1曲目「Let There Be Light」は、瞼の裏で明滅する光の如き電子音が、静かながら聴き手を既に陶酔させるような説得力をもって立ち上がり、くすんだ風景の浮かぶブラスや即興演奏っぽいドラミングを取り入れつつ進行する楽曲で、どこか頽廃的なムードが漂ってますね。2曲目「Western Horn」は今作では最もドローン・アンビエント然とした抽象的な曲。脳内のパルスと同期しつつ、更に刺激を与えるような音使いが心地良くて安息すら感じてしまいます。
1曲目「Let There Be Light」は、瞼の裏で明滅する光の如き電子音が、静かながら聴き手を既に陶酔させるような説得力をもって立ち上がり、くすんだ風景の浮かぶブラスや即興演奏っぽいドラミングを取り入れつつ進行する楽曲で、どこか頽廃的なムードが漂ってますね。2曲目「Western Horn」は今作では最もドローン・アンビエント然とした抽象的な曲。脳内のパルスと同期しつつ、更に刺激を与えるような音使いが心地良くて安息すら感じてしまいます。
このトレモロ偏重で、尚且つ高音でキリキリと心を締め付けるような音色も使っている辺り、KRALLICEやDER WEG EINER FREIHEITなどのバンドを思い出しますが…前者がポストブラック、後者がメロディックブラックの感性が強いのに対し、この作品は音作りやヴォーカルなどに未加工の生々しさがあって、プリミティブ的な感性を持っていると言えるかも。と言っても音質は悪くなく、寧ろ分離は良いくらいで、生っぽさを感じさせてくれるドラムの音色が心地よくて個人的にはかなりツボ。
まず裏ジャケに燦然と輝く「TNBM(True Norwegian Black Metal)」のロゴが入っている時点で、品質は約束されたも同然ですが…そのロゴの威光を裏切る事のない、むしろ更にハクを付けるような、ストレートかつハイクオリティなブラックメタル。緩急付けつつ疾走パート多めの作風ですが、カッチリしたドラムの音と厚みのあるリフなど音質の良さも手伝って、聴いていて単純に気持ちの良い音。リフは邪悪系トレモロだけでなく刻みも入れたもので、メタルとしての熱気もしっかり持ってる感じですね。
ただ、唯一いまいちだと思ったのは、1曲目「Becoming a Shadow」の中盤~後半に掛けての展開があまりにもくどい事でしょうか。スラッジーなリフでミニマルに聴かせる事自体は良いとして、アルバム構成的に「引き」のパートが来て欲しくない部分でくるのが、ちょっと惜しい感じ。まあ、それ以外には全く文句は無いですけど。プリミティブブラックとして完成されている音だと思う。
「TRUE NORWEGIAN BLACK METAL」を自ら標榜している事からも分かる通り、音楽性はトゥルースタイルのブラックメタルなんですが、この作品はメロディックブラックを標榜するバンド以上にメロディアスです。もちろんブラックらしい邪悪さもありつつ、ヴァイキングっぽい勇壮さ、そして時には華麗ささえ感じられるメロディが、「アクセント」どころではなく曲の全体を覆い尽くしている作風。良いメロディが多すぎて、どの部分がアルバムのハイライトかを挙げるのが困難なほど(笑)。トレモロリフでグッとくるメロディをかき鳴らすのは勿論の事、刻むタイプのリフを弾く時でさえ美しいメロディを織り込んでくるセンスが素晴らしいです。
名盤「Under The Sign Of Hell」を生み出したGORGOROTHが、その音楽性を変える事無くそのまま進化していったならこんな音を出すんじゃないかと思います。 音質も各パートがくっきり聴こえるクリアなものでありながら、少しだけノイジーで、どこかブラック特有の未加工の無骨さみたいなものがあって、ブラック的には最高クラスです。ウォークマンに録って、雑踏の中で聴いてもリフがしっかり聴こえるであろうコシのある音。