これ、改めて聴くと神アレンジですよね… 上品に夏の海を描写するようなストリングスに、その光景を前にした 感情の昂ぶりを表現するかのようなパーカッション…間奏のピアノソロも 素晴らしいし、アレンジ力、情景描写能力で行ったら織田哲郎クラスかも。 GO MY WAY!!やキラメキラリとかはメロディセンスだけで感動できるんだけど、 じっくり聴いて深い感銘があるのはこっちかも。マーティとかに聞かせてみたい。
2012年発表の1st。 CDケース側面の「The Human Apharesis」は誤植っぽいです。 FINNTROLLの現ヴォーカリストが絡むアヴァンギャルド・ブラック…という触れ込みで購入しましたが…アヴァンギャルドという言葉から連想されるような難解さは殆どなく、小気味良いかっこよさと根深い邪悪さが同居した、なかなか独特な作品ですね。
また、パートによってはKEEP OF KALESSINを連想させる、ストレートにエクストリームメタルならではのテクニカルなかっこよさを持ったギターワークで攻めたり、「Isa」期のENSLAVEDを思わせる、マッシブさとスピリチュアリティが同居した感触があったり、ノルウェー産ブラックの先人の、先進的な部分(かつ私が好きな部分・笑)を上手く消化して取り入れている印象。そういえば、ヴォーカルワークにも「Thorns」でのSatyrとAldrahnの影響が感じられたりしますね。
まず耳を惹きつけるのが、MARDUKのドラマーでもある、Emil氏のドラミング。 MARDUKの時同様に豪腕を振るいまくる、血も涙もないようなブラストをブチかましてくれますが、ドラムの音質がMARDUKの時よりも更に炸裂感の強い、バキバキな音のせいでよりブルータルに聴こえます。丁度1349の「Beyond the Apocalypse」に近い音だと思う。
リハーサル音源的な「The Mill Hill Sessions」を聴いた時は、正直言って的が絞れていないような印象を受けたんですが、こうしてスタジオアルバムで聴いてみると散漫さを感じさせない完成度があって、かなり気に入ってしまいました。ただ、中世的な世界観を打ち出している割に中世っぽいメロディは希薄(それどころかハードコアテイストすらある気が…)だし、トレモロリフもほぼないのでブラックメタルが好きな人には逆に取っ付きにくく感じるかもしれません。
正直言って、最初聴いた時は色々な要素を取り入れているけど、あまり上手く消化できていないという印象だったんですが、スタジオ盤を聴いてバンドの魅力に気付いてから聴いてみたらかなり楽しめました。音質はクリアながらスタジオ盤よりもバランスが良くないし、ヴォーカルが無理矢理声を出して叫んでたり上手くマイクが声を拾ってなかったりする所とか、おそらくそういう部分が散漫に聴こえる原因だったんでしょうけど、バンドの音楽性に予め共感した上で聴くと…そういった要素でさえ生々しくて魅力的に聴こえてくるから不思議。よりRAWなTHE MEADS OF ASHODELサウンドが楽しめます。