいた雰囲気を感じられるのが特徴ですね。この手の暗黒趣味な宗教色の強いバンドと言えば、フランスのDEATHSPELL OMEGAを始め、ドイツのCHAOS INVOCATION、ギリシャのACHERONTASやSEPTUAGINTなど、何故かブラックの爆心地たるノルウェー以外から現れる事が多い印象なんですが、ノルウェー産のバンドでこういう音を出しているというのが、意外といえば意外でしょうか。

ただ、店ではDEATHSPELL OMEGAの影響の強い音と紹介されており、実際私もそれに釣られて(加えて、レーベルがWorld Terror Committeeだった事もあり)購入したクチなんですが、ばっさり「DSO系」で括ってしまうには、少し抵抗のある音なんですよね。DSOは神秘性や前衛性が強く、ミステリアスな印象があるんですが、このバンドは衝動性や直接的な暗黒性をより強く感じられ、もっと邪悪さを身近に感じられるような音。こちらはスラッシーなリフ・リズムも多用されており、宗教色が濃い中にもオールドスクールな側面が垣間見れる作風のため、そういう印象になるのかもしれません。ヴォーカルの凄みの効いた叫びも、生々しい衝動に満ちている感じがしますし。

特に試聴もしないで買ってしまったんですが、やっぱりこのレーベルってハズレがないですよね。同レーベルのCHAOS INVOCATIONやACHERONTAS、ASCENSIONやORDER OF ORIASなどが好きであれば、このバンドも要チェックです。


TOSHI - GRACE - Dear My Friends ★★ (2003-11-20 03:39:15)

Toshiが阪神大震災の被災者の事を考えながら作ったらしい曲。
朝の港を思わせる静謐なイントロから、ホーン系の音色を伴ったミディアム曲に展開していきます。この曲はライブ盤「LIVE IS BEST」にも収録されていて、そっちでは更に哀愁の増したボーカルが聴けます。


TOSHI - LIVE is BEST ★★ (2004-05-18 20:09:00)

TOSHI自ら選曲したらしい、ライブアルバム。
ライブで聴くソロの曲は、凄く心がこもっている感じで曲の世界に引き込まれてしまいます(Xのライブ盤での彼の歌声は、正直バラード以外では無理をしてるように聴こえてしまう)。
特に「Dear my friend」「Misty love」といったミディアム・スローでメロディの美しい曲での歌声は素晴らしいです。楽曲の一つ一つについて本人やゲストがそれぞれコメントしていてかなり興味深い資料になっているので、それを読むためにも購入する価値があると思います。


TOSHI - MISSION - Rusty Eyes ★★★ (2003-11-20 03:39:28)

個人的には意識されたと思われる曲「Rusty Nail」に匹敵するくらい好きな曲。
もともとToshiの声が好きでXを聴き始めたようなものなので、Toshiのやや荒っぽいハイトーンがたまらないです。


TOSHI - 君はいないか - 君はいないか ★★★ (2003-11-20 03:39:42)

MASAYA作曲は「愛の詩をうたいたい」(これはヤバかった…)を先に聴いてしまったのでCDを買う時かなり抵抗がありましたが、これは素晴らしい曲です!!ホントにXの頃と比べてもなんら遜色のない綺麗なハイトーンが聴けます。これはオススメ!!


TOSHI - 碧い宇宙の旅人 ★★ (2004-05-18 20:09:00)

TOSHIのソロはこの作品が一番だと思います。
あの声と流麗なメロディ、そしてアコースティックな楽器の緩やかな調べが重なりあって、疲れた心を癒してくれるアルバムになっていると思います。
ただ、楽曲は言う事無く素晴らしいんですが、歌詞の表現形態に少し疑問を持ってしまうところもありました。具体的には「Simplicity」の「ぬくぬくもり」(笑)


TOTAL HATE ★★ (2013-05-04 11:30:23)

おお、渋いバンドが追加されている…(笑)。
ARMAGEDDAやKRIEG、MARBLEBOG、NYLTALGIAなど、ある程度知名度のあるブラックメタルバンドで活動していた事でも知られる、Winterheart氏が加入したバンドですね。何気に1stはAgoniaからリリースしてたりします。


TOTAL HATE - DEPOPULATING PLANET EARTH ★★ (2013-05-04 11:32:07)

2008年発表の1st。
著名なブラックメタルバンドの作品を多くリリースしているAgoniaより発売。

タイプとしてはまごうことなきプリミティブ・ブラックですが、ひたすらミニマルに展開していくタイプではなく、オールドスクールな躍動感やファストブラック並の殺気の篭もった爆走などが作り出す殺伐としたムードを、RAWな音質が更に掻き立てる、アングラな雰囲気を強く出しつつも、地下臭いダイナミズムも感じられる作風。

猛獣を思わせるような獰猛さと、ダウナーな病的さを併せ持ったヴォーカルの絶叫といい、北欧プリブラを思わせる荒涼感のあるリフといい、しっかりジャンルのツボを押さえた音。音質は安定してノイジーでRAW、まあこのジャンルの平均といった所ですが…何故かタイトルトラックの5曲目の、メロいリードが入るパートで破綻寸前の音になるのがやたら生々しくて怖いんですよね。個人的にはこのパートはアルバムでも最大の聴き所だと思う。

最初流して聴いてたときはいきなりポンコツな音になったので何かと思いましたが、実は疾走パートが凶悪だったり、楽曲の作りもしっかりしていたりで、(あくまでプリブラの価値観で)ハイレベルな音。プリミティブブラックを聴かない日はない、ってくらいジャンルにどっぷりな方にはお勧めです。


TOTAL NEGATION - Zur Späten Stunde / Zeiträume ★★★ (2015-09-02 23:39:25)

2013年発表の2nd。

一言で言えば、実験性とドラマ性が同居した、優良な鬱ブラックという感じでしょうか。ドゥーミーに引き摺るノイジーなリフと、独特の音響が精神世界的な非日常性を演出するフレーズを組み合わせ、精神が崩壊していく過程を描くかのような、異様な雰囲気の漂う音。多分にエクスペリメンタルな音ですが、展開のドラマ性もかなり重視されていて、楽曲のレベルはかなり高いと思います。

この作品、前半の4曲が「Zur Späten Stunde」、後半が「Zeiträum」というタイトルの二部構成になってますが、二部で連続性がありつつも楽曲の色が変わるのが面白いですね。前半が精神崩壊に至る様子だとしたら、多彩かつ前衛的なキーボードやノイズの音色を取り入れ、更に実験性を増した後半部は壊れた心が暗闇を彷徨っているような印象でしょうか。

ユニークな音使いが聴いていて面白く、楽曲展開も練られておりハイクオリティですが、ヴォーカルが鬱ブラック特有の苦悶声な辺りが若干聴き手を選びそうな感じはします。鬱ブラック好きのみならず、実験性がダークさや異常さに向かう音が好きな方にも推薦。


TOTALSELFHATRED ★★ (2011-06-11 10:09:50)

フィンランド産ディプレッシブ・ブラック。
HORNAのメンバーが絡んでます。


TOTALSELFHATRED - Apocalypse in Your Heart ★★★ (2011-06-11 10:11:12)

2011年発表の2nd。

一口に鬱ブラックと言っても、ひたすらにスローでネガティビティを巻き散らしていくもの、不条理な展開で日常の風景を捻じ曲げるものなどさまざまなスタイルがありますが、このバンドは丁寧かつドラマティックに鬱感情を描いていくスタイルですね。リズム面でもスローパートだけではなく、1曲目からファストブラック並のスピードで疾走してますし。

こんなバンド名だと、メロディも如何にも呪い殺してやりたそうなドロドロしたものを想像しますが、意外にもメロディは儚くて幻想的で、シューゲイザーブラック好きにもアピールできそうなほど。それが頻繁に現れる、眠りを誘うような優しいギターの残響と合わさると、ほんと脳波が操られそうになります。ただ、ヴォーカルはバンド名通りの、肺に溜まった空気を全て憎悪に換えて吐き出すような絶叫ですが。

トレモロでハモりつつ疾走してみせたり、アルペジオで溜めた後暴発するようにトレモロで切り込んだり、時にダイナミックと言えるくらい、曲の展開はドラマティックで、バラエティにも富んでると思う。ただ、一部でLIFELOVER的なロック風リズム+刻みリフ+メランコリックなピアノ…という展開があったのは少し驚きました。この表現、鬱ブラックのスタンダードとなりつつあるんでしょうか。

鬱ブラック、特に一人ブラックの中には、敢えて共感を拒みつつ自意識をひたすら垂れ流すような、カルト極まりないものも多いですが、このバンドはバンドスタイルで演ってるせいもあるのか、エクストリームメタルとして非常に丁寧な仕上がり。如何にもOSMOSE産って感じ。鬱ブラックに興味があるけど聴いた事のない人、SHININGやFORGOTTEN TOMB辺りの基本バンドしか知らない人でも楽しめる一枚かと。


TOTENBURG - Endzeit ★★★ (2011-05-23 18:54:34)

2009年発表の5th。

NSブラックってプリミティブ系、ペイガン系、ハードコア系が主な印象があるんですが、このバンドはそのどれでもなく、かなりハイクオリティなファスト系ですね。荒々しく、時に荒涼としたメロディを仕込んだリフと、豪速ブラストビートが土石流となって襲い掛かるパートの迫力は、ENDSTILLEやARKHON INFAUSTUSなどこのサブジャンルの代表格のバンド並だと思う。それらのバンドと違い、ヴォーカルに少しハードコアのガナリの痕跡が見られるのが、NSらしさでしょうか。

…というレビューを書こうと、イントロ明けの1曲目を聴いてる途中までで思ったんですが、ラストまで聴いて衝撃を受けました。なんなんでしょう、このメロさは…。一応、良く聴くとしっかりリフで主題は提示してあったとはいえ、まさかここまでメロウなアレンジで聴かせるとは…。他の曲も、軍歌っぽい勇壮さだったり、地下臭い妖しさだったりはありつつも、共通してメロいパートを設けてくれていて、意外にも聴きやすい。そしてそれが強烈な印象を残すんですよね。

ファストブラックとしての、地下臭さを保ったままのクオリティの高さと、一見その作風とは相反しそうなメロディの主張の強さが、聴き手の目を覚ますような作品。凶悪さとメロウさ、両方をブラックに求める方は是非。


TOTGEBURT - Asche Unter Meiner Haut (2014-10-22 22:59:00)

2008年発表の1st。
2012年にRazedsoulとSelf Mutilation Servicesにより500枚限定で再発。

アーバンでアヴァンな作風が面白かった、スイスの変り種ブラックBLUTMONDのメンバーによる鬱ブラックという事で、これまた面白いものが聴けるのでは…と期待して購入しましたが…予想の斜め上とは、こういう事を言うんでしょうか(笑)。思ってたよりも独特な世界観を展開していました。ぶっちゃけ、私はちょっとついていけないと思うくらいに…(笑)。

タイプとしては、スラッジに通じるギターノイズや、空間を埋めるようなリバーブの掛かったベース、キーボードなどを組み合わせ、抑圧されたムードを演出する、音響系のディプレッシブブラック。そこにやたらと感情を込めて叫びまくる、エモーショナルで悲痛なヴォーカルが乗る…というと聞こえは良いですが、音数の少ない場面でヴォーカルが「泣き乱し」て何かを訴えるような部分が多くて、ちょっとげんなりしてしまったり…。作風が作風だけに、メロウなメロディは排除されてるので、その中でのこの某議員並の泣き乱しヴォーカルは結構キツいものがあります(苦笑)。

抑圧的な状況に晒され、二進も三進も行かなくなったような雰囲気自体は悪くないように思いますが…正直これは私にはマニアック過ぎるかも。鬱系の泣き叫びヴォーカルに心底共感出来ればお気に入りの一枚になるかもしれません。


TRANCELIKE VOID - Destroying Something Beautiful ★★ (2010-03-10 20:50:00)

2008年発表の1st。

このバンドも、今局地的に注目されている、ディプレッシブ/シューゲイザー寄りのブラックが好きな人の注目を浴びているようですね。ただ、一部で(シューゲイザー的な?)感情の篭もったメロディによるトレモロ、曲間などではシンセアンビエントが聴けたりするものの、曲本編はほとんど何かの「波形」を描いているような平坦で淡くノイジーなギターリフ、リフの波形をより鮮明にすることに徹したような、淡々とミディアムで叩くドラムス、曲の暗度を更に深くするベースによって構成されており、鬱ブラックでも相当にストイックな方に属する音だと思う。

この作品、個人的には「鬱ブラック」か「シューゲイザー(寄りの)ブラック」かと言われたら、前者だと思う。確かに一部感情的なメロディが聴けたり、音像の描き方は丁寧で繊細なものの、全体としてはやっぱり洗脳的で、暗黒趣味が強い雰囲気。凶悪ではない…というか、故意に凶悪さを攻撃性に安易に還元しないようなヴォーカルの処理も、闇からの呼び声のように聞こえます。

…鬱な感情を音にぶちまける事でも、それによって衝動洗濯を行う事でもなく、ただ聴き手を洗脳するために作られた…そう言われても信じられるような作風のアルバム。この作品を聴いている時の妙な心地良さが逆に恐いです(笑)。ブラック好きの中でも好みが分かれる、特にBURZUMの3rdの1曲目の良さが分からない人には「なんだこれ」と思われそうな作品。逆に、この手の幽玄さや抽象性の高いブラックや、音響系のドゥームが好きな方には大推薦です。


TRANCELIKE VOID - Destroying Something Beautiful - Part Ⅰ : Everything Fails ★★★ (2010-03-10 20:53:08)

この曲はシューゲイザー寄りのブラックにも通じる、感情的なメロディが聴けて、その手のファンからも好まれそう。…でも、逆に生暖かさと言うか神秘性と言うか、どこか正体不明で暗黒な感じも強いんですよね…。


TRANSILVANIAN BEAT CLUB - Willkommen Im Club (2008-06-07 07:49:00)

2006年発表の1st。
バンド名的になんか地雷っぽさが漂ってたんですが(笑)、安かったので購入。

バンド名やDARKTHRONEをカヴァーしている事から、ブラックのリフやヴォーカルにクラブ的なリズムを取り入れたスタイルを想像してたんですが、全然違いますね。リフの音の厚さ、黒さは確かにデス/ブラックっぽいのかもしれませんが、どちらかと言うとロックンロール的なノリのいいリズムとヴァイキングっぽいフィーリングのある、おっさん声のヴォーカルをフィーチャーしたゴシック・ロックという感じのサウンドで、別にクラブ的な要素はないです。

そこにトランペットやピアノが大々的にフィーチャーされて、ゴシック的な頽廃性と共にどこかファニーさも感じられるような音作りになってますね。66Sexy Mamaのアートワークに見られるような、ある意味アヴァンギャルドな悪趣味さはブラックメタルに近い…のかもしれません。でも流石に普通のブラック好きがDARKTHRONEのカヴァーに惹かれて買ったらがっかりしそう。

クオリティは低くないので、変な美意識のあるメタルが好きならば楽しめると思います。


TRANSILVANIAN BEAT CLUB - Willkommen Im Club - 66 Sexy Mama ★★ (2008-06-07 07:52:04)

セクセクセクシー・ママ
…なんかおちょくられてるような気分(笑)獣の数字も形無しって感じ。
この曲のアートワークはある意味最悪。


TRANSILVANIAN BEAT CLUB - Willkommen Im Club - Transilvanian Hunger (Darkthrone Cover) ★★ (2008-06-07 07:52:58)

始めこそ忠実にカヴァーしてますが…
ヴォーカルが相変わらずおっさん声だったり勝手にテンポを変えてグルーヴィなモッシュパートを設けている辺り、許せないブラックメタラーも多そうなアレンジ。まあ、私は面白いから良いけど…。


TRANSILVANIAN BEAT CLUB - Willkommen Im Club - Wodkavampir ★★★ (2008-06-07 07:53:53)

覚醒度でいったらこの曲が一番かな?
トランペットが、不思議の森の麻薬キノコが胞子を放出する音に聞こえる。


TRELLDOM - Til minne... ★★★ (2008-09-15 17:59:00)

GORGOROTHのGaahlらによるバンドの2007年発表の3rd。
このバンドはGaahlがGORGOROTHに加入する前からあるみたいです。

Gaahlが中心となったバンドだけあって、やっぱり最近のGORGOROTHと似た音ですね。GORGOROTHって、舵を取るのがInfernusであるにしろKingであるにしろ、底の底からブラックメタルであるにも関わらず、同時にヘヴィメタルとしても優れているという特性のあるバンドだと思うんですが、このTRELLDOMはオールドスクールな2ビート疾走が催眠的な陶酔感を醸し出すパートの多い、より「ブラックメタル」の魅力に焦点を当てたような作風になってますね。2007年リリースの作品にして、黎明期ブラックの危なさを今に伝える作品といえるかもしれません。

このバンドはやっぱりGaahlのヴォーカルが魅力的ですね。
いかにもブラックな高音絶叫スタイルですが、新人には出せないような貫禄があるにも関わらず、新人にも負けない衝動性も感じられてほんと良いヴォーカルです。元々声からして邪悪なのに、2曲目等を聴くと声を更に邪悪に聴かせる術も心得ているようで始末に終えません。途中に挿入される語りも効果的に恐怖を煽ってくれますね。

因みに、ブックレットではGaahlの素顔が拝めますが、かなり恐いです(笑)。精悍で整ってる顔立ちなのに、何か危険なムードが漂ってるというか…。この人の場合、コープスペイントしない方が恐い気がする。


TRELLDOM - Til minne... - Bortkomne svar ★★ (2008-09-29 19:36:09)

ドコッコ、ドコッコ…と独特なリズムに催眠的な感覚のある曲。
…Gaahlの催眠の手に落ちたら、二度と目覚めなくなりそうな気がします(笑)。


TRELLDOM - Til minne... - Eg reiste i minnet ★★ (2008-09-29 19:39:07)

フィドルの独奏によるエンディング曲。
叙情味のあるエンディングだと思ったら、やっぱり只では終わらせてくれませんね…ラスト、Gaahlの声を持続音的に用いたヴォイス・ドローンみたいなパートが恐すぎなんですが…


TRELLDOM - Til minne... - Steg ★★ (2008-09-15 18:03:19)

10分以上に及ぶ長い演奏時間の殆どが2ビート疾走にあてられていて、アルバム中でも最も陶酔感の強い楽曲。こういう雰囲気で、Gaahlの確信に満ちたような口調の語りが入ると、普通に聴き手の思想とかに影響を与えられそうな気さえします…。


TRELLDOM - Til minne... - Til minne... ★★★ (2008-09-15 18:01:19)

このバンド、Gaahlが参加して魅力的なヴォーカルを聴かせてくれるだけでなく、曲自体のレベルもかなり高いと思う。高音の、神経を掻き毟るような音色のリフがシリアスな邪悪さを伝えてくれます。


TRELLDOM - Til minne... - Vinternatt ★★ (2008-09-15 18:02:10)

ラストの絶叫がいいですね。近寄り難い度満点で(笑)。
レコーディングブースを覗いて生きて帰った者はいない…みたいな(笑)。


TRIBULATION - The Children of the Night ★★ (2016-12-27 12:41:57)

2015年発表の3rd。

以前はもっとデス/ブラック色がストレートに出ていた音だったらしいですが、今作はロック色強いノリのいいミディアムを中心に、哀感の籠ったギターのフレーズやプログレ風味のキーボードを乗せ、非常に丁寧に楽曲を構築していくスタイルになってますね。ロックとしての楽曲の良さは、(好みは別として)エクストリームメタル・ブラックメタルどうこうの範疇を超えた普遍性があるように思います。

ヴォーカルはブラックメタルのがなりを貫いていたり、ゴシックメタルにも通じる妖しさがあったり、しっかり「ダークな音楽」としての筋は通しているバランスがまたいい感じなんですよね。近年のENSLAVEDやIN VAIN、EISREGENやメロデス期のOPETHに通じるような、知性的だけどダークな部分も色濃い音だと思います。

確かに、話題になるのも頷けるクオリティの高さを誇るアルバム。流石にデスボイスアレルギーの方にまでは勧めませんが、ダークでかっこいい音楽が好きであれば是非。


TRIDENT - World Destruction (2011-05-04 22:18:38)

2010年発表の1st。

DISSECTION、NECROPHOBICというメロディック・ブラックの「顔」とでもいうべきバンドのメンバーが在籍、しかも一枚目にしてRegain Recordsという大手レーベルからのリリース…もうこれだけで、エクストリームメタルとしてのクオリティは約束されたようなものですね。実際に、前述のバンドのようなメロブラとは違い、デス的なヘヴィさ、メロデス的なリフ捌きも交えたりという意外性はありますが、確かなテクニックとキャリアに裏打ちされた、一流の音だと思いますし。

ただ…もうこの面子からして一流なのは大前提なので…はっきり言って不満はありますね。この作品、「クオリティは高いけど個性が無い」アルバムになってしまってると思う。時々ギターソロが入っても、DISSECTIONのような甘美さに行きそうで行かなかったり、なんかヤキモキしてしまう(苦笑)。

「Luciferian Call」もイントロの叙情暗黒トレモロ疾走から意外なメカニカルリフに繋げる展開は良いのに、後が続かないし、せっかくリードがメロく暴れ、雰囲気を作っておいてコーラスで何故かテンションを下げる「Slaves to Anguish」といい、DISSECTIONやNECROPHOBICと差別化した展開を入れようとすればするほど、無難な感じになってしまってるように思えるんですよね…。

DISSECTIONやNECROPHOBICと違うことをしたいのは分かるんですが、これらバンドが持つ個性に代わるような何かを、まだ見つけられていないという感じがします。現時点でメジャークラスの質はありますが、作風そのものはこれからに期待ですね…。


TRINACRIA - Travel Now Journey Infinitely ★★★ (2008-07-30 18:30:00)

2008年発表の1st。

TRINACRIAはブラック/ヴァイキングメタルバンドのENSLAVEDと、ノイズデュオのFE-MAILのメンバーが立ち上げたプロジェクトみたいですが、音楽性も正にメタルとノイズを融合させたという感じですね。メタル:ノイズの割合は6:4くらいで、どっちかと言うと核はメタルの方にある感じ。

…DEAD RAVEN CHOIRやSTALAGGH、ILDJARNなどブラックメタルから派生したバンドにもノイズに足を突っ込んだような音楽性のバンドがいますが、そうしたバンドは割と加減を知らない所があるのに対し、FE-MAILは本職のノイズデュオだからか、ノイズが普通の音量で聴いていたら耳を痛くするような大きさになったり、不快に感じるような音色になったりといったことがなく、スマートに音楽性をかっこよく、聴いていて心地の良い物にしているという印象。

ノイズ系って難解で聴きづらいものをありがたがって聴いている(私は全くそうは思わないんですが)…みたいに揶揄されてるのを良く見ますが、このバンドの音楽性にそうしたスノッブさは全くなく、曲の情景を更に鮮明なものにしたり、迫力を増したり、陶酔感を強めたり、展開に妙味を設けたりなどに効果的にノイズが用いられているという感じで、むしろ初聴きの時から引き込まれるような当たりの良さがあるように思います。ノイズとメタルの陶酔感を掛け合わせたような曲やノイズがメタルの攻撃性を更に触発する曲など、一曲毎の個性もあり結構取っ付きやすい感じがします。

しかし、骨太なヴァイキングメタルを聴かせるENSLAVEDが、こういうアヴァンギャルド/プログレッシブな方向に興味を持っていたというのは意外ですね…。ENSLAVEDってブラック/ヴァイキング以外に、プログレメタルの文脈で語られる事も多いようですが、骨太な裏に潜む幽玄さに、このTRINACRIAに通じるプログレ性を感じ取ったリスナーが多いということなんでしょうか…。


TRINACRIA - Travel Now Journey Infinitely - Breach ★★ (2008-07-30 18:33:41)

ギターの奇妙なメロディに脳がやられそう…スピリチュアルな世界に傾倒している人が聴いたら、本当に何か超常的なものと交信出来てしまいそうな曲。


TRINACRIA - Travel Now Journey Infinitely - Endless Roads ★★★ (2008-07-30 18:32:35)

日常に現れた小さな軋みが段々大きくなり、遂にはそこから何か圧倒的な存在が降臨し、完全に日常が崩壊していく様を描き出したかのような曲。スピーカーの周りに魔界に通じるゲートとか開きそう。Grutleのヴォーカルも、威厳があって曲の雰囲気を更に濃いものにしてます。


TRINACRIA - Travel Now Journey Infinitely - Make No Mistake ★★★ (2008-07-30 18:37:13)

これは凄まじいですね…ただでさえど迫力のメタルサウンドを、ノイズが一歩も二歩も押し上げている感じ。圧力を感じる刻みリフと破壊的ノイズの相性は抜群で、聴いていると息が出来なくなりそうです。毒電波を受信して狂いだしたENSLAVEDという雰囲気の曲。かっこよすぎでしょう。


TRINACRIA - Travel Now Journey Infinitely - The Silence ★★★ (2008-07-30 18:36:17)

ノイズとメタルの最大限に劇的な混交、といった感じの曲。
メタリックに疾走しつつも何度もノイズの落とし穴に落ちるようなちょっと滑稽な前半、ノイズに浸食されたカオスの中から不意に見えるメロディが美しい中盤、魔女の大釜で煮込まれるような気味の悪いメロディの聴ける後半と、どこを切り取っても印象に残る完成度の高い曲。


TRINACRIA - Travel Now Journey Infinitely - Travel Now Journey Infinitely ★★★ (2008-07-30 18:35:21)

トレモロリフと女性Voの見せる情景が美しい曲。
なんですが、この音からは地球最後の日、逃げ惑う群集を見ながら自分も地球と運命を共にする…みたいな光景が浮かんできてしまいます。人類自体のエンディングテーマ…みたいな雰囲気がある(笑)。女性ヴォーカルもラストは狂いまくりだし。


TRINACRIA - Travel Now Journey Infinitely - Turn Away ★★★ (2008-07-30 18:34:23)

3曲目のようなガツンと来る曲でなく、こういうジワジワくる曲を頭に持ってくる辺り少しカルトかも。音圧が大きくなり、悲鳴のような音が混じってくる辺りからもう恐怖感でこの場から逃げたしたくなるような音になってきますが…逆にそれが快感(笑)。


TRIPTYKON - Eparistera Daimones ★★★ (2010-04-25 10:38:00)

2010年発表の1st。

…基本的には、スラッシュベースでありながら、スラッジ並の異常なヘヴィネスや、ブラックの邪悪さまでも呑み込んで別の何かになってしまった、「Monotheist」の路線を引き継いでますね。非デス声ながら、ブラック然とした凶悪さ、威厳を増し、世の中の苦痛を全て背負って言葉を吐き出すようなヴォーカルを始め、邪悪さは更に上がっている印象。

特に最近のブラックの新しいバンドに顕著なんですが、邪悪さを追及するのに、例えば音質を故意に落とすであるとか、アンビエントやノイズと融合するであるとか、様々なバンドが様々な手法を用いていますが…このバンドは、スラッジ的な重さや、クラシック的なピアノの導入など、他ジャンルとの混交も一部にあれど、基本的には「リフ」が邪悪さの全てを担っているのに凄みを感じるんですよね…。「Monotheist」の時も褒めましたが、こんな周りの空気すらガン化させるような、黒い狂熱を孕んだリフを聴かせてくれるバンドは、メタルの歴史全てを紐解いたとしても、ほとんどいないと言っていいのではないでしょうか。

…「時代を築いた」と言えるほどに後続に影響を与えたバンドが、全盛期の勢いを失って只の懐古趣味や、全盛期の作風の縮小再生産、新しい事に手を出そうとして空滑りする…等して、駄作を作ってしまうことは珍しくないですが…このTRIPTYKONはそういう位置からは最も遠い所にいると言えるのではないでしょうか。これだけメジャーなバンドでありながら、どんなにアングラな、カルトなバンドと比べても邪悪さで劣ることは先ずありません。

メタルでも最高級の邪悪さ・異形性を、新人バンド顔負けのフレッシュさで届けてくれる名盤。ただ、3ヶ月限定のスペシャル・エディションというのは何か引っかかるなぁ…。期間過ぎた後に、デラックス・エディション発売とか狡い真似だけは止めて欲しいです(笑)。


TRIST (CZECH) - Zrcadlení melancholie ★★★ (2008-09-28 01:27:00)

2007年発表の4th。2曲入り約37分と大作主義の構成。
アームカットで血だらけの腕ジャケ、メンバーが精神病院のお世話になった事があるらしいという情報、裏ジャケに燦然と輝く「チェコからの自己破壊のエリート」とのキャッチコピーからも期待される通りの鬱ブラック。

まず驚いたのは出音の良さ。「デモ音質」という物があったとして、それを洗練したその先に辿り着きそうな音。コシのあるギター、抜けの良いドラム、耳に痛くない蠢くようなディストーションノイズと、全ての音のピースがあるべき場所に嵌まっているという感じ。それでいて響きはあくまでRAWかつ陰湿。良質なブラックを聴いた時って、バンドサウンドを聴いていることを忘れ、アーティストの表現する世界に没頭してしまう事があると思うんですが、この作品の音って凄く自然で、そういう感覚に陥りやすいんですよね。

当然曲そのものも素晴らしいです。
BURZUMの3rdからキーと疾走とアンビエントとマジで教会を燃やしたり人殺したりする気概を抜いて、引き篭もり的陰湿さに特化したような作風。特に陰鬱なメロディが前面に出ている訳ではない箇所でも、音の作りが上手いのでジメジメした陰湿さが漂ってるんですよね。時折出てくる少し明るめのメロディも、アパシー状態の鬱病患者が自殺が出来る程度に元気になったとか、葛藤の末に死に希望を見出したとか、ネガティブな解釈しか出来ません(笑)。

鬱ブラックにつきものの発狂ヴォーカルも当然完備。SILENCERが狂って涎流しながら叫んでいる感じなら、こっちは少し低めで、真っ暗な部屋で頭抱えながら叫んでる感じ。明け方には部屋も体もボロボロで、手首に幾つもの躊躇い傷作って虚脱状態で寝転んでそう(笑)。歌詞は一応書いてありますが…殆ど「ウアァァアア!」とか叫んでるだけです。多分歌詞書いてきたは良いけど、いざスタジオ入ったら鬱でどうでもよくなってしまったんじゃないでしょうか(笑)。

…数ある鬱ブラックの中でも指折りの名盤だと思います。個人的にはXASTHURやSTRIBORGよりも好きです。いいバンドなのに、解散しちゃったのかな…


TRIST (GERMANY) - INITIATION ★★ (2009-01-12 08:40:00)

2000-2003年発表のデモの2008年再発盤。500枚限定。
…なんかデジパックの紙質、かなり汚れが付きやすそうなんですけど(笑)。

バンドサウンドは用いず、SEや音響効果を駆使して抽象的な風景を描いていくアンビエントスタイルで、目を強く瞑った時に瞼の裏に見える光の明滅をそのまま音にしたかのような神秘的な音。宇宙的な感覚もありますが、DARKSPACEが大気圏外に出ることで外宇宙にアプローチした音なら、こっちは瞑想で内宇宙に降りていっている感じ。LUNAR AURORAの近作同様、どこか人間の根源的な畏怖の感情を刺激するような情景が浮かぶんですが…Aranはグラフィックデザインの会社も立ち上げているらしいし、だからこそこういう抽象的な情景を巧みに描けるのかもしれませんね。

最初、風のような音がひたすら続いた時は「これ、とんでもなくつまらないアルバムなのでは…」と危惧しましたが、聴き進めるうちに自然音がスピリチュアルな光景に移り変わっていくのを聴いて、「ああ、やっぱり流石Aranだなぁ…」と感心。前述の風の音ももう一回イヤフォンで聴いたら音響処理が面白くて良かったですし。ただ、バンドサウンドもなく、メロディもほぼ排されている作風が約80分続く音はややカルトなので、このジャンル(ブラック寄りのアンビエント)をある程度聴いていて、尚且つ好きな人にのみお勧め。音楽を聴きたいときよりも、瞑想したいときに適した音だと思いますし。

…これ、手書きナンバーが入ってますが、これってもしかしてAranの直筆なんでしょうか…。だったらかなり嬉しいんですが(笑)


TRIUMFALL ★★ (2013-03-29 22:14:40)

セルビアのブラックメタルバンド。
ヴォーカリストのAtterigner氏がGORGOROTHに加入した事でも有名ですね。