…と言っても、整いながらもブラック特有の刺々しさを感じるプロダクション、タメの効いたヴォーカルの凶悪さなどもあり、全く「ぬるいブラック」にはなっていないのでご安心を。メロディのセンスも時折黎明期の北欧産ブラックを思わせるような、土着性を感じる部分もあり十二分にダークで呪術的。特にタイトル曲で聴けるリフなんて、まるで「Storm of the Light’s Bane」期のDISSECTIONを思わせる邪悪な寒々しさがあって、メロディック・ブラックとして非常にかっこいい。
Peccatumで活躍する、IhrielことHeidi S Tveitanのプロジェクト。 アルバムは一枚しか出していませんが、GarmやIhsahnも参加しているので彼等のファンもチェックです。 それにしても、Ihriel一人でもこれだけ素晴らしい曲が作れるんだから、そこにIhsahnが加わったPeccatumって凄いプロジェクトなのでは…
Garmがヴォーカルとして参加した曲。 やっぱり彼のヴォーカル良すぎです。この曲では囁くように歌ってますが、ULVERの「Lost In Moment」にも匹敵するセクシーさで素晴らしいです。「sickens me」で悶絶(笑)。Ihrielの妖艶な歌声やピアノの音色の貢献もあり、とても色気のある曲になっています。
DARK FUNERALを「業火系」と評しているレビューがありましたが、このバンドも同じ特性を持っていると思う。ブラスト中心の苛烈なリズムとノイジーで厚みのあるリフが吹き上がる地獄の業火の如き音の壁を生み、そこにメロディックで邪悪なトレモロで追い討ちをかけるような音で、ヴォーカルも炎に焼かれているかのような凄絶な絶叫をかましてくれます。
SatyrことS.Wongravenが自国ノルウェーへの愛情と、自分の持つ音楽性でフォークをやりたいという渇望から、FenrizことBerr NagelとRueslattenを誘い立ち上げたプロジェクト。 SATYRICON、DARKTHRONE、THE 3RD AND THE MORTALといった有名バンドのリーダーが結託し、独特な音楽をやっていましたが、アルバムを1枚しか残していないのが惜しい所。
鬱ブラック曲をダークアンビエントで挟み込むという構成の作風。 鬱ブラックと言うとBURZUMを初めとして、XASTHURやBLUT AUS NORDなどが挙げられますが、このバンドも上記のバンド同様、陰鬱さを突き詰めるようなブラック。上記のバンドと比べると物理的に(笑)一番聴きづらい音楽性かと思います。
ただ、アイドルカバーやるならつんく関連が良かったですね、個人的には。 モーニング娘の「恋のダンスサイト」(中近東風)とか、「気まぐれプリンセス」(ロシア風)、美勇伝「紫陽花アイアイ物語」(オリエンタルな哀愁に特化)、メロン記念日「This is 運命」(パンキッシュでアレンジが奇抜)とか、メタルアレンジしたら面白そうな曲が目白押しですし。
ショップのコメントでは「マニア向け」と書かれていたので、結構身構えて聴いてしまいましたが、カルトなりの質の高さがあってそこまで敷居の高いアルバムではないと思います。DARKTHRONEは3部作より最近の音源より、ハードコアテイストを取り入れ始めの「Sardonic Wrath」「The Cult is Alive」期こそ至高だと思う方は特にハマるのではないでしょうか。
Vyl氏参加、KEEP OF KALESSINを思わせるハイクオリティな作風…と、ショップでもかなり大きく扱われていて、試聴してみたら一発で気に入ってしまいました。まず素晴らしいのは、ショップでの売り文句「KEEP OF KALESSINを思わせる」が全くハッタリに聞こえない、ギターワークで聴かせるメロディック・ブラックとしての超クオリティっぷりですね。
スラッシュメタルをベースとした豪速の刻みリフを随所に混ぜつつも、ブラックらしい繊細なメロディのトレモロを織り込んだ、下手にヘヴィさに頼ることなく、フレーズの細やかさ、華やかさで聴かせるギターワークは、正にKEEP OF KALESSINが提示した様式を踏襲したスタイル。そのテクニカルなギターワークにピタリと連動し、緊張感を跳ね上げるVyl氏のドラミングも合わせて、バンドのアンサンブルを聴いてるだけで恍惚となれます。
ブラック/デスメタルとして紹介されている事が多いですが、ここで聴けるのは一般的なブラッケンド・デスとはかなり趣きの異なる音。MAYHEMの「Grand Declaraion of War」、SATYRICONの「Satyricon」アルバムなど、大御所にも明白にブラックを基本としつつ、そこから逸脱している作品は多くありますが、この作品もそれに近い雰囲気を感じますね。ミッドテンポやメロウなギターを重視しつつ、クリアな音質によるキレの良い暴虐パートも配したかなりドラマティックで変化に富んだエクストリームメタル。