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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6101-6200

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6101-6200
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THE ONE ★★ (2013-11-09 16:16:54)

現在はイギリスに籍を置く、元はギリシャ産のブラック。
創設メンバーのI氏はGLORIOR BELLIのライブメンバーらしいです。


THE ONE - I, Master ★★ (2013-11-09 16:20:08)

2008年発表の2nd。

作風的には耳を聾するようなブラストで攻め立てる、ブルータルなパートや混沌としたリードギターのフレーズを絡めつつ、オールドスクールに進行するブラックという感じですが…音作りがかなり辛口。メロディ感を感じさせない程強く歪んだシャーシャー系のリフの音色は、目の前にどす黒い帳を下ろされたかのような絶望感を感じますね…。

そしてそのギターの作る轟音の中で響く、他の音の聴かせ方もかなり上手いと思う。まず五寸釘の混じった暴風雨が吹き付けてくるような、RAWなドラムの音色はプリブラ好きには心地良い音だし、獣の唸り声のような獰猛ながなり、オカルト的な恍惚感を誘発するような地縛霊系クワイアなどはリフのノイズによるヴェールが掛かっているせいで、一層カルトな響きを得ているように思います。

ノイジーながら、頽廃的な雰囲気の宗教画のような、厳かで陰鬱な雰囲気を持つアルバム。カルト志向な方にはお勧め出来るのではないでしょうか。


THE PHANTOM CARRIAGE - Falls ★★★ (2014-05-27 10:13:01)

2013年発表の2nd。

このバンドはブラックだけでなく、(カオティック)ハードコアの流れも汲んでいる(だからなのか、現時点で未だにEncyclopaedia Metallumに未登録だったりする)ようですが…両者のダークな面のみを抜き出して、上手い事合わせたような感じですね。一曲目の途中でヴォーカルが「いえーい」的な素っ頓狂な声を上げ、ギターも場違いに明るいメロディを奏で始めたときはババを引いたかと思いましたが(苦笑)、それ以降は邪悪さに全くブレのない、どす黒い音を聴かせ続けてくれます。

カオティックに耳を蹂躙しつつ、ブラックの邪悪さも感じさせてくれるギターリフ、単に暴虐というだけでなく、叩きつけるような炸裂感や、変化に富んだダイナミズムも感じさせてくれるリズム構成、モダン系のバンドとは一線を画する、ヘヴィさと有機的な邪悪さを両立させた音作りなど、どこを取ってもブラックとハードコアの美味しい(暗黒な)部分が上手く融合してます。ぶっちゃけ同郷のDEATHSPELL OMEGAの「Drought」にかなり近いんですけど、こちらの方がより展開的に分かりやすい印象がありますね。

という訳で、1曲目の一部を除いてはかなり気に入った一枚。邪悪なだけでなく、その邪悪さにハードコア要素が一層の凄みを与えているのが素晴らしい。


THE ROYAL ARCH BLASPHEME ★★ (2011-04-09 16:32:27)

KRIEGとPROFANATICAのメンバーによる夢の共演。


THE ROYAL ARCH BLASPHEME - The Royal Arch Blaspheme ★★★ (2011-04-09 16:33:20)

2010年発表の1st。

ヴォーカルをKRIEGのImperial氏、作曲その他演奏関連をPROFANATICAのJohn Gelsoが担当するプロジェクトということで、PROFANATICAの曲にImperialのヴォーカルが乗ったような、ウルトラカルトなブラックを期待してましたが、そのまんま期待通りの音ですね(笑)。

野蛮さすら感じさせる、ブラックでも随一のブルータルな声を持つImperialと、オーガニックな気味悪さを放出するPROFANATICAの曲が合わないわけがないです。ただ、先日リリースされたPROFANATICAの新譜と比べると、血の饐えた匂いが漂うような気味悪さはほんの少しだけ薄め。代わりに、爆発を伴い、目の前を薙ぎ払うような力強さが追加されているような感じがします。

そういう訳で、元となる2バンドのネームバリューで買ってしまっても損はないであろう良質の作品だと思います。予想を遥かに超えるという訳ではありませんが(そもそも、この2バンドの共演と言う事でどうしてもハードルが上がってしまう)、期待を裏切らないカルト性や質の高さがあるアルバムですよ。


THE SARCOPHAGUS ★★ (2010-03-07 01:31:00)

SHININGなどで活躍するKvarforthがVoを務めるトルコ産ブラック。
…ここ数年で、彼が関わった作品って一体何枚くらいあるんでしょうね…。
掛け持ちバンド多すぎて過労死するのでは(苦笑)。
昔失踪していた時期もあったというし、本当に普通に生きられない人って感じですね…。


THE SARCOPHAGUS - TOWARDS THE ETERNAL CHAOS ★★★ (2010-03-07 01:25:00)

2010年発表の1st。

クレジットを見る限り、作曲の舵を握っているのはKvarforthではなく、NahemothとThyrouthの2名のギタリストのようですが…ここで聴けるのは寒々しいリフを纏って疾走するパートが中心の、メロディックブラックの王道を行く音とも言える作風で、今までKvarforthが関わってきたバンドとは明らかに一線を画してますね。

トルコのバンドの感性なのか、北欧勢よりも「冷たさ」が少し弱い代わりに、独特の上品さがメロディに現れている気がします。…もっとも、音は整ってはいるものの、ノイジーなギターの音圧が強く、全く上品な感じではありませんが(笑)。

そして肝心のKvarforthのヴォーカルですが…今まで抽象性の高いブラックや鬱系のバンドでその表現力を発揮してきた彼ですが、意外にもこういう王道な音にも凄くマッチしてます。WATAINやONDSKAPTを凌駕する悪意をばら撒きながらガナりつつ、途中声が上擦るほどの怒りを篭めたり、呪い殺すような低音で呻いたりする、泥濘の中でもがき苦しみながら歌うようなスタイルは、どこかFUNERAL MISTや(Arioch加入後の)MARDUKに共通するものがあるように感じます。宗教性・神秘性が高く、エフェクトも多用するFxMxと比べると、こっちは生々しさ・感情重視という違いはありますが。

純粋に曲のみを見ても、メロディック・ブラックとしてメジャー級のクオリティのある作品ですが、Kvarforthのヴォーカルによって更に「特別な」ものに仕上がっているという印象。Kvarforthのネームバリューで買った人は今までの彼の参加バンドとの違いに戸惑うかもしれませんが、こういうスタイルのバンドでもしっかり個性を発揮していて素晴らしいですよ。


THE SARCOPHAGUS - TOWARDS THE ETERNAL CHAOS - ANATOLIAN DRAGONS ★★★ (2010-03-07 01:29:49)

個人的に一番「トルコらしさ」を感じた曲。
叙情メロディに北欧勢とは異なる、エキゾチックな雰囲気があるような気がする…といっても、北欧自体が日本人から見たらありますからね(笑)。でもこのメロディ、かなり印象に残りました。


THE SARCOPHAGUS - TOWARDS THE ETERNAL CHAOS - HYMN TO AWAKENING ★★★ (2010-03-07 01:28:13)

イントロからかなりメロディアスで、エクストリームメタルとしても聴きやすい曲だと思いますが…しっかりブラックメタル特有の人を遠ざける雰囲気、近寄ってはいけない雰囲気も醸し出されているのが素晴らしい。


THE SARCOPHAGUS - TOWARDS THE ETERNAL CHAOS - LEGEND SLEEPS BEHIND THE MOUNTAINS ★★★ (2010-03-07 01:27:21)

トレモロリフによる叙情メロディを紡ぎながら疾走、というのは、既に星の数ほどのバンドが演ってることですが、特にメロディに特別な「何か」を感じられる気がします。この前のイントロも単なるイントロ以上の役割を果たしてると思うし、SHININGのメンバー参加に釣られて買った人も満足できるのでは。作風には戸惑うかもしれませんが…。


THE SARCOPHAGUS - TOWARDS THE ETERNAL CHAOS - MISANTHROPIC ★★★ (2010-03-07 01:30:50)

気温だけでなく、明度も下がったように感じられるリフ捌きが、DISSECTIONやNAGLFARなどの一流のメロディックブラックとの共通点を感じさせてくれる、アルバムラストの曲。タイトル通りの人間嫌いオーラも漂いまくってます。


THE SARCOPHAGUS - TOWARDS THE ETERNAL CHAOS - THE SARCOPHAGUS ★★★ (2010-03-07 01:28:56)

ミッドテンポで漆黒の瘴気で辺りを包みこむような、気合の入ったどす黒さを聴かせてくれる曲で、近寄り難さではアルバムでも随一。レコーディング前にメンバー全員で聴き手を呪う儀式やってるとかいったら信じますもん(笑)。流石、バンド名をそのまま付けるだけあって、他の曲と比べても暗黒度がより高くなってる感じがしますよね…。


THE STONE - Zakon Velesa ★★ (2014-10-13 11:19:50)

2004年発表の2nd。

セルビアというと、WATAIN辺りに通じるドス黒いブラックを聴かせるMAY RESULTや、メロディックブラックとして非常に完成度の高いBANEを始め、近年良質なブラックメタルの名産地になりつつある印象なんですが、このバンドはまだBANEが結成されてもいない、この時点で既にブラックとしてかなり良質な音を提供してますね。プロフィールを見てみると96年結成でMAY RESULTと並ぶ古株だとか。

路線の方は、MAY RESULTやBANEとは似て非なる、オールドスクールで純然たるブラックメタル。例えば初期~中期のGORGOROTHやSATYRICONなど、ノルウェーの黎明期のバンドってオールドスクールでピュアなブラックながら、土着的な叙情性も練り込まれてる事が多かった印象ですが、その当時の北欧ブラックの雰囲気を良く受け継いでる作風だと思います。アングラな湿り気と熱気、そして土着的メロウさが程よく交錯する音。何気にドラムの音やフレーズの作り方も好きです。極端に暴虐とかテクニカルという訳ではないですが、他のバンドよりグルーヴがある気がする。

これは黎明期ブラックの雰囲気が好きな人にはかなりお勧めできるブラックかと。良質なブラックの産地としてセルビアに注目してる人は、取り敢えずこのバンドも要チェックですよ。


THE TRUE ENDLESS - Legacy of Hate ★★★ (2014-09-03 23:41:39)

2013年発表の6th。

一言で言うなら、「攻撃性」にパラメーターを極振りしつつ、クオリティの高さも備えたブラック。メロディを主張するよりもエクストリームメタル本来の苛烈さを叩き込むような攻撃的なリフ、蹴散らすような音色のバスドラムが心地良い、グルーブも感じさせつつ暴虐極まりないドラミング、ゴリゴリでえぐい音のベースが絡み、大地を焦土に変えるかの如き猛烈なテンションの高さで蹂躙していく作風。

潰れた声で憎しみを込めるようにがなるヴォーカル、バンドサウンドの暴虐を余すことなく伝えるクリアな音質もあり、ブラックとしては攻撃性がかなりダイレクトに表われている感じですね。ただし、攻撃性「極振り」で、「全振り」な音ではないのがミソでしょうか。リフはメロブラと比べるとかなり辛口なものの、一部にギターソロや管楽器、クリーンヴォーカルなどが取り入れられており、楽曲ごとに個性を出しつつ、メロディ面も決して弱いとは言えないのが良いですね。

前身バンド時代も含めれば約17年のキャリアがあり、フルアルバムだけでも6枚出しているベテランだけあって、暴虐ながら衝動性だけでは片付けられない完成度の高さもある一枚。攻撃的な音が好きであれば買って損はないでしょう。


THE TRUE FROST - ...in Eternal Strife ★★ (2015-12-04 00:30:05)

2005年発表の3rd。

タイプとしては、オールドスクールな要素の強い展開と、Rawな演奏で聴かせる、特に衒いのないプリミティブブラックという感じですね。ドイツ産のバンドですが、フィンランド辺りのプリブラ勢が如何にもやりそうな路線の音。…ただし、優秀なプリブラとしての要件は満たしており、流石WTC所属のバンドとは思わせるものの、全体的に若干地味な感じは否めないかも。

北欧然としたブリザードリフを伴う疾走、土着的なメロディを前面に押し出した毒々しい展開、キメを多用してふてぶてしい不敵さを演出するフレーズなど、所々にハッとさせられるような箇所はあるんですが、それでも全体の「地味」という印象を覆すには至らない感じですね…。太めのがなり声で、時折悪魔笑いも聴かせるヴォーカルなど、良い味を出してると思う所は結構あるんですが…。結局無駄に長い無音部分が一番印象に残るという(笑)。

似たような路線のバンド、例えばNorthern Heritage辺りの所属バンドと比較して、明確に何か秀でている点があれば化けるような気がしますが…この段階ではまだたくさんいるバンドの中の一つという感じです。バンド名は如何にもでかっこいいですが。


THE TRUE WERWOLF (WERWOLF) ★★ (2015-12-07 23:00:29)

SATANIC WARMASTERのWerwolf氏によるプロジェクト。
WERWOLFとも表記されますが、THE TRUEが付いても付かなくても「WEREWOLF」ではないので、音源の情報を調べる際は注意。


THE TRUE WERWOLF (WERWOLF) - Death Music ★★ (2015-12-07 23:01:15)

2013年発表の音源集。
2004年から2012年にかけて発表された4つのEPや、未発表曲等を収録し纏めたコンピレーションアルバム。

フィンランド産ブラックとしては最も知名度や評価の高い、SATANIC WARMASTERのメンバーによる別プロジェクトとのことですが、しっかり本隊とは差別化された音になってますね。こちらはダークアンビエントとブラックメタルの両方を演るプロジェクトですが、プリミティブな質感を残しつつ、この手としては破格のドラマ性を持つSxWxに対し、こちらはもっとRawでシンプルな感じで、より本質「だけ」になった感じの音。

これくらいシンプルな展開の音にしても、どこか凄みがあるというか聴かせどころを分かっている感じが、ジャンルを牽引してきた人ならでは…という気がします。ダークアンビエントパートも、ノイズ/ドローンに通じる音で薄暗さや圧迫感を感じさせるもので、なかなか悪くないですね。しっかり闇に包まれるような感触を味合わせてくれます。

SATANIC WARMASTERのネームバリューに留まらない、魅力を感じさせてくれる作品。この路線も良いですね。


THE UGLY - Decreation ★★★ (2016-05-28 19:54:11)

2015年発表の2nd。

MARDUK、NORDJEVELのドラマーであるFredrikの参加バンドとして知られるバンドですが…このバンドもそれらと比べて劣らないほどの、エクストリームメタルとして一級品の質の高さですね。乱暴な対比をしてしまえば、MARDUKがファストブラック、NORDJEVELがメロディックブラック要素が強い音なのに対し、THE UGLYはメロデスラッシュの要素が強い感じでしょうか。

この人のドラミングは、フレーズの作り方が上手いのか、ただ速いだけじゃなくて聴いていて心地良くノレるんですよね。それを活かす、ブラストやスラッシュビートを多用した激烈な展開で聴かせる音。意外にもリフにはメロディックな部分が多く、メロウなリフで聴かせておいて苛烈でスラッシーなリフでトドメ、のような流れが劇的でかっこいい。メロディ自体も破滅的というか、廃墟に酸の雨が降り注いでいる感じというか…如何にもブラック然としたダークさがあって凄く良いです。ヴォーカルも声量・迫力共に申し分なしで、エクストリームメタルとして瑕疵の見当たらないハイクオリティな音を構築。

別に奇を衒ったことをしている訳ではないですが、この手のメタルとして超真っ当な完成度の高さのある一品。日本盤が出てもおかしくない感じ…ですが、MARDUKの最新作ですら出てないからなぁ…。世知辛い世の中になったものです。


THE UNCHAINING - Ruins at Dusk (2015-05-23 20:53:07)

2013年発表の1st。

一つの展開のスパンを長めに取り、スケールの大きさを演出しようという構成、ノイジーなリフによる靄の掛かったような神秘的な音像、フォークからの影響の強い叙情的なメロディや、笛の音色などの導入…と、一言で言えばネイチャー系、アトモスフェリック系のブラックメタルという感じですが…これは、この手でも結構ニッチな音という感じがします(笑)。

ミディアムで淡々とした展開、もっさりしたディストーション、妙にガラガラしたヴォーカルなどが、どうも個人的には緊張感を損なっているような印象があるんですよね…。ただし、その上で展開される、トレモロや笛(っぽいキーボード)による幽玄かつ叙情的なメロディは、単なるニッチで終わることを許さない魅力があると思います。この作品、自主制作でリリースした翌年に、Behemoth Productionsが再発してるんですが、確かに目を付ける理由があるな…と思いました。

ただまあ、相当にマニア向けな音であることは間違いないような気がします(笑)。この手にハマっている人ならば、この音像で逆にリラックスできるかも…。


THE WRETCHED END ★★ (2010-11-02 07:16:22)

3枚のアルバムをリリース後、惜しまれながら解散したZYKLONですが、
その主要メンバーのSamothが新しいバンドを始めた模様。
1stアルバム「Ominous」がCandlelightよりリリースされてます。


THE WRETCHED END - Ominous ★★★ (2010-11-03 18:59:51)

2010年発表の1st。

最初は、店頭の販促コメントで「デス・スラッシュも飲み込んだ、ブラックに留まらないエクストリーム・メタル」的な紹介がされてたため、どうしようか逡巡してたんですが…店内のBGMでこのアルバムがかかり、「The Armageddonist」を聴いて即購入を決定しました。

確かに、基本路線は後期ZYKLONのブルータリティを少し抑え目にして、スラッシュ的な刻みリフの切れ味、ハードコア的な炸裂感、ノリの良さを強化した感じだし、ヴォーカルもかなり地声交じりの怒号スタイルなんですが、3曲目やラスト曲などで聴けるトレモロリフなんかは、確実に初期ノルウェー産ブラックメタルの、なにか魔術的な力すら感じる魅力が息づいてると思うし、ブラック好きにもお勧め出来そう。

やはり今までエクストリーム・メタルに携わってきたSamothが中心となったバンドだけあって、リフの練りこみ具合や、それを含むアンサンブルが素晴らしいですね。リフもZYKLONの時以上に印象に残るものが多いんですが、それ以上にセンスがいいと思ったのがリードフレーズ。ソロ偏重バンドのように、リフが背景で、ソロが主役…といった単純な役割分担でなく、フレーズをアンサンブルの一つのパートとして溶け込ませつつ、しかも主張させてるのが素晴らしい。私的にはこのアンサンブルの濃さに、「貫禄」や「矜持」みたいなものを感じた次第。

リフで引っ張るタイプのエクストリームメタルって、疲れてるときとかに聴くと、意外とダレちゃう事が多いんですが、これはアンサンブルに程よい緊張感とノリの良さがあるため、最後までテンションを落とさずに聴ける。EMPERORとは全く違う方向で、エクストリームメタル第一級の音を出している作品。モダンな音も行ける方は是非。


THE WRETCHED END - Ominous - The Armageddonist ★★★ (2010-11-04 12:17:55)

これは、ブラック以外に興味ない人にもお勧め。
Samothのペンによるトレモロリフが素晴らしいです。
初期EMPERORとかTHORNSとか、あの辺りの北欧ブラックメタル・
エリートの血脈を確固として受け継ぐリフ。
こんなのを聴かされたら、買わずにいられるかって話です(笑)。


THE WRETCHED END - Ominous - Zoo Human Syndrome ★★★ (2010-11-04 12:18:36)

もう最初のリフだけで、黙示録的な荒廃した世界が浮かんでくる…
THORNSが「THORNS」で、ABORYMが「GENERATOR」で描いた、
荒廃した冷徹な世界観を、描写のクオリティを全く落とすことなく、
「モダンなエクストリームメタル」によって描いた、奇跡のような1曲だと思う。


THE ポッシボー - ①Be Possible! - 乙女ナゾナゾ ★★★ (2012-04-05 22:13:21)

6曲中3曲はベストと選曲被ってるし、残り2曲はカヴァーだし…と思っていても、1stミニをスルーさせないだけの力を持った名曲。この次が「危ない土曜日」なんですが、ああいうジャンルのクラシックと比較しても何ら聴き劣りのしない、正統派にポップなメロディ。ピアノの低音を強調したアレンジは結構インパクト強めですが、そこも個人的には好き。っていうか℃-uteにもこういう曲を書いてあげればいいのに。


THE ポッシボー - ①Be Possible! - 危ない土曜日 ★★★ (2012-04-05 22:12:30)

キャンディーズのカヴァー。
っていうか作曲森田公一さんだったんですね。クレジット見て初めて知りました。70年代の曲ながら今でも時々耳にする、時代を超えた曲だけあってメロディはやはり最高。これ聴くと最近のヒット曲も洋楽のスタンダードもちょっと味気なく思えちゃうかも。やはり日本のポップスはこのベタさがないと。


THE ポッシボー - ①Be Possible! - 恋するニワトリ ★★★ (2012-04-05 22:11:28)

谷山浩子さんのカヴァー。
これは原曲からして文句無く名曲だとは思うけど、なんだこのコーラスは…(笑)。歌の一節ごとにダーティなおっさんボイスで合いの手入れまくり、ラスサビでは「ふん、ふん、ふん、ふん!」とまるで興奮状態になったかのようにいきんだ声に…。元々谷山さんの持っている世界観自体シュールな側面はあると思うけど、違った意味でシュール。でも嫌いじゃないです(笑)。


THE ポッシボー - ②幸せの証 ★★★ (2012-04-16 21:45:24)

2012年発表の2nd。

ベスト盤がかなり良かったのでこっちも購入しましたが、期待を裏切らない良いアルバムですね。今年に出たつんく系の2枚のアルバム(Berryz工房と℃-uteのフル)が過去作と比べてちょっと微妙だったので、つんく氏もお疲れモードと思いきやそんな事はなかったです(笑)。

ベストで素晴らしかったのは、雑多過ぎてグループの印象が纏まらないレベルの楽曲の振り幅の広さでしたが、今回もクールでダンサブルな曲あり、普遍性の高いポップスありでそんな特性はある程度継承されてますね。ただ今作は掛け声や合いの手を用いたパンキッシュで盛り上がるアレンジと、爽やかキャッチーな歌メロで攻める曲が多く、それがアイドルソングらしいキャッチーさ、ハイカロリーさに繋がってる気がします。

また、今回は作詞・作曲共にある程度外注してるんですが、突飛でぶっ飛んだ歌詞の乗せ方だったり、基本歌謡曲・ポップスベースの即効性の高い歌メロだったり、彼が手がけていない曲に関してもつんくイズムみたいなのが感じられるのが良いですね。彼自身の楽曲も、今年に入ってから(特にアルバム曲に関して)地味めな曲が多い印象でしたが、今作は彼らしいキャッチーなメロディが多くて良い感じ。

どうもBerryz工房と℃-uteの新作に関しては、商業的に失敗できないプレッシャーがあるのか(質は高くても)手堅い曲が多くて、それが地味さに繋がってしまった感があったんですが、こっちはもっと伸び伸びと作ってる感じで、それが彼の作品らしい、また私が彼の関わる作品に求めている即効性の高さに繋がった気がします。やっぱりアイドル系の音楽はこうでないと、って感じです。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - FAMILY~旅立ちの朝~ ★★ (2012-04-16 21:35:34)

作詞がつんく氏で、作曲が外注というのは結構珍しいのでは。作曲は真野恵里菜さんに「My Days for You」を提供した中島さんが手掛けているだけあって、普遍的なポップスの魅力がありますね。曲だけ聴くと昔のBeingとかにありそうな感じ。我を張りまくるような曲調の多いアルバムの中では少し地味目に聴こえなくもないですが、単品で聴くとかなり良い曲だと思う。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - I love you 私の君 ★★★ (2012-04-16 21:37:08)

跳ねた打ち込みに絡むベースラインが効いた、リズムトラックが非常に心地良い曲。リズムにこだわりを持ったつんく氏らしい曲調。良く聴くとピアノのグリッサンドとかAORっぽいキーとか、かなり色々な音色が入ってるんですが、それぞれが変に主張しすぎることなく、音に溶け合っているアレンジがかなり素晴らしい。キャッチーというよりは、どこかクールでかっこいいイメージで、頭4曲とは少し印象が変わる感じ。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - LOVE2パラダイス ★★ (2012-04-16 21:37:46)

平田さんがアレンジを手掛けただけあって、キックやトランシーなシンセに音圧があって良いですね。メロディの明るさもあって、多幸感に浸れるような聴き心地。「LOVE」の「ヴ」の母音までがっつり発音する「ララララLOVE LOVEパラダイス」という歌詞の語感は、正直結構クドいと思うけど、耳に残るキャッチーさはあると思う。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - プレイボール (THE ポッシボーVer.) ★★ (2012-04-16 21:32:46)

女子プロ野球のテーマソングだそうです。まあこういう曲を入れるならラストしかないですよね。「幸せの形」がアルバムの締めで、この曲はボーナストラックという感じでしょうか。曲自体はタイアップにぴったりな清涼感のあるもので、本編を普遍的な曲で終わらせて、ラストにもうひと盛り上がりという構成が良いですね。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 希望と青春のヒカリ ★★★ (2012-04-16 21:34:12)

「桜色のロマンティック」「幸せ花火」と同路線の、爽やかな哀愁メロを掛け声や合いの手をふんだんに用いた派手なアレンジに乗っけた曲調ですが、この曲が一番派手ですね(笑)。特に後半の応援団のような煽りパートの高揚感がヤバいです。これ、曲知ってる人とカラオケ行って歌ったら絶対楽しそう。配信されるか微妙ですが…。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 幸せの形 ★★★ (2012-04-16 21:33:26)

つんく氏いわく「自然体の曲が出来上がった」だそうですが…確かにこれ、凄く良い曲だと思う。バラードでも行けそうな、メロウなサビメロと、跳ねた感じのABメロがしっかり地続きで繋がっている、メロディの流れも良いし、曲調も人生訓っぽい歌詞が嫌味に聴こえないような自然さがあると思う。個人的には「でっかい宇宙に愛がある」とかはベタ過ぎていまいち好きじゃないんですけど、これは好みです。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 幸せの証 (2012-04-16 21:34:58)

流石にアルバムタイトルに冠する曲だけあって、メロディはかなり良いと思う…んですが、派手系ではなく、自然な良さのある感じのメロディに対して、個人的にはトラックの主張・音圧が強過ぎるようにも感じるかも。アイドルの曲なのに、いまいち歌モノっぽく聴こえないというか…。人によっては逆にその辺りはプラスに感じると思いますが。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 幸せ花火ゴッゴッGOーッ! ★★★ (2012-04-16 21:36:09)

これは歌詞を見た時は絶対勢いだけの曲だろうな…と思ってましたが、そんなことはなかったです(笑)。「ヤバヤバヤバ…ヤバい!ヤバい!」とか「シュッポー!シュッポー!」という歌詞に、あんな哀愁キャッチーなメロディが乗るなんて思わないですよ(笑)。前曲のクールさとは裏腹の、吐き捨てるような勢いのある歌い方もかっこいい。振り幅が大きいのもこのグループの魅力ですよね。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 桜色のロマンチック ★★★ (2012-04-16 21:40:20)

パワーコーラスの合いの手入れまくりなパンキッシュな曲調に、歌謡曲的な甘酸っぱい哀愁メロディが乗る展開は、アイドルポップス版の青春パンクと言えるかも。2回目のサビ後の煽りパートやラスサビ後の大サビなど、一度しか出てこないメロディも多くてかなり作りが豪華。明るい哀愁メロに一部ファルセットを交えてアクセントを付けるサビの煽情度も高く、1曲目として掴みはばっちり。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 私の魅力 ★★★ (2012-04-16 21:38:49)

この曲と「電光石火Baby!」は数あるつんくワークスの中でも、かなり上位に入るんじゃないかと思います。みんなのうた的な、口ずさみやすいキャッチネスのあるメロディが、歌詞の日常の一部を切り取ったような情景と見事にマッチしてます。純粋に曲が良いと思う。文章では伝えづらい魅力を持った曲なので、是非実際に聴いて欲しいです。


THE ポッシボー - ②幸せの証 - 電光石火Baby! ★★★ (2012-04-16 21:39:35)

アルバム自体ハイクオリティで驚きましたが、その中にあって一際大きな輝きを放つ名曲だと思う。バンドサウンド風の音作りに、掛け声や合いの手などをふんだんに盛り込んだロック調のアレンジですが、あくまで歌メロを大事にしている感じが凄く良いです。
…つんく氏のメロディって、有名な曲で言うとモーニング娘の「恋愛レボリューション21」辺りの曲がそうなんですが、一見軽薄なまでにキャッチーに聴こえても、なんかホロりとくる哀愁があったりして凄くツボなんですよね。この曲は、つんくメロディのそんな特性が凄く表われてるんじゃないでしょうか。どキャッチーだけど胸に来る哀愁。素晴らしいです。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① ★★★ (2012-04-05 22:26:03)

2008年発表のベスト盤。
これの前に出た1stが6曲入りミニなので、実質1st的な感じかも。

このグループもつんく氏がプロデュースする内の一つですけど…色々調べてたら、グループの方からつんく氏に対して「コンセプトが定まっていない」と苦言を呈した事もあったらしいですね。つんく氏に子供が出来たときは家族をテーマにした曲、彼が米食にはまってる時はお米の曲をリリースしてるという(笑)。しかしこれ、裏を返せば一番つんく氏が好き放題やってる作品と言えるんじゃないでしょうか。

1、2曲目は歌謡メロ+ダンサブルなリズムという、つんく氏の王道的な曲ですが…確かにその後に続く曲がバンド風のパンキッシュな曲あり、和風コミックソングあり、レトロな昭和歌謡あり、80年代アイドルソング風ありで、ホントにその時その時のマイブームを形にしたかのようなバラバラ感。アルバムの構成パーツとしての体裁とか、グループのイメージとか、セールスの見込みとかを無視して作ったんじゃないかと思えるほど(笑)。

ただそれだけに、つんく氏の感性がダイレクトに反映されているのか、無難で中庸な曲が殆ど無くて、聴いていて面白いアルバムなんですよね。「いじわるCrazy love」なんかはクサメロ好きが高じてつんく作品に手を出し始めた方なら確実に悶絶できるメロディがあるし、「GOHAN=主食の唄」は攻め過ぎてて売れそうもない感が漂ってるけど(笑)、私個人としては超名曲だと思う。

ただ、このグループはアルバム2枚、ミニ2枚聴いたんですが、どうもグループとしての印象が固まらないっていうのは事実なんですよね…。個人的には曲聴くまでどういうのが来るか想像付かないのも楽しくていいですけど、やっぱり売れるにはコンセプトがあった方がいいの…かも?


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - Happy 15 ★★ (2012-04-05 22:21:35)

この頃はリアルエアバンドというコンセプトであてぶりをしていたらしく、曲調もパンキッシュなバンドサウンド風。曲を明るく華やかにするピアノと、青春映画のエンディングテーマのような陽性のメロディが良い感じ。メンバーの掛け声も半ばヤケクソに聴こえるくらいテンション高く、聴いていて楽しい曲に仕上がってますね。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - いじわる Crazy Love ★★★ (2012-04-05 22:25:15)

ダンサブルなリズムと歌謡メロというつんく氏の王道、しかもアレンジが平田さんという時点でクオリティは保証されたようなものですが…この組み合わせの曲の中でも、スマイレージの「夢見る15歳」とか℃-uteの「都会っ子 純情」辺りに匹敵する名曲だと思う。
サビメロをキンキンしたキーで弾くイントロとか、跳ねた感じのキーボードとかはちょっとだけ90年代初頭(「Risky」アルバム時代)のB’zを思い出したりも。サビのラストをクールに吐き捨てるヴォーカルもかっこいいですね。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - アン ドゥ トロワ Miracle (the ポッシボー Ver.) ★★ (2012-04-05 22:15:39)

これもパンキッシュな盛り上がりを見せる曲ですが…メタルのような、全力感のあるジャンルを愛聴する人には好ましく映る曲じゃないでしょうか。悲鳴に近いような掛け声とか、全力でやりきってる感じが爽快。トレモロフェチの私としては、サビでトレモロリフが出てくるのも好印象です。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - ヤング Days!! ★★ (2012-04-05 22:23:15)

サビで「Possible」という単語を印象に残るように置いた構成、陽性ながら哀愁も感じられる、流れの良いメロディライン、合唱曲のごとくユニゾンを多用したヴォーカルと、デビュー曲だからなのか非常に手堅く作られた印象の曲。普通にかなり良い曲ですが他の曲が我を張りまくってるので微妙に地味に聴こえる気も(笑)。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - ラヴメッセージ! ★★ (2012-04-05 22:21:02)

この曲も「Happy 15」同様、バンドサウンド風のハイテンション路線。「あまのじゃく」を「あまのじゃき」と発音し、無理矢理韻を踏む歌詞からしてあまのじゃくですよね(笑)。冒頭のタングトリルも勢いがあって楽しい。ただ欲を言えば、ここまでやるんだったらドラムも生がいいなぁ…やっぱり金物が打ち込みっぽいので…。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 愛して Give Me ★★★ (2012-04-05 22:24:30)

1曲目に続いて、ダンサブル歌謡路線な曲。頭だけ2曲聴くと凄くまとまりのあるアルバムみたいで、騙されますよね(笑)。サビを敢えて低めのキーに設定し、後半の高音も太く歌うことで洗練されたかっこよさが演出されているように思います。全体的に泣きの入った歌メロも非常に美味しく、1曲目に負けず劣らずの良い曲だと思います。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 夏のトロピカル娘。 ★★★ (2012-04-05 22:18:04)

8、9曲目に続いて更にレトロ路線でダメ押し。どの曲もレトロなのに、しっかり曲調が差別化出来てるのも良いですね。この曲は70年代アイドル風の曲で、初期TUBEよりも更に昔っぽい夏の情景が浮かんできます。歌手の顔すらぼやける画質の、昔の歌番組でアイドルが歌ってそう。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 家族への手紙 (2012-04-05 22:23:53)

メロディ自体はピースフルで、リラックスして聴ける曲だとは思うけど…如何せん同じメロディを繰り返しすぎててちょっとクドい気が。運動会の入場に使えそうな、分かりやすい良い曲ではあると思いますが。ちなみにクラップとコーラスはつんく氏本人ですが、彼が一番楽しそうですよね(笑)。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 金魚すくいと花火大会 ★★★ (2012-04-05 22:17:11)

マンドリンなども取り入れた、カントリー風アレンジの曲。つんく氏はBuono!の「Take it Easy」でも似た曲調を演ってましたが、こっちの方がもっとゆるい感じ。「オッホッホ~!」「ウ~~、オッホッホ~!」のつんくコーラスが楽し過ぎる(笑)。個人的にこういうカントリーちっくな優しくゆるいメロディと、アイドル歌唱の組み合わせって好きかもしれないです。聴くのに変に肩に力を入れる必要が無くて、癒されるというか…。メタルの合間にこういう曲も良いですよ。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 主食=gohanの唄 ★★★ (2012-04-05 22:20:20)

これはド名曲でしょう(笑)。正気の沙汰じゃないわ…
アイドルグループの曲にご飯をテーマの歌詞を乗せるという暴挙も然る事ながら、アレンジが神懸かってます。三線や尺八風のキーボードをフィーチャーした、和風の音作りなのにゴスペルっぽいコーラスを仕込む時点で変態的ですが、歌の合いの手にデス声寸前のおっさんボイスが乗るとか(笑)。はっきり言って気色悪い声で、「…カモン…」とか「う~ん」とか「ナイス!」とか言いまくりでどん引きもいいとこですが、何故か癖になってしまいます。ゆるキャッチーなメロディも秀逸で、「3分 5分 8分搗き」という歌詞の乗せ方も見事。マジで素晴らしいです、この曲。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 初恋のカケラ ★★★ (2012-04-05 22:19:28)

これはまたイントロから非常にレトロな雰囲気ですね…洋楽ポップスでは絶対出てこないような、昭和歌謡的というか演歌的な泣きを孕んだメロディが素晴らしい。聴いてすぐに世界観が伝わる辺り、即効性は非常に高いと思う。タイトル繋がりで村下孝蔵さんの「初恋」に近い情緒的なムードを持った曲だと思う。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 風のうわさ ★★★ (2012-04-05 22:18:42)

♪風のうわさ ヒュルルル~
なんなんだ、このバタ臭さを隠そうともしない、哀愁ダダ漏れなサビは…。最早一歩間違えばみんなのうたで流れそうというか、泣きメロも行き過ぎると逆に滑稽に感じるというか…当然私的には大満足ですが(笑)。このメロディに「ヒュルルル」というオノマトペを乗っけただけで名曲確定だと思う。


THE ポッシボー - 究極のTHE ポッシボー ベストナンバー集① - 風のうわさ (more うわさ Ver.) ★★ (2012-04-05 22:15:01)

9曲目のアレンジ違いですが…こちらの方が音の一つ一つをはっきり聴かせる事に焦点を絞ったアレンジですね。リズムの音使いのせいなのか、サビはより賑々しく聴こえる。リミックス然としたアレンジより、このベタベタなメロディはこういう別バージョンとして聴けるアレンジの方が映えるのかも。


THE 冠 - 傷だらけのヘビーメタル - 俺なりのペインキラー ★★★ (2011-04-26 19:46:34)

これは笑っちゃいました(笑)。
特に「いきなりヘビーメタル」っていうフレーズに爆笑。
でも、ヘッドボイスでがなりまくる前半と、クサい歌謡メロディを歌い上げるサビ以降と、何気に歌的な面から見てもかなりドラマティックな展開でかっこいい曲。

でもキャバ嬢も仕事なんだから会話盛り上げよう。曲を知らなくても「高い声出ますねー、ボイトレとかされてるんですか?」とか幾らでも広げられるのに…と思ったけど、そんな接客スキル高いキャバ嬢だとネタにならないですね(笑)。接客したのがALDIOUSだったら、違う意味で面白いことになってたかも(笑)。


THEATRES DES VAMPIRE - Suicide Vampire ★★ (2012-04-01 21:59:04)

2002年発表の4th。
…なんかブックレットに徐倫みたいな人がいるんですけど(笑)。しかもジャケはエコ○ル社のロゴそっくり。これはマニア心をくすぐられますね(笑)。

「ヴァンパイア劇場」ってなんか凄いバンド名ですが、名前の通りのホラー/ゴシック要素の強いシンフォニックブラックですね。メロデスにも通じるメロディアスなギターワークに、ブラック的絶叫とゴシック的男女クリーンVo、キーボードやストリングスを乗せて展開するシアトリカルなスタイルですが、このキーボードが個人的にはかなり好き。チャーチオルガン系の音を多用し、いかにも吸血鬼が出てきそうなベタな妖しいメロディを弾きまくり。バンド名を伏せて聴いても吸血鬼がテーマのバンドである事が伝わりそう。

吸血鬼がテーマのブラックというと、CRADLE OF FILTHが有名ですが、流石にあちらと比べると音作りや曲展開などは正直チープさを感じざるを得ません…が、その分一回聴いただけで世界観を共有できるような、分かりやすい感じがあるんですよね。COFが聖書や史実等もモチーフに世界観を展開するのに対し、こっちはヴァンパイアに特化している感じがするのも、分かりやすい一因かもしれませんね。女声ソプラノと男声のマイルドな声によるクリーンパートもかなり直接的にゴシックな情景を描写してますし。

取り合えずブラックメタルが好きな方で、バンド名にピンと来た方は買って損はないんじゃないかと。多少チープな部分はありますが、その辺も味があっていいと思います。


THEOSOPHY - ...Out of Decades (2014-06-01 00:49:46)

2010年発表の1st。
KORROZIA METALLAというバンドの「Phantom」という曲と、DISSECTIONの「Where Dead Angels Lie」のカヴァーを収録。デジパック盤は限定50枚らしいですが、販売元がNo Coloursで、ここまで厳しい限定数なのに何故か中古で安く入手できました。

ロシア産で、ペイガンやプリミティブ系統に強いNo ColoursからCDを出しているというプロフィールの割に、作風自体は北欧、特にノルウェー産ブラックの流れを汲むストレートなブラックメタルですね。オールドスクールなミッドテンポの使い方とか、如何にも黎明期ブラックの音を意識している感じで、余分なものの無い硬派な音に仕上がってると思います。無骨さを残しつつ厚みもあるプロダクションも良いですね。

ただ、個人的には硬派過ぎるんですよね…。叙情トレモロ全開な「Forest Legion」辺りは別ですが、全体的にケレン味に欠けるというか。通して聴いてると、ラストで如何にDISSECTIONの「Where Dead Angels Lie」がフックに満ちた名曲かを見せ付けられてしまうので、THEOSOPHYのアルバムとしてはちょっとどうかと思う構成ですね(苦笑)。まあこの飾らなさが良いというのも分からなくはないですけど。

バンド名は示唆に富んでいてかっこいいんですが、中身は良く言えば硬派、悪く言えば地味な音。根っからのブラック好き以外には勧めづらい作品かも。


THESYRE ★★ (2011-07-14 20:58:51)

カナダ・ケベック州出身のブラックメタルバンド。
メンバーのEric Syreはデザイン会社も経営し、DARKTHRONEのアートワークも手掛けた経験があるとか。


THESYRE - Resistance ★★★ (2011-07-14 20:59:39)

2009年発表の4th。

端的に言ってしまえば、最近のDARKTHRONE等に代表される、スラッシュと未分化だった頃のダーティさをもう一度揺り戻そうとするような、オールドスクールなブラックメタルなんですが…これはかなり良いですね。この系統では最も好きな部類の音かもしれません。

リズムこそロック要素の強い、ノリの良いものが中心なんですが、ベースがゴリゴリ言う黒い音像、オールドスクールかつ平坦ないぶし銀的な渋いリフ捌きもあってか、どこか淡々とした冷徹な雰囲気があるのが特徴ですね。時折メロディアスなフレーズは出てくるものの、それも近年のSATYRICONのような毒の効いた陰鬱なもので、やはり渋い雰囲気がある。ヴォーカルが暑苦しくなく、邪悪さ重視なのも個人的には好印象。

DARKTHRONEなどが酒場で酒を呑んでクダ巻いているような、どこか大らかさや度量の大きさを感じさせる音だったのに対して、こっちはそんな楽しいダーティさなんて全く感じさせませんね。酔って騒ぐどころか真面目にテロの計画とか立ててそうな暗さがある。個人的にはこのムードがかなり好きです。


THIRST - BLACKLIGHT ★★★ (2012-10-26 12:20:50)

2008年発表の3rd。
90年代初頭から活動するバンドで、この時点で15年以上のキャリアがあるとか。

音としては…如何にもデスメタル大国のポーランドらしい、低音をしっかり効かせた暴虐な展開を軸に、メロディックブラックのメロウなメロディ、アトモスフェリックなキーボードによる神秘性を取り入れた、美味しい所を上手く取り入れたようなスタイルで、ブラスト畳み掛けのブルータリティと長めのギターソロも含むメロディアスな作りを上手く両立させた、ドラマティックなサウンド。

ヴォーカルは如何にもブラックといった風情の高音絶叫で、これもキレ良くかっこいい。まあ取り入れている要素がどれもエクストリームメタル・ブラックメタルに置いて常套という感じなので、まあ格好悪くなる事はまずないんですが…このバンドは取り入れ方、消化の仕方としてはかなり巧みな方だと思う。特にダークさを伴うメロウなメロディが、ブラックメタルらしくてかなりツボ。

作風的にちょっと安牌っぽい感じはしてしまいますが、安心して聴ける作品だと思う。やっぱりブラストとトレモロの組み合わせは王道かつ魅力的ですよ。


THIS GIFT IS A CURSE - I, Gvilt Bearer ★★ (2015-12-02 12:26:07)

2012年発表の1st。

音的にはポスト/アトモスフェリックブラックをめっちゃカオスにした感じ…でしょうか。ブラック特有のノイジーなギターリフを活用し、一つの情景を描いていくような作風自体はこの系統という感じですが、リフにはスラッジ的などす黒い熱量の高さがありますし、ヴォーカルも野太い声質でハードコアにも通じる地声混じりの苦悶絶叫スタイルで、この手としては異例なほど混沌とした音。路線は全く違えど、ANAAL NATHRAKHにも通じる地獄絵図なムード。

メロディやリフ捌きもかなりカオティックで、聴いていると常に緊張を強いられているような感じ。この手のポストブラックって、バンドが描こうとする情景に共感する事で、ある意味安らげたりしますが、この作品の世界観はどこを探しても精神の安息など見付からなそうです。この精神がヒリつくようなムード、リフのスラッジ的なノイジーさと物凄く相性が良いんですよね。良い意味で中途半端さがなく、気に入る人は心底気に入りそう。

路線としてはREGARDE LES HOMME TOMBREやTHE GREAT OLD ONESなど、Les Actuers L’Ombre勢なんかが好きな人は気に入りそう…と思いますが、こちらの方がより人を寄せ付けない感じ。そういえば、最新作は未聴ですが、Season of Mistからのリリースだとか。何気に出世頭のバンドなのかもしれません。


THOR'S HAMMER ★★ (2011-10-31 21:07:38)

ex-GRAVELANDのCapricornus氏が参加していたNSブラック。
THOR’SがポーランドのNSブラックで、THORR’Sがアメリカの女性Voデスなのでお間違えのないよう。


THOR'S HAMMER - The Fate Worse Than Death ★★★ (2011-10-31 21:10:28)

2002年発表の3rd。

思想面・人脈面からNSブラックやペイガンブラックに分類される彼らの音楽性ですが、出音の方はほぼプリミティブブラックですね。メランコリックなメロディと、スラッシーなリフも織り交ぜながらRAWに暴走していくスタイルで、トラッド色はギターメロに僅かに感じ取れるか取れないか…といった程度で、基本寒々しいメロディ中心で展開。一部の曲での神秘的なキーの導入は、GRAVELANDを思わせたり。

音作りはノイズの薄い壁を隔てて、演奏が聴こえてくるようなかなりRAWなものですが、これがプリブラ好きには実に心地良いんですよね。リヴァーブの効きまくったヴォーカルとこのノイズ質が硬い質感を持って耳孔を蹂躙するような音は、正しく作り込まれた音以上に直接的な快感をもたらしてくれます。演奏の細部が聞き取れないほど音が悪い訳ではないし、一度プリブラの洗礼を受けた人には十分勧められる音。

ちなみに、09年リリースの再発盤にはヴォーカルレスのリハーサル音源が2曲入ってますが、音は確かに悪いものの、ノイズが晴れた分彼らのメロディセンスがより堪能できるものとなっているので、こちらもお勧め。


THORNGOTH - Leere ★★★ (2011-01-12 22:45:07)

2010年発表の3rd。

前2作では、叙情性と邪悪さに富んだリフが特徴のメロブラを演っていて、特に「Marching Order」や「Kill for Paradise」などでは、キャッチーと言ってもいいほどフックのあるリフが聴けましたが…やや薄めかつノイジーなプロダクションで、メジャーなメロブラよりも淡くて、抽象的な印象の彼らでしたが、今作はギターの音圧を上げると同時にメロディを聞き取りやすくする、ドラムの音量を適正かつ音の抜けを良くするなど音質面がより強化され、以前よりも大分聞きやすくなった感じがします。

しかも、ただ音が良くなったのみならず、メロディのドイツ産らしい(気難しそうな)繊細さはしっかり引き継がれているため、前作の「淡さ」が、「格調高さ」に変わったという感覚。前2作よりも全体的に曲が引き締まったこともあり、メジャーなメロブラしか聴いてない人でもスルー出来ないクオリティの高さが備わったのではないでしょうか。まあ、メロの叙情の中に見え隠れする、メロデスや正統派には無い悪意に満ちた邪悪さ、ヴォーカルの無理やり潰した様なガラガラ絶叫は依然としてカルトな魅力がありますが…ブラックを聴いてる人、聴こうと思ってる人にはまず魅力に感じられる部分だと思うので、全く問題なし。

前2作もなかなかでしたが、今作はメロブラの有名バンドと比肩する作品だと思う。質が高いだけでなく、「格調高さ」や「幽玄さ」においては、北欧の有名メロブラバンドでも太刀打ちできないものがあるとすら思う。もしDARK FUNERALやNAGLFARなどを聴いて、少しでも良いと思った方なら、こちらも試す価値大有りです。そして、願わくばLUNAR AURORAまで掘り下げて聴いてくれれば、私が喜びます(笑)。


THORNGOTH - Rauhnacht ★★ (2008-12-21 23:41:00)

2008年発表の2nd。

前作同様、LUNAR AURORAの「元キーボーディスト」が中心になっているとは思えない、メロディ担当楽器がギター>>>キーボードな北欧メロブラ風ジャーマン・ブラックですが…前作と比べると、音像といいメロディといい、淡い情景を描く傾向が強まっているように思います。

また、冒頭の呻き声のサンプリングからのフェイドインによる奇妙なオープニングや、荒い歪みの中から聞こえる幽かなメロディと軽めのブラストの醸し出す浮遊感や非現実感など、どこかLUNAR AURORAにも通じる感性が感じられるパートもちらほら見られるようになってますね。

ただ、淡い情景を描いている事は、少し地味になっているようにも思えてしまうかもしれない訳で…取っ付きやすさは少し下がっているかもしれません。メロディック・ブラックが好きで、NAGLFARやDISSECTIONよりも淡い情景の機微を堪能したいという方にお勧めです。


THORNGOTH - Rauhnacht - Abgrund ★★ (2008-12-21 23:36:45)

曲自体淡い音像の中に挿入されるメロディが味わい深い、なかなか良質なメロブラという感じですが、ヴォーカルのエフェクトが(一部分だけど)面白いですね…。何も声が乱れた所を強調しなくても(笑)。


THORNGOTH - Rauhnacht - Nihilistic Visions ★★★ (2008-12-21 23:39:20)

NAGLFARやDARK FUNERALなどスウェディッシュ勢のメロブラと比べると薄暗くて淡い感触の強い音なんですが、そういう雰囲気をキープしつつドラマティックな展開で聴かせてくれるのが良いですね。音像と曲の展開が良く合ってると思います。


THORNGOTH - Thelema of Destruction ★★ (2007-11-03 09:09:00)

2007年発表の1st。

バンドの中心人物であるAkhorahilはLUNAR AURORAのキーボーディストらしいですが、この作品はキーが用いられている曲は僅かで、しかもSE的な使い方に留まっている代わりに全体的にメロディアスなリフによって支配されたメロディックブラック。

メロウさの中に邪悪さをたっぷりと封じ込めたメロディは、どこかDARK FUNERALと共通する物があるように思います。音質はメジャーなバンドと比べれば軽めですが割とクリア。アルバム全体を通じて上手く緩急がつけられていて、ファストパートの速度もかなりの物だし、ミドルパートも禍々しさが渦巻いているような凄みがあるし、クオリティは高いと思います。ヴォーカルも鬼の形相が見えるような迫力ある歌い方でなかなかにかっこいい。

邪悪なんですが、1曲目のスラッシーでノリのいいパートや6曲目のファストパートでの疾走感など、随所にメタリックなかっこよさを感じさせるのもポイントですね。最初聴いた時はLUNAR AURORAのキーボード担当の主導のバンドという事で、シンフォな物を期待していたため肩透かしだと思ったんですが、頭を切り替えて邪悪なメロブラとして聴くとかなり良い出来。やっぱりLUNAR AURORAのメンバーだけあってメロディセンスは素晴らしいものがありますね。

演奏時間は63分と長めですが、低音が効きすぎだったりドラムが大きかったりしないブラックらしい音質のお陰で、あまり聴いていて疲れません。ドイツのバンドですが、スウェーデン辺りのメロブラがツボな方にお勧めです。


THORNGOTH - Thelema of Destruction - Purgatory ★★★ (2007-11-03 09:11:55)

これは結構意外。
リフに織り込まれたメロディはやっぱり邪悪なんですが、疾走感に妙な軽快さがあってかっこいいです。このかっこいい疾走があってこそ、怨念が渦巻くようなミディアムパートも活きてくるのかもしれませんね。


THORNGOTH - Thelema of Destruction - Son of Damnation ★★★ (2007-11-03 09:11:14)

約10分の大作…ですが、終盤はアルバムのエンディングに当たるキーボードのインストなので、実質的には7分半くらいの曲。緩急を付けつつも、一貫してリフのメロディが邪悪で重くのしかかってくる雰囲気があるのが良い感じ。でも、ラストのキーを本編でももっと聴きたかったと思わなくもない…かも。


THORNIUM ★★ (2012-01-21 23:28:41)

90年代前半にThyph氏を中心に結成された、スウェーデンのブラック。
長い活動休止期間を置いたものの、現在も活動している模様。
1stの頃はUlverheim氏が根幹に関わっていたらしいですね。


THORNIUM - Dominions of the Eclipse (2012-01-21 23:30:22)

95年発表の1st。
2011年にボーナストラック入りで再発。

黎明期の作品だけあって、典型的なブラックメタルのスタイル、かつRAWな音作りの作品ですね。線の細くノイジーなギターが精一杯に邪悪なメロディを紡ごうとし、それがパタパタしたドラムに乗る音はなんだか愛おしさが込み上げてきそう(笑)。スケールは違いますが、時折EMPERORやBURZUMの影もちらついたり。B級っぽいですけど、時折入るキーの音色の選び方に幽玄な感性が垣間見えたり、歪みきったヴォーカルはガチでかっこよかったり、聴かせどころもしっかりあるのが良いですね。

ちなみに再発盤は2011年にレコーディングした曲や、93年に発表したデモ音源が付いてきて、バンドの最初期から現在までの音を一気に楽しめるお得なパッケージ。ただ2011年の曲もトレモロリフが入るパートではメロディを前に出したりはしてるものの、低予算録音から土石流系の迫力ある音に変わっただけでやはりRAWな音像。ヴォーカルは以前の方がヤケクソで良かったかも。93年の方は水槽の中で録ったような篭もった音ながら、本編よりメロディは良く聴こえて良い感じ。

ULVERHEIMがかなり良かったのでこっちも買ったんですが…正直これはマニア向けかも。もう少し際立った特徴があれば、思いっきり印象が良くなりそうな作品ではありますが…低予算の録音の方が逆に好み、って方でないとちょっと厳しいアルバムかもしれません。


THORNS ★★ (2007-03-17 23:59:00)

BlackthornことSnorre Ruch率いるブラックメタルバンド。
このバンドはブラック好きのリスナーだけでなく、ミュージシャンの
間でも評価が高いバンドだとか(どこで聞いたか忘れたけど…)。
ゴシップ的には、SnorreはEuronymousの事件のときに、Countを車で送った人
として有名ですね。でも音楽は素晴らしいので、色眼鏡で見ずに聴いてみて下さい。
インタビューによると、Snorreにも病んでた時期があって施設に収容される
寸前だった事もあるとか…病んでて音楽的な才能を持ち合わせてるというのは、
やはりこのジャンルにとっては良い作品を生み出すのにプラスに作用するんでしょうか。
BURZUMやこのTHORNSの曲を聴いてるとそう思います。


THORNS - Darkthrone Holy Darkthrone - Eight Norwegian Bands Paying Tribute - The Pagan Winter ★★★ (2007-05-03 20:29:42)

DARKTHRONEのカヴァー。
THORNSらしい、インダストリアル要素を取り入れたカヴァーで、ヴォーカルはデス声の代わりにエフェクト掛けた語りがメイン。ですが然程違和感が無いのは、プリミティブもインダストリアルも「冷徹さ」という共通点を持っているからかもしれません。


THORNS - Moonfog 2000 - a Different Perspective - Stellar Master Elite ★★★ (2007-03-17 23:35:49)

後に1stアルバムで再録される事になる曲。
向こうの方が洗練されているとは思いますが、ギターの音質的にはこっちの方が好みですね。刻みリフがまるで雷の如き荒々しい迫力。


THORNS - Moonfog 2000 - a Different Perspective - You That Mingle May ★★ (2007-03-19 18:27:46)

ドラムにFenrizが参加。VoはSatyr。
どこかこの二人が以前にやっていたプロジェクトのSTORMにも似た、トラッド的な雰囲気が僅かに感じられる曲。でもTHORNSの冷徹さでそれをやられるとかなり恐い感じ。ラストの吐き捨てがかっこいいです。


THORNS - Stigma Diabolicum ★★★ (2008-02-26 20:56:00)

91年、92年発表のデモを纏めた音源集。2007年発表。

…これを聴いて、Snorreは天才、それもEuronymousやCount、Ihsahn辺りの伝説的なミュージシャンと比較しても何ら劣る事の無い天才であることを確信しました。
まだこのデモが出た頃にはブラックは黎明期にも関わらず、「Grymyrk」の音源ではヴォーカルを敢えて排除し、ブラック特有のノイジーなリフやベースによる低音を強調した音響作品とでもいうべき、アヴァンギャルドなブラックの形態を聴かせてくれます。前衛性を保ちつつ、ヴォーカルも入れ普遍的なブラックに近付いた「Trondertum」の音源も絶品。

Euronymousがトゥルー方向、Countがアンビエント方向、Ihsahnがシンフォ方向にそれぞれブラックの可能性を押し広げたなら、前述のアーティストと同じ位のレベルでSnorreもアヴァンギャルド方向に可能性を広げる事に貢献したと言えるのではないでしょうか。
ブラックってシンフォだったり前衛的だったり、様々な形態があるところが大きな魅力だと思いますが、今これだけ百花繚乱の形態が楽しめるのは彼の貢献が大きいのかもしれません。特にFURZEとか、ああいうタイプの変態ブラックに対しては大きな影響を与えてると思います。

ちょっと音楽性はマニアックなので、ブラック好き万人が楽しめるとは言い難いですが、ブラックの歴史が感じられるという点ではMAYHEMやEMPERORの1stと並ぶ作品だと思います。


THORNS - Thorns ★★★ (2007-03-20 22:57:00)

2001年発表の1st。
海外のレビューサイトを見てみても、評価の高いアルバムみたいです。

音楽的には、インダストリアルの要素を取り入れたサイバー・ブラックですね。
DODHEIMSGARD(の3rd)程アヴァンギャルドでメタルから離れているわけでもなく、ZYKLON程ストレートでもなく、しっかりブラックとしての矜持を保ちながらも個性を発揮しているバランスの良い作風。捻じくれていながらもセンスを感じさせるリフなどのフレーズといい、他のブラックとは一線を画す作風でありながらも似たような曲を作らないバラエティの豊かさといい、ブラックメタルの名盤入りの資格を持ったアルバムではないでしょうか。

無機質で機械的な雰囲気が常に漂っているのも大きな特徴で、その音からは「非人間的」どころか、人も神も悪魔も死に絶えた後、真っ暗な世界に機械だけが残されてしまったような絶望感や厭世観が伝わってきます。Hellhammerのテクニカルなドラムも、この雰囲気に良くマッチしてますね。ただ曲のクオリティはかなり高いと思いますが、インダストリアルノイズが吹き出してくるような高音の歪みを強調したギターの音作りは聴き手を選ぶかもしれません。

ヴォーカルはAldrahnとSatyrですが…すみません、Aldrahnの実力舐めてました。
DODHEIMSGARDの3rdで彼の声にアレルギー起こして、それ以来どうも好きじゃないヴォーカルの一人だったんですが、この作品ではしっかりと恐怖感を醸し出すパフォーマンスが聞け、正直見直しました。特に「Shifting Channels」での無機質な声が素晴らしい。SatyrはSATYRICONの「Rebel Extravaganza」の時のような説得力たっぷりかつ、やはり無機質さを感じさせる声。二人のヴォーカルも曲の雰囲気作りにかなり貢献してます。

このバンドはあの悪名高い「インナーサークル」のメンバー、Snorreが中心みたいですが…確かに「インナーサークル」は色々な犯罪を犯してきたのかもしれませんが、EMPERORやBURZUM、MAYHEM、DARKTHRONE、そしてこのTHORNS…彼らの作った音楽を聴いていると、それ以上に音楽的エリートの集まりだったように思えて仕方がありません。


THORNS - Thorns - Existence ★★★ (2007-03-19 23:23:25)

最初こそザラザラとした音質とトレモロリフのメロディにより、ブラック好きのツボを付いた曲調ですが、ヴォーカルと同時に幽霊登場のような効果音が鳴り出して妙な雰囲気に…エンターテイメント的な恐怖感、に見せかけた確かな殺意を感じる曲。


THORNS - Thorns - Interface to God ★★★ (2007-03-17 23:44:54)

この曲もTHORNS独特の非人間的な冷徹さや展開の面白さがたっぷりと仕込まれた曲ですが、それ以前に吐く寸前のような禍々しいヴォーカル、無機質なメロディを紡ぐリフ、豪速ツーバス連打とブラックとしての要素の一つ一つがどれも高水準。特にSatyrのヴォーカルが恐すぎ…。


THORNS - Thorns - Shifting Channels ★★★ (2007-03-19 23:26:34)

アルバムの中でもインダストリアル色の強い曲。
人間味の感じられない、淡々としたビートが、少しずつだけど確実に迫り来る破滅を予感させます。そしてギターのノイズに埋め尽くされた時の絶望感といったら…邪悪好きならば思わず笑みがこぼれてしまうでしょう。


THORNS - Thorns - Stellar Master Elite ★★★ (2007-03-17 23:50:10)

コンピレーション提供曲のリメイク。
ドラムにHellhammerが参加しているだけあって、アンサンブルの魅力ではこちらが上でしょうか。ツーバス連打と刻みリフの絡みがマジでかっこよく、痺れます。ラストの全てを吐き出しきったようなドラミングも凄い…けど、Hellhammerの事だから表情一つ変えずにこなしそうですが(笑)。原曲もこっちもどちらも甲乙付け難い出来なので、両方とも聴いて損はないです。


THORNS - Thorns - World Playground Deceit ★★★ (2007-03-17 23:40:15)

この曲はリフの捻くれっぷりが素晴らしいですね。
高音を強調した奇怪極まりないメロディと刻みを併用した変態的、かつ凄く魅力的なこのリフだけで星を3つあげても良いと思うくらいに良いです。北欧、特にノルウェーのアーティストってこういう捻くれた感性を持ってる人が多くて聴いてて楽しい。


THORNS - Thorns Vs Emperor - Cosmic Keys ★★ (2007-05-03 20:26:18)

EMPERORの初期の名曲のカヴァー。
…とはいっても、普通のカヴァーではなく、原曲後半のリフをミニマルに繰り返して展開する、スローテンポで冷徹なインダストリアルな曲にしているので、原曲のドラマティックさを期待するとがっかりするかもしれません。こういうものだと分かった上で聴けば、なかなか面白いアレンジだと思います。


THORNS - Thorns Vs Emperor - The Discipline of Earth ★★★ (2007-03-17 23:32:24)

この展開の振幅の広さと、そのどれもが魅力的であることには驚嘆を感じずにはいられません。演奏時間たっぷり悪魔の掌で弄ばれているような感覚を楽しめる曲。波長が合ってしまった人は、あのEMPERORをも差し置いて、THORNSの方をより気に入ってしまうかもしれません。それ位レベルの高い曲です。


THORNS OF BEAUTY - The Libra ★★★ (2014-09-02 22:17:38)

2011年発表の1st。
シンフォニックブラックをベースにインダストリアル要素も取り入れているという、国産バンドとしては珍しい作風のバンドですね。個人的な印象としては、良い所とそうでない所がはっきりしているアルバム、という感じですね。

まず特筆したいのは、どこか高貴さと自己陶酔感を感じさせるような、マイルドなクリーンヴォーカルですね。完全にEMPEROR期のIhsahnのスタイルに影響を受けている、声楽的で張りのある歌唱。マイルドなクリーンを取り入れるバンド自体は少なくないですけど、これくらい陶酔的で張りのある声は結構レアだと思う。このノーブルなクリーンボイスだけでも買う価値あり。時々おっさんめいたイガラっぽいダミ声でメロディ追うのは、まあご愛嬌で(笑)。

そしてシンフォニック・ブラックの生命線であるメロディのセンス、これがまた素晴らしい。こちらもIhsahnの影響を非常に強く感じられるんですが、ゴシックな美意識の感じられる、破滅的で美しい、クラシカルなメロディはEMPERORよりもPECCATUMのそれに近いと思う。曲の端々で取り入れられた、インダストリアルな意匠がメロディの美しく破滅的なムードを更に強調。聴いていてうっとり出来ます。

逆に悪い所は、インダストリアル要素を取り入れているせいか、バンドサウンドが硬質というか、いまひとつブラックメタルらしい色気を感じられない事でしょうか。リードギターが相当にメロディアスなのは良いんですけど、ブラックに求められるような寒々しさが感じられない、色気の無いギターリフはもう少しどうにかして欲しかったです。ここが良ければ文句なく絶賛なんですけどね…。

ただ、クリーンヴォーカルの声の作り方と、抜群なメロディのセンスが余りにも素晴らしいので、それを差し引いても☆3つを付けざるを得ません。邪悪というよりは、独自の美意識に満ちた世界観も、なかなか良いものがありますよ。


THORNSPAWN - Sanctified by Satan's Blood ★★ (2015-12-05 17:57:08)

2007年発表の3rd。

プリミティブブラックの「粗さ」って、大きく分けて「音を篭もらせる」「音をノイジーにする」の二種類になると思いますが、この作品は後者でもかなり過激な音ですね。ノコギリの刃で引くような、刃物系な金属質なノイジーさで、メジャーなバンドはほぼやらないであろう音作り。低音質や劣悪音質というよりは極悪音質…いや、むしろ極道音質とでも言いたくなる感じの音(笑)。

ただ、意外にもメロディアスなトレモロリフが多く、ノイジーであってもメロディが埋もれたプロダクションにはなっていないのが特徴ですね。むしろ適度にメロディアスな事によって、より刃物的なギラギラした音の質感が強調されているような印象があります。楽曲の方も衒いの無いブラックで、終始ハイテンションで展開してくれるので話が早い感じ。

INFERNAL WARを始め、良質なブラックを多数リリースし今や名門ともいえるAGONIAから出ているだけあって、その手の期待にはしっかり応えてくれるであろう作品。聴かせたいところがはっきりしてる作品は強いです。


THOTH ★★ (2012-02-02 21:57:34)

ポーランドのブラック。
Rob Darkenを始め、ポーランドのペイガンの枢軸メンバーが参加するプロジェクト。


THOTH - ZAMGLENIE ★★★ (2012-02-02 21:58:08)

2010年発表の2nd。

ペイガンブラックの代表格のバンド、GRAVELANDのRob Darkenらによるバンドという事ですが、これは良いですね。個人的な好みではGRAVELANDよりも好きかもしれません。路線としては、ペイガンの土着性に、鬱ブラックの抑鬱志向を加えたような薄暗いトレモロと、神秘的でアトモスフェリックなキーボードを絡め、ゆったりとしたテンポで展開するスタイルですが、最近のGRAVELAND並に情景描写に富んだ音なんですよね。

まずペイガン由来の妖しさと、鬱感情が上手く混ざり合ったトレモロリフと、バンドサウンドを包み込むような、神秘的なヴェールを思わせるキーボードの絡みは、それだけで薄暗く、深い森の中に誘われていくような暗い叙情性があると思うんですよね。落ち着いたテンポ設定も、一歩一歩その中に足を踏み入れるような、厳かなムードがあると思う。そこにノイジーなギターが入ると、その森が少しずつ炎上しているような、どこか破滅的なムードも醸し出されているように感じます。

また、殆ど言葉になっていない、細い声を裏返しながら絶叫するヴォーカルも、作品のカルト志向をより高めてますね。霊障を起こすような声…というより、霊障そのもののような声。地縛霊とかそんな感じです。…私的にはこのアルバム、BURZUMの3rdやEMPERORの1stに通じるような、マジなムードを感じる作品なんですよね。瞑想的なムードは、特にBURZUMに通じると思う。こちらはペイガン色もありますが、聴き手の意識に寄り添い、スピリチュアルな情景を描こうと試みる音作りはかなり似ているのでは。

個人的にはポーランドのペイガンブラックの中でもトップクラスに気に入ってしまった作品。近年のGRAVELANDに通じる情景描写能力がありながら、メロディはもっと分かりやすいので取っ付きづらさもそれ程でもないと思います。これはお勧め。


THOU ART LORD - DV8 ★★ (2012-03-20 22:20:12)

2002年発表の3rd。

タイプとしては、ザクザクと刻む、スラッシーなリフを軸にドラマティックな展開を見せる、メロデス要素も強いメロディック・ブラック。所々で挿入される、メロウだったりメタリックな熱さを見せたりするリードギターのフレーズも、思いのほかかっこよかったりします。時折見せるスラッシーに畳み掛けるようなパートも実に爽快で、この手としてはかなり聴きやすい作品と言えるかと。

ただし、粗めのリフの音色や、時折挿入される少しホラーな感触も受けるキーボードの音色など、邪悪さを感じさせる音作りはやはりブラック特有のもの。特にスラッシーなリフが粗い音色で繰り出される部分は、「烈火の如く」という表現を使いたくなるような、苛烈なかっこよさがあると思う。キーボードも味付け程度の頻度ながら、不穏な方向に曲を彩っていてグッド。

HORRIFIEDやORDER OF THE EBON HANDなど、ギリシャのバンドって辺境っぽさがありつつも、メタリックでしっかりした曲作りをするバンドが多いという印象なんですが、このバンドも正にそうした特性を持ってますね。このメジャーになりきれないかっこよさが好きな方も多いのでは。


THOU SHALT SUFFER ★★ (2005-09-04 18:08:00)

EMPERORの前身バンド。この頃はまだデスだったそうです。
…なんですが、何故か後期はIhsahnのソロという変わった経歴を持っています。
でもPECCATUMが活動中の今、やっぱりもうリリースはないのかなぁ…


THOU SHALT SUFFER - Into the Woods of Belial ★★★ (2012-03-28 00:38:05)

EMPERORの前身バンドの音源集。91年のデモとEP、リハーサルを収録。
97年にSamothのレーベルからCD化され、2002年に再発されています。

最初期の、4トラックでレコーディングされたEMPERORの音源が余りにもネクロな音質で、それよりも録音時期が前となると、これはもう普通の神経で聴けるもんじゃないだろうな…と思って敬遠してきたんですけど(笑)…これ、めっちゃかっこいいですね。最初期EMPERORと比べると、リマスター効果なのか大分聴きやすい(といってもRAWではある)ことにも驚きました。

スタイルはデスメタル的な汚くうねるリフを伴って、衝動をぶち撒けるように疾走する、WARブラックにも通じるバンドサウンドに、宇宙の曼荼羅とか神秘的な光景が浮かぶ、EMPERORに通じるキーボードを取り入れた感じで、意外にも初期BEHERIT辺りとも遠くない、非常に冒涜的な作風。キーボードを外し、より汚らわしいムードで暴走するリハーサル音源もこれはこれでかっこいい。

そしてIhsahnのEMPERORとは違いすぎるヴォーカルスタイルにもびっくり。吐瀉物を撒き散らすかの如く汚く唸る、低音のグロウルで今の面影は全く無いです。リハーサル音源なんてもうえずき声にしか聞こえないですもん(笑)。初期EMPERORの作品などで、狂気を感じさせる絶叫はしていましたが、こういう「汚い」ヴォーカルスタイルが出来るのにも驚きました。スタイルが違っても、やっぱ彼の声は良いですね。

確かに生々しい音質ではありますが、WARブラックとかを普段聴いている人にとっては何の問題も無く聴ける音だと思う。贔屓目かもしれませんが、このころからやっぱり「持ってる」感じがするんですよね。「Wrath of the Tyrant / Emperor」を含む、EMPERORのアルバムを全て集めているようなEMPERORファンは、こちらも是非買うべきだと思います。


THOU SHALT SUFFER - Somnium ★★★ (2005-09-04 18:05:00)

2000年発表の…形式的には2ndアルバム。
Thou Shalt SufferはEMPERORの前身バンドでしたが、何故かこの作品はIhsahnのソロ。

Ihsahnが自分のクラシック趣味を全開に作ったインスト作品(ほんの僅かに女声Voもあり)という触れ込みで聴いていたので、最初は綺麗なシンセが静謐な空間を作り出して、タイトル通り安らかな眠りにリスナーを誘ってくれる作品なのかなぁ…と思っていたら、良い意味で裏切られました。

まずストリングスの音色中心の音楽だったのは予想通りだったんですが、メロディは全体を通じ華美な印象で、例えばIhsahnの名前も知らないような音楽好きのおじさん…みたいな人が聴いたとしても、40分を退屈せず聴き通してしまうのではないかと思います。全体的にキャッチーといってもいいくらいな雰囲気です。しかも曲が平均3~4分と、割と短く纏まっているのもいいですね。

しかもそこはやはりIhsahn、単なるクラシックの良質な模倣に終わらず、ところどころノイズや、テープに録音しそれをスロー再生したかのような不気味な音など現代的な音色も使い、独自の世界を繰り広げています。91年からアルバムの制作に携わってたという、制作期間の長さは伊達ではないです。

Ihsahnって、きっとブラックの型にも、クラシックの型にもハマりたくないんでしょうね…こういう「創造者」タイプのアーティストと言うのは、その作品を追いかけるのが実に楽しいです。個人的にはEMPERORファンの方には、「激烈性がない」という理由でスルーしてほしくない作品。自分も気付かない、新たな嗜好に気が付くかもしれませんよ?(笑)


THOUSAND LEAVES - Blind Night Sorrow ★★ (2010-01-01 09:10:00)

2009年発表の東方/上海アリス幻樂団デスラッシュアレンジ。
前2作はメロスピ系のBach氏、プログレ寄りの川瀬氏と、傾向の違う二人のアレンジャーの
作品が収められたアルバムでしたが、今作はBach氏のソロアルバムという形式。
…今までの彼らの作品評を読んでいると、メタルとしての質の高さが評価される一方で、
リフの作り込みの甘さが指摘されることもあったようですが、今回はガチですね…。
デスラッシュとしても一流の、超インテンスなリフ捌きが聴けます。特に「Imperfect Woman」
「Flame of Sadness」は、原曲メロがリフに練り込まれていて、ただ優れたデスラッシュと
いうだけではない、「ゲーム音楽のカヴァーを聴く楽しみ」もしっかりと感じさせてくれる、
素晴らしいアレンジになっていると思います。
また、今作は4曲にヴォーカル(デスヴォイス)を起用していますが、このヴォーカルも
明らかにこのジャンルでの一流レベルだと思います。DIMMU BORGIRやABGAIL WILLIAMS辺りを
思わせる、シンフォブラックにありそうな中~高音域での絶叫スタイルで、声の迫力や伸び、
声量など、どれを取っても隙の無いパフォーマンスを聞かせてくれます。
…しかも、このクオリティで値段は約1000円なんですよね…。
普通に国産のベテラン・エクストリームメタルバンドの作品と比較しても劣らない作品。
「多くのメタラーから偏見を受けやすい文化的立ち位置にいる」こと以外、曲自体、リフ、
ヴォーカル、音質、価格など何処を取っても負ける要素がありません。
ジャパメタの未来の鍵は、「同人の活動の自由さ」にあるのかもしれませんね。


THOUSAND LEAVES - GODS ★★ (2009-11-27 19:42:00)

2009年発表の東方風神録メタル/プログレインストアレンジ。
IRON ATTACK!のIron Chino氏がゲスト参加。
この作品は、メタルサイド担当のBach氏による前半と、プログレサイド担当の川瀬氏による後半で
作風がはっきり分かれる構成になってますね。ラストはIRON氏参加のゴリゴリのメタル曲で締め。
「Bach side」
日本の「侘び寂び」文化とメロスピのクサさがハイレベルな融合を果たした「Crystal
Mountain」「Moon Magic」、ゲーム音楽とメタル、お互いの高揚感が見事に合った
「Twilight Jealousy」、トレモロで切り刻む導入部が印象的な「Brief is the Light」と、
曲は粒揃い。基本メロスピながら、原曲のクサメロ以外のパートなどでは、メロスピの
テンプレートにはないようなダークなリフも登場して、なかなか聴き応えのあるメタルを
聴かせてくれます。
「川瀬 side」
キーボードの音色や意表を衝く展開、フュージョンなど他ジャンルの要素も取り入れた作風は
確かにプログレッシブではあるんですが、原曲のメロディの良さは全く壊していないし、
メロの美味しい部分はギターに振ってるしで、プログレである以上に「メタル」な音。
特に「Distant Avalon」「The Faith of Eternity」はプログレメタルとしてかなり出来が
良いと思う。帯にあるような怪奇さも確かにありますが、過度な実験性がロックのかっこよさを
損なう事もなく、聴きやすい感じ。…にしても、「プレイヤーズスコア」を「Prayer's
Core(祈りの中核)」と改題したのは上手いなぁ…。
ラストのIRON氏参加曲は、原曲の可愛らしく、かつ郷愁を誘うメロディが思いっきり体育会系な
音になってて、思わず笑ってしまう出来で期待通り。ただ、アルバムとして聴いた時に、
この曲だけ音がデカイのは、流れを損ねているようにしか思えないので個人的にはマイナスですね…。
…ちなみに、ゲームの方もプレイしましたが…鬼難しいんですけど、これ(笑)。
「ボム使うと簡単」という意見を耳にしますが、使おうと思った時には死んでます(笑)。
EASYでもラスボスを倒せる気がしません…これコンティニューなしでクリアできる人尊敬するわ…


THRALL ★★ (2011-04-22 17:45:21)

一時期は大阪で活動していた、オーストラリアのブラックメタルバンド。
STRIBORGやRUINSとも交流があるとか。


THRALL - Away From the Haunts of Men ★★★ (2011-04-22 17:45:57)

2010年発表の1st。

このバンドはよくブラック/ドゥームとして紹介されていますが、確かに7曲目のようなスラッジに両足突っ込んだ音を出している曲やパートもありますが、基本的にはがっつりブラックメタルを演ってますね。しかも、他に似たバンドがパッと思い浮かばないような、かなり個性的な音を出していると思う。

まずメロブラの代表としてDISSECTIONやWATAINがいるとして、それらのバンドがメタルとしての整合性よりブラックの血腥い陰湿さを優先するとSJODOGGになり、その傾向を更に推し進めていくとこのバンドの音楽性になりそうな感じ。安易にメロい刻みを使わず、どす黒く塗り潰すようなリフで荘厳さ、病的さを演出する、ブラックとしての異形性が遺憾なく発揮された作風。

部分的には、病気じみたメロディを奏でるリフや、気が触れた様な絶叫はフレンチブラックに、8曲目などのメロウなパートはTAAKE辺りのノルウェー産メロブラに似ているところがあるし、時折BURZUMやDARKTHRONEが頭をよぎったりもするんですが、どのバンドの真似にもならない、個性のある音といえると思う。

メタリックなメロブラでもミニマルなプリブラでもなく、アヴァンギャルド過ぎる事もなく、しっかりブラックの世界を描ききっている良作といえると思います。


THRALLDOM ★★ (2013-06-27 19:04:49)

アメリカ産スラッジ/ブラックメタル。
元UNEARTHLY TRANCE、現THE HOWLING WINDのKillusion氏らが在籍。


THRALLDOM - A Shaman Steering the Vessel of Vastness (2013-06-27 19:05:42)

2006年発表の3rd。

店の紹介ではスラッジ要素の強いブラックメタル…みたいにあったんですけど、むしろこのバンドはスラッジの方がメインという感じですね。スラッジが7割、ブラックが3割くらいな感じ。ブラックに特有のトレモロリフ+疾走などはほぼ無く、ノイジーに引き摺るリフを中心にどす黒い音世界を演出していくような作風。

実験的な側面もかなり強い音で、テープノイズをコラージュしたり、アンビエント要素やサウンドエフェクトなどを取り入れ、独自の暗黒性の追求に余念がないような音作り。腐蝕部分がじわりと広がっていく様子だとか、廃墟が炎の中で崩れ落ちていく様子だとか、どこか破滅的な景色が浮かんでくるような音像になってますね。反面、一般的なブラックが持っているような悪魔っぽさは希薄。

大分音的にも感性的にも普通のブラックからは離れている感じはしますが、滲み出るような暗黒趣味な雰囲気は確実にブラックと共通するものがあるかと。音像・音響重視の暗黒音楽が好きな方は是非。


THRANENKIND ★★ (2011-07-08 20:54:30)

ドイツのシューゲイザー/ポスト/鬱ブラック。
HERETOIRのNathanael氏が在籍。


THRANENKIND - Eine Momentaufnahme - Der Rest Ist Nur Einsamkeit ★★ (2011-07-08 20:56:14)

2010年発表の5曲入りEP。
新曲(1)、08年のデモの収録曲(2,3,5)、再録曲(4)からなる構成。

路線としては、塩の結晶を摺り込むようなザラザラしたリフに儚げなメロディを乗せ、ミディアムテンポを中心に侵食するような展開で聴かせる、シューゲイザー寄りの感性を持ったブラック。ただ、このバンドはプリミティブ/鬱ブラックの要素も割と強めで、特に2曲目や3曲目における疾走パートは、ほぼ「メロウなプリブラ」としても聴けてしまうような音。ドラムは打ち込みと思われますが、3曲目や5曲目の一部なんて「エレクトロニカのリズムの気持ちよさ」に近い快さがある気がします。

また、SEやピアノの使い方も上手いですよね。
1曲目からまるでドラマの主人公が幼少の大切な思い出に浸っている時のBGMのような、ごく分かりやすいノスタルジーを感じさせてくれるピアノが入ってますし、4曲目は誰かを悼んでいるような哀愁があると思う。また、男女の語りや鳥の囀りをSEとして使ってますが…特に後者の使い方は、日常がじわりと侵食されるようなムードを上手く出せてると思う。

ただ、ジャケからするとおそらく、ポストブラックのアーバンな情景を描きたいと思ってると思われるんですが…正直、この段階ではまだ聴き手を没入させるほど情景描写に凄みは感じないんですよね…。淡い音を表現したいのは分かるんですが、もう少し広がりとか奥行き、深さなどが音像に欲しい所。というか、バンドの音からジャケのような景色がいまひとつ浮かばないのが残念。逆に言えば、情景描写に特化してない分、ブラックの要素が色濃く残ってる訳でもありますが。ヴォーカルは基本(遠めの)絶叫ですし。

…どうでもいいんですけど、この作品、歌詞カードがめっちゃ良い匂いです(笑)。ULVERの「Blood Inside」も同じような匂いがしましたが、この匂い凄い好き。…この感覚、絶対ダウンロードやデータのやりとりでは味わえませんよね(笑)。


THRONE OF KATARSIS - Helvete - Det Iskalde Mørket ★★ (2009-02-26 21:06:00)

2009年発表の2nd。

これまた「いかにも」なトゥルー・ブラックですね。
「(Euronymous時代の)MAYHEMの陰湿なドラマ性と(初期)DARKTHRONEのRAWさを融合させた感じ」だとか、「プリミティブな感性に目覚めたGORGOROTH」とか、90年代前半~半ば辺りのブラックメタルバンドを引き合いに出したくなるような作風。あの辺りのブラックに影響され、その音を今に蘇らせようとしているかのような雰囲気。

ただオールドスクールなだけでなく、ディプレッシブなメロディや悲痛ヴォーカルなどの鬱要素、NED関連のバンドを思わせる、神秘性が邪悪さとして出力されているようなムード作りなど今風のブラックの感覚も隠し味程度に取り入れ、大作主義の中で上手く展開させている感じがします。ヴォーカルも邪悪さ満点のがなりからAttila風の詠唱・呪詛、悲痛絶叫までこなしてかなりの実力者だと思う。ただ、悲痛絶叫は一部少しわざとらしくて微妙なところがなきにしもあらずですが…。

これで音質も良ければ…というか、好みならほぼパーフェクトなんんですが…。
ギターの厚みのあるノイジーさを前に出した黒い音作りは、悪くはないけどCRAFT程RAWさとフレーズを聴かせる事とのバランスが良くない感じで、正直ノイジーさに作為性を感じてしまい、今一つハマれないんですよね。…音質に関しては思ったより好みじゃないから、色々理由付けて批判してるのかもしれません(苦笑)。

でも、この作風で音作りがCRAFTやWATAIN並に上手かったら、3倍くらいの文章量で絶賛していたと思うだけに、少しもやっとしたものが残ってしまいました…。